【Music Hack Day Tokyo 2015】音楽とテクノロジーが混じり合った2日間

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「未来の音楽」をテーマに、音楽のハッカソン「Music Hack Day Tokyo 2015」が8月22〜23日の2日間にわたって開催された。会場は六本木ヒルズクロスポイントの6階、FreakOutのイベントスペースだ。

デザイナーやプログラマー、プランナーといったさまざまな専門分野からの参加者に加えて、25社のスポンサーとMashUp Awardからのヘルプのスタッフなど、総勢約200名という、昨年を大きく超える規模。その模様をリポートしたい。

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▲会場の風景。最後の追い込み中だ。

そもそもこのイベントは、「音楽の未来」をテーマにスポンサーから提供されるAPIやデバイスを使ってハッキングをするというイベント。2日目の最終日には参加27チームがプレゼンテーションを行い、最優秀賞10万円やスポンサーごとの賞を決定する。

特に、ソフトバンクが力を入れている『Pepper』や今年の「South By Southwest」(SXSW:音楽や映画、インタラクションなどのイベント)で高い評価を受けたスマートスニーカー『Orphe』、人の状態や動きをセンシングする『Human Vision Components-Consumer model』(HVC-C)、JINSのスマートメガネ『JINS MEME』など、ウェブサービスだけでなくリアルな物体とのインタラクションが多く見られた。

そんな中、まず紹介したいのが『Squeeze Music by GoGyo』。異彩を放ち、最優秀賞を獲得した。

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▲プレゼン直前でもまだ組み立て中の『Squeeze Music by GoGyo』。楽曲の分析にグレースノートのAPIを利用している。

この『Squeeze Music by GoGyo』は、例えばイントロはロマンティック、サビはエキサイティングといった楽曲のムードを分析して、その結果に従って5種類のジュースからミックスジュースを作るというもの。

バカらしいと言えばとってもバカらしく、真剣にこれを作ろうと思う方がどうかしてるが、2日間で実際に動くモノに仕上げたところが評価されたようだ。今回の評価ポイントは「完成度」らしいので、とにもかくにもアイデアを形にして動かすことが最重要ポイントだったのだ。

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▲プレゼンテーションを行うGoGyoのメンバー。

他にもニュース記事の文章を解析して脈拍数と連動した楽曲を生成する『ニュース音楽』や、スマホの写真から音楽を生成する作品、自分が持っている音楽から3Dのオブジェクトを生成するハック、電子書籍のマンガのクライマックスを検出してその内容に合った音楽を再生するものなど、いわば“変換モノ”のハックが多い印象を受けた。

デバイスとのインタラクションでは、エアギターをする『Pepper』の腕をねじって音色を変える、『Pepper』に盆踊りを躍らせる、モーションセンサーを使ってテルミン的な楽器を作る、鍬の先にスマホを貼り付けて振り下ろす度に音を鳴らす、ドラムの音や顔の表情を解析して「VOCALOID」に歌わせる──など、各チームの努力が伝わってくるものばかり。ただ、『Pepper』を使ったハックは本番でうまく動作しないチームが続出、デバイスを制御する難しさが現れた一面だった。

ちなみに、会場が一番ウケたのは『エドガーのええ動画』というハック。楽曲の歌詞から文節を抽出し、要素にあったイメージをGoogle画像検索から取り出して、曲に合わせて再生するもの。開発したのは外国人ペアで、「カラオケで歌に関係ない動画が流れるのが面白くない」というフラストレーションから生み出されたものらしい。著作権的には問題を抱えている作品だが、案の定、会場は大ウケ。審査員からも「カラオケメーカーさんと相談してサービス化したら?」というコメントが飛び出した。また、「著作権的にはこれはどうなんですかね?」と問われると「著作権なんかもうどうでもいい!」的な、正に会場の誰もが期待した回答をしてくれた。アイデアと技術を競い合う、ハッカソンならではの光景だ。

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▲分析した歌詞に合わせて画像を表示する『エドガーのええ動画』のデモ。さまざまな問題は実用化の時にクリアすればいい話だ。

総合的(もしくは冷静)に振り返ると、ソーシャルメディアとの連携やSNSの個人情報を集めて利用するようなハックや、個人または複数人で楽しむことの違いを意識したハックが全く見られなかった点、クラブやフェスでの利用を意識したものが多いと言うわりにはまだ利用方法の想定が稚拙なものが多く、今の音楽消費の現場感覚が透けて見えるようで興味深い側面もあった。

とはいえ、音楽と身体的なウエアラブルデバイスを組み合わせて新しいハックや体験の創造が期待できるイベントだった。日本のメーカーが多数スポンサーで参加していたことも、来年につながる明るい希望の兆しなのではないだろうか。

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▲最優秀賞を獲得したGoGyoのメンバーと審査員の記念写真。自撮りしてるのが微笑ましい。

文/松下康之

関連サイト
Music Hack Day Tokyo