未来すぎてヤバい。ハウステンボス「変なホテル」潜入レポ

20150728_001_001

長崎・ハウステンボスにオープンした「変なホテル」。文字通りこれはただのホテルではない。ロボットスタッフによる効率化されたサポートに加え、最新技術が導入されたスマートホテルなのだ。

ロボットが受付し、ロボットが荷物を運び、顔認証でキー解除し、ロボットが灯りを調節。ロビーではロボットが案内をし、ロボットが荷物をロッカーに入れる。一見すると無機質で奇怪なものに見えるが、実に合理化した技術が取り入れられている。

そもそもは、究極の生産性を実現するために、ロボット技術による自動化を導入。さらに、全館エアコンなしで輻射パネルを取り入れた空調設備により快適な滞在を提供する。料金はオープンプライスでオークション方式を採用(ボトム料金でシングル1泊9千円〜)。繁忙期や閑散期で価格が変わる仕組みだ。先進技術と先端建築が融合し、ハウステンボスのエンタメ性を取り入れた、これまでにないコンセプトになっている。合理化し生産性を上げていくことで、ハウステンボス外への展開も視野にいれているということだ。第I期棟(東京大学)の後も第II期棟(鹿島建設)の計画も進んでおり、来年初旬にオープン予定とのこと。

お披露目会で発表されたドローンなど今後も独自開発したロボット技術などを貪欲に取り入れ、“変化”そして“進化”していくホテルになるだろう。全てが新しい、「変なホテル」の秘密に迫ってみたい。

20150728_001_002
20150728_001_003 20150728_001_004
▲快晴の7月、ハウステンボス・変なホテル前にてお披露目記者会見が行われた。当日はハウステンボス株式会社代表取締役社長の澤田秀雄氏や佐世保市長の朝長則男氏を始め東京大学の川添善行氏、鹿島建設の野出木貴夫氏がホテルの説明を行った。テープカットには「変なホテル」の名称及びコンセプトに携わった、グラフ株式会社の北川一成氏も参加し、海外国内含め多数のメディアで賑わった。その後、ハウステンボスが開発した配達ドローン(マルチビーグル搭載のハイブリッドドローン)のデモが行われるなど内容盛りだくさんの会となった。

20150728_001_005
▲記者会見時に澤田社長がココアモーターズが開発中の持ち運べるクルマ「WalkCar(ウォーカー)」に乗って登場。今後、導入を検討しているということで、最新のロボット技術を取り入れていく姿勢が垣間見れた。

20150728_001_006
▲こちらが「変なホテル」の外観。いたって普通に見える。

 

【エントランスをチェック!】
スマート制御の自動化の中にロボットのあたたかみを実感
ホテル内に入るとまず、クロークロボットによる荷物を預けるロッカーがあり、受付にはロボット型、人型、恐竜型の3台のロボットがお出迎え。ハウステンボスという場所柄エンタメ性があり、そこに最新技術が集結。入り口&ロビーから利用者を楽しませてくれる。チェックイン後も、荷物を運ぶロボットや、ホテルを案内するロボットなど、多数のロボットが“仕事”をしている。

■フロントロボット
20150728_001_007
20150728_001_008 20150728_001_009
▲受付に立つと自動的に話かけてくれて、ナレーションとボタン操作でチェックインの仕方をナビゲート。隣にあるカウンターでキーとなる顔認証登録などを行なえば完了となる。

■クロークロボット
20150728_001_010
20150728_001_011 20150728_001_012
▲入り口では滞在者向けに安川電機製のロボットアームが、キャリーバックなどの荷物を自動でロッカーに入れてくれる。ロッカーの数は30個で利用料金は500円。

■案内ロボット
20150728_001_013
▲ロビーには館内などの案内用ロボットを配備。手前のタッチパネルから言語を選び、ロボットがナレーションしてくれる。声だけはなく動きでも楽しく出迎えてくれる。

■ポーターロボット
20150728_001_014 20150728_001_015 20150728_001_016
▲チェックイン後にはシャープ製のポーターロボットが部屋まで荷物を自動で運搬。荷物を運んだ後は自動で戻る仕様に。1F用(黒)、2F用(赤)の2台がある。

■そのほかにもロボットだらけ!
20150728_001_017 20150728_001_018
20150728_001_019 20150728_001_020
▲ロビーにはコミュニケーションロボットが沢山。まだ導入前のモデルもあるが、今後も新しい技術やロボットがどんどん導入されていきそうだ。

 

【客室をチェック!】
シンプルで機能的キーレスで居心地の良い室内
部屋の中は、泊まるための必要最低限の設備&アメニティではあるが、快適な空調設備で落ち着く雰囲気となっていた。部屋の操作はタブレットかコンシェルジュロボットとの会話で行ないベッドの上で灯りのON/OFFやホテル案内が見れる。

20150728_001_021
20150728_001_022 20150728_001_023
▲部屋に入るにはチェックイン時に登録した顔認証で入室。もちろん、ICカードキーでの入室も可能。部屋には「ちゅーりーちゃん」(会話ロボット)が天気や時刻を案内。

 

【建築やロボットとの連携に携わった方に「変なホテル」の魅力を聞いてみた】

ロボットが何ができるのかを理解するところからスタート

20150728_001_024
▲東京大学生産技術研究所 川添研究室 特任助教 原 裕介氏

今回は約50社くらいのメーカーと話し始め、約30社のロボット技術が使われています。まず最初に、ロボットができることを理解することからスタートしました。アクチュエータとセンサーがどの空間で最大のパフォーマンスが出来るのかを考えていくことで寸法や床材、照明なども決まってくるんですね。その上で、このホテルでは“このようなサービスを提供したい”という考えから、それができる技術を探し、さらに利用者の利便性も考慮。「人」と「ロボット」の視点で何度もキャッチボールをして技術を選んでいくプロセスを踏みました。最初から技術ありきではなく、ホテルでありハウステンボスという場所なのでエンターテインメントも大事です、合理的にしすぎるとすごくつまらないモノになってしまうので、エントランス部分はそれぞれの連携も考えながら工夫をしましたね。

20150728_001_025
▲パネル操作の自動チェックインだけでは無機質になるところに、ロボットがいることで、コミュニケーションが生まれ楽しくなる。

 

建築側からも歩み寄り技術に合わせた空間作りを

20150728_001_026
▲東京大学生産技術研究所 川添研究室 准教授 川添善行氏

このホテルのプロジェクト自体は2年前位からスタートし、当初からローコストホテルというコンセプトがありました。そこから人件費の削減=ロボットという発想になり、ロボットが活躍できることを建築側からも歩み寄ることでメーカーの方と話をしながら寸法など決めました。入り口からはロボットによるサービスで変わったものに見えるかもしれませんが、実は輻射を利用した居心地の良い空気体験もこのホテルの魅力です。輻射をつけっぱなしにしてもエアコンみたいに寝てる間に口が渇くってことがないんです。このホテルのために焼いた煉瓦の蓄熱性と輻射パネルは是非泊まって体験していただきたいです。50年100年続く建築の考え方と1年で変化する技術を共存させるには、建築自体の見え方やポジショニングを変えていくことで融合させられる面白さがあると感じましたね。

20150728_001_027
▲各部屋はもちろん、ホテル全体に設置された輻射パネル。温水や冷水を流すことで自然な空気調整が可能に。

 

文・撮影/石森祐亮(編集部)

※『デジモノステーション』2015年9月号より抜粋

関連サイト
『http://www.h-n-h.jp』変なホテル公式サイト