SIMフリー端末は“あの”「Windows Phone」を蘇らせられるのか?

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最新モバイル事情の疑問にケータイジャーナリスト石野純也が答える「ただしいMOBILE市場の歩き方」。今回のテーマは、日本でもにわかに注目を集めている「Windows Phone」。Windows 10に合わせてSIMフリー端末が続々と登場しており、改めて解説する。

PCとの親和性の高さで注目を集めるが苦戦は続く
iOS、Androidに次ぐ「第3のOS」として日本でにわかに注目を集めているのが、Windows Phoneだ。Windows Phoneとは、その名のとおり、Windowsでおなじみのマイクロソフトが開発したスマホ向けOSのこと。これを搭載した端末も、Windows Phoneと呼ばれる。ユーザーインターフェイスがWindows 8で採用された「モダンUI」に近く、タイル状に並んだアプリが目を引くデザインになっている。当然、Windowsやマイクロソフトのクラウドサービスとの親和性が高く、OneDriveが最初からOSに組み込まれていたり、設定の一部をPCと同期できたりといった機能が特徴となる。

日本ではあまりなじみがないが、海外ではノキアがスマホ用OSにWindows Phoneを採用したこともあって、一定のシェアを取ってきた。ノキアはその後、マイクロソフトに買収され同社の一部門となったが、「Lumia」シリーズは継続して発売されている。米調査会社のGartnerによると、2014年度のOS別シェアでは、2.8%。iOSやAndroidと比べるとケタが1つ違うが、数ある「第3のOS」の中では、もっとも存在感を示しているとも言える。

ただし、日本でのシェアは限りなくゼロに近い。端末が市場に投入されてこなかったからだ。最初で最後のWindows Phoneは、KDDIの「IS12T」。その後、約4年間、日本市場では新機種が発売されてこなかった。本丸である日本マイクロソフトの準備が追いついていなかったのが主な要因で、メーカーやキャリアが二の足を踏んだいたというのが実情だ。

Windows 10の大胆な戦略で風向きが変わった
ところが、最近になってその風向きが変わりつつある。PCメーカーとして有名なマウスコンピューターは、Windows Phone 8.1の「MADOSMA」を発売。SIMフリー端末を開発、販売する日本メーカーのプラスワン・マーケティングも、「FREETEL」ブランドでローエンドとミッドレンジ、2機種の「KATANA」を発売する。

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▲マウスコンピューターの『MADOSMA Q501WH』。5インチモニターの解像度は1280×720ドット。実勢価格は3万3800円。

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▲『KATANA 01』(上)と『KATANA 02』(下)。発売日は未定。

なぜ、今、Windows Phoneなのか。その答えの1つが、Windows 10だ。これまでのWindows Phoneは、あくまでPC版のWindowsとは全く別の存在だった。PCとの親和性こそ高かったものの、アプリはスマホ向けに作り直す必要があり、開発者にとっては“二度手間”になっていた。これに対してWindows 10 Mobileでは、「ユニバーサルアプリ」が導入される。PCとスマホで、同じパッケージを使うことができ、異なるのは画面のサイズに合わせたユーザーインターフェイスだけ。PC用に開発したアプリを、簡単に使い回せるようになるというわけだ。これによって、Windowsで業務システムを作っていた企業が、同じアプリをWindows 10 Mobile搭載スマホに導入しやすくなり、モバイルでの業務環境を構築しやすくなった。

使い回しという観点では、マイクロソフトはもう1つの手を打っている。Windows 10では、iOSやAndroid向けに開発されたアプリを、ほとんど手間をかけずに移植することができる。アプリの数では先行する2つのプラットフォームが群を抜いており、Windows 10とは言えども追いつくのは難しい。であれば、すでにある膨大なアプリの資産をいかせばいい。マイクロソフトはこんな大胆な戦略で、巻き返しを図ろうとしているのだ。

それと同時に、日本ではMVNOの台頭によって、SIMフリースマホの市場が拡大した。市場規模はまだまだ小さいが、メーカーが大手キャリアを通さず、作ったものの是非をユーザーに問えるチャンスができたのだ。先に挙げたMADOSMAやKATANAも、SIMフリーとして生まれた。この市場で火がつけば、将来、大手キャリアが取り扱うことも十分考えられる。

文/石野純也


石野純也プロフィール
出版社勤務時代に数々のケータイ関連誌を立ち上げた後、ケータイジャーナリストへ転身。近書は電子書籍「ソーシャルゲームの最新トレンド!」(KADOKAWA)。雑誌版デジモノステーションにて「ただしいMOBILE市場の歩き方」を連載中。

※『デジモノステーション』2015年9月号より抜粋

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