安心をプラスする最先端の予防安全技術【よろしくデジテック】

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カメラとレーダーを使い、周囲を監視する「ホンダセンシング」。先進の安全技術は、どんな理由で『ステップワゴン』に搭載されたのか?『よろしくメカドック』の主人公・風見潤が開発担当者にその思いを聞いた。

ホンダ
ステップワゴン
価格:228万8000円〜
stepwagon
ホンダのミニバンの代名詞的存在の5代目モデル。1.5Lターボエンジンやリアの「わくわくゲート」など多くの新機能に加えて、予防安全技術「ホンダセンシング」も搭載した新時代のミニバンだ。

クルマに学習させることで
より安全性を高めた

風見 新型『ステップワゴン』は「ホンダセンシング」を搭載するなど、多くの新機能を採用していますね。

袴田 はい。このクルマの開発コンセプトは家族の「絆」ですので、その絆をいかに守れるかということを考え、できるだけ最新の安全技術を採用しました。必要ないと考える方もいらっしゃるので標準装備にはしませんでしたが、全てのグレードにオプションで設定しています。

風見 家族など多くの人が乗るクルマだからこそ、安全性にこだわったということですね。

袴田 その通りです。平日はお母さんが子供のお迎えや買い物などで、週末はお父さんの運転で遠出をするというような使われ方を想定していますので、一般道でも高速道路でも安心して快適に乗っていただける機能を搭載しました。

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▲メカドックの風見潤氏(左)。漫画『よろしくメカドック』(作:次原隆二)主人公。作中ではチューニングショップ「メカドック」のメカニック兼ドライバーとして活躍。
▲本田技術研究所 四輪R&Dセンター 車体・安全戦略担当執行役員の袴田仁氏(右)と、同センター統合制御開発室研究員の津田将之氏(中)。袴田氏は、2代目『Fit』のLPL代行などを経て、5代目『ステップワゴン』では開発責任者としてコンセプトの立案から手掛ける。また津田氏は、先進予防安全システムのプロジェクトリーダーとして「ホンダセンシング」やパーキングアシスト等のシステムを担当。

風見 予防安全技術と言うと自動ブレーキやオートクルーズ機能が一般的ですが「ホンダセンシング」にはほかにも色々な機能がありますね。

津田 それがまさに日常的に安心して乗ってもらえる機能だと考えています。例えば事故の多くは車線や道路外にはみ出すことで起きるので、カメラで車線を認識し、はみ出しを抑制する機能を搭載しています。

風見 道路標識を認識したり、先行車の発進を感知して知らせてくれる機能にも驚きました。

袴田 制限速度や一時停止などの標識がディスプレイに表示されていれば見落とすこともないですし、安全運転の意識も高まります。先行車の発進を知らせてくれる機能も、後ろからクラクションを鳴らされて焦ってしまうことを防げる。そういう積み重ねが日常の安全性向上につながると考えています。

風見 なるほど! でも、標識を正確に認識させるのは大変だったんじゃないですか? やはりカメラの性能向上がポイントなのでしょうか。

津田 それもありますが、どちらかというとカメラで捉えた映像を解析する技術の向上ですね。角度が付いていたり、半分影がかかっているような標識など、色んなパターンの画像を認識させて、そこに共通する要素を学習させることで正確に認識できるようになりました。

風見 コンピュータに標識の写真を見せて学習させるんですか?

津田 そうです。実際に走行して色んなパターンの標識の画像を集めて、それを学習させました。合計すると数千枚は認識させましたね。

袴田 そんなにいっぱい見せたんだ? それは大変だったね。

津田 大変でしたよ(笑)。でも、実際に走らせてみると、それでも初めて見るパターンがあったりしたので、それをまた学習させるという行程を繰り返しました。

使われ方をウォッチして
気付いた多くの機能を搭載

風見 高速道路を走ると前走車を追従する「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」や「車線維持支援システム(LKAS)」の恩恵を感じました。快適で疲れにくい。

袴田 疲れなければ、それだけ安全に運転できますからね。長距離を走ると、どうしても後半はふらついて車線を踏んでしまったりすることも増えやすいですが、それを防ぐのをサポートをする意味もあります。

風見 「LKAS」は先行の『レジェンド』などにも搭載されている技術ですが、何かセッティングを変えたりはしているんですか?

津田 はい。クルマの使われ方に合わせて車種ごとに一からセッティングし直しています。『ステップワゴン』では割と積極的にステアリング制御を介入させています。運転を楽しむタイプのクルマだと、制御の介入を好まないドライバーの方もいると思いますが、家族連れや多くの方に乗っていただく車種ですので安全のほうを優先しました。

風見 そこはクルマの使われ方に合わせているわけですね。

津田 そうです。ただ、デジタルの制御を突き詰めていくと、最終的にはクルマの基本性能に行き着くんです。ステアリングやブレーキ制御の指令を送った際に、きちんと曲がったり止まったりできる性能がなければ制御の意味がありませんから。

風見 確かに!「走る・曲がる・止まる」というのはクルマの基本性能だと言われていますが、それはデジタル制御の時代になっても変わらないということですね。

津田 はい。このクルマは基本性能が高いので、それに助けられました。

風見 制御技術のほかにも、このクルマの使われ方のシーンに合わせた機能はありますか?

袴田 このクルマを設計する際、多くのシーンでミニバンの使われ方をウォッチしたり、ユーザーにインタビューしたりしました。実は特徴の1つである「わくわくゲート」も企画段階ではなかった機能なんです。

風見 そうなんですか?

袴田 ミニバンの使われ方を観察しているとテールゲートを開けて荷物を積み込んでいる方がとても多い。後ろが狭い駐車場だと、そのためにわざわざクルマを前に出していたりします。それなら、横に開くようにすれば簡単に荷物を積めます。また、高速のPAで車外で待っている人も多く見かけました。3列目シートに入る人を待ってから2列目に乗るからなんですね。それなら3列目に直接乗り込めるようにすれば、例えば2列目に乗ってる人が寝ていても起こさずに降りることもできます。

風見 なるほど。ミニバンをさらに便利にしてくれる機能ですね。

袴田 ただ、上に開くテールゲートは雨の中で荷物を積み込む際に雨よけとしても使われますので、きちんと残しました。それと、これは開発チームの女性メンバーから提案された機能なのですが、低速時にタイヤの向きをディスプレイに表示させるようにしています。車庫入れなどの際にタイヤの向きがわからなくなるというドライバーは意外と多いんですね。これは従来の開発陣だとなかなか考えつかなかった機能だと思います。基本的に運転が好きで慣れている社員が多いので(笑)。

風見 なるほど! できるだけ多くの人に運転してもらいたいという気持ちを感じる機能ですね。本日はありがとうございました!

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メカドック風見の眼
使われ方と基本性能、クルマの基本を見直した1台
単に新技術を搭載したのではなく、このクルマの使われ方をきちんと想定し、その中で必要となる機能を採用している点がすばらしい! デジタル技術の時代になってもクルマの基本は「走る・曲がる・止まる」という性能だというお話しにも深くうなずかされた。

 

イラスト/次原隆二 文/増谷茂樹 撮影/松川忍

※『デジモノステーション』2015年9月号より抜粋

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