【インタビュー】「新曲追加が従来との違い」開始から1カ月のLINE MUSICはどこへ向かうのか

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▲LINE MUSIC株式会社 取締役 高橋明彦 氏

若年層に圧倒的人気を誇るSNS、「LINE」が始めた定額制音楽配信サービス。他にない強みと、今後の狙いをLINE MUSIC高橋明彦氏に聞いてみた。

過去のサブスクとの違いは新曲が出始めたこと

このサービスを始めた理由を教えてください。
高橋 まずLINEとの親和性です。コミュニケーションツールと音楽は相性が良い。これは我々がずっと考えていたことです。音楽とLINEを絡ませることで化学変化が起きれば、ファンにとっても音楽業界にとっても良いし、LINEにとってもユーザーが活発化する。それが最初の構想で、いまもそれを目指しているところです。

ユーザーの反応は?
高橋 8週間で740万ダウンロードは、想定よりも良い結果です。曲の再生数、シェア、プレイリスト作成というユーザーのアクション率もどんどん上がってきて、実際に活発に音楽を聴いているのが数字で見えて、とてもうれしかったです。

過去のサービスとの違いは?
高橋 まず新曲が出始めたことです。今回は本気だというレコード会社の意識も、そのあたりに表れています。例えば三代目 J Soul Brothersの『Summer Madness』や、ケミカルブラザーズの新譜が無料期間中に出ました。あとはガジェットの進化による体験の向上です。ガラケー時代と違い、音質もiPodなどのプレイヤーで聴くのと変わらないですから。

他のサービスとLINE MUSICの違いは何でしょう。
高橋 これが我々の生命線だと思うんですが、シェアですね。昔、友達同士でCDを貸し合っていたみたいに、曲を介して「新曲出たんだ」とか「教えてくれてありがとう」みたいな話がLINEを通じて伝わる。コミュニケーションと音楽、“LINE×MUSIC”というものを伝えていきたいと思っています。

ユーザーの音楽談義を促すシェア機能
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▲LINEのトークやグループ画面に、LINE MUSICの楽曲がシェアできる。特定の人に送ってもいいし、グループなら例えば「これ知らなかった」「次のライブ行く?」のように話が回っていく。

CMでは、西野カナの『好き』を送るシーンがありましたが。
高橋 ああいう形でコミュニケーションの中で曲をポンと送ることで、今までとは違う新しい驚きが生まれるよね、と言うのが我々のメッセージです。コミュニケーションを進めるツールとしてLINEスタンプが流行ったように、音楽を盛り上げる仕掛けとしてうまくシェアが働けばいいなと思っています。

Apple Musicにはアーティストとつながれる「Connect」がありますが、そこはLINEの独壇場では?
高橋 アーティストのLINE公式アカウントがあるので、LINEと連動してファンとアーティストを直接繋げられるところは、我々の大事な仕掛けですね。EXILEのアカウントから、新曲をファンに直接送ることで再生回数が激増したり。これはファンも、アーティストにも喜んでもらえる良い仕掛けだと思っています。

LINEを介して繋がるアーティストとユーザー
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▲LINEの公式アカウントを持つアーティストを登録しておけば、アーティスト側から新曲のリリースのメッセージや、告知動画が直接届いて、LINE MUSICですぐに聴けるようになっている。

時間割で500円、学割で300円という料金設定は他にありません。レーベルの説得も大変だったのでは?
高橋 若年のユーザーには音楽にお金を払う習慣が無くなりつつある、そういう危機感が強いです。そこに届くメッセージは学割じゃないかと。いま無料サービスだけで音楽を聴いている人や学生に、まず利用しやすい価格で、サブスクを楽しんでもらって。そこからCDを買ってもらう、コンサートに来てもらう、新しくファンになってもらう、サブスクはその新しい入り口なんです。その将来性を見て頂きました。

海外には無料のフリーミアムモデルもありますが。
高橋 海外では違法ダウンロードや海賊版などで、CDなどパッケージが駄目になっているという大前提があって。それを打開するためにまずはフリーミアムで聴かせて、2割を換金化するんだという施策がハマり、広まったわけです。でもCDが世界で一番売れている日本においては、まだフリーミアムという劇薬を飲む段階ではないと。

課金後はどの程度のユーザー数を見込んでいますか?
高橋 他サービスの無料期間が平行で走っているので、様子見される方はいるでしょう。ただ、LINE MUSICの仕掛け、邦楽のラインナップで選んでいただける方は、相当数いるのではと思っています。

最後に今の段階で見えている到達点を教えて下さい。
高橋 例えばコミュニケーションに合った音楽とか、シェアするための音楽を、アーティストがそのために特化して作ってくれたり。それによってLINE MUSIC生まれの新しいアーティストが出るくらいまでになれば、サービスを始めた価値があるのかなと思っています。

 

取材・文/四本淑三 撮影/篠田麦也

※『デジモノステーション』2015年10月号より抜粋

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