製品を“アート”にするという差別化戦略【森永卓郎ニュース解説】

S-Style01

シンプル&スマートにデザイン性に注力!
シャープが、プラズマクラスター搭載の空気清浄機と加湿機の新製品として、「S-Style」シリーズを発表しました。最大の特長はそのデザイン。宇宙船のハッチのような大きな円盤が、前面にどんと鎮座しているのです。

あまりに前衛的なデザインなので、評価は分かれると思います。ただ、この挑戦は大いに評価されるべきでしょう。

空気清浄機は、PM2.5などの影響で急激に普及しましたが、ここのところ普及率40%台で足踏み状態になっています。また、さまざまなメーカーが参入して、価格競争も厳しくなってきました。その中で、他社と競合しない商品を作ろうと思った時に、1つの手段が、製品をアートにすることだったのだと思います。消費者全体の嗜好に合わせていたら、無難な商品になってしまいます。実際、家電量販店の空気清浄機売り場では、同じようなデザインの製品がずらりと並んでいて、どこのメーカーのものか区別するのが難しくなっていました。この「S-style」は、間違いなく一番目立ちます。

もちろん、機能面でも、進化があります。例えば、空気清浄機の『FP-FX2』は、トンボのはねの形状を応用した送風ファンを採用しています。動物の形状に学ぶ技術を「バイオミミクリ」と呼びます。例えば、新幹線の先頭部をカワセミのクチバシに似せた形状にして空気抵抗を減らしたり、パンタグラフにフクロウの羽の構造を採り入れて、風切音を減らすといった取り組みが、これまでも行なわれてきました。シャープは、これまでも「バイオミミクリ」を家電製品に積極活用してきた会社。実際、どれだけの効果があるのかは、よくわかりませんが、トンボのはねが回っていると思っただけで、心地よい風を想像してしまいます。しかも、シャープは、はねが回っている様子の一部がみえるようにしました。デザインを引き立てる心憎い配慮です。

加湿機の『HV-EX30』は、さらにアート度を高くしており、タンクの水量や部屋の湿度などを、7色のイルミネーションで表示する仕掛けになっています。

「人のやらないことをやる」ことを信条にしてきたシャープが、再び本領を発揮するタイミングがやってきたようですね。

シャープ
「S-style」シリーズ
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「S-style」シリーズは、“上質な空気のカタチ”をコンセプトに、空気をきれいにする様子やうるおう様子と、その効果が見えるシンプルかつスマートなデザインの製品群。シリーズ第一弾として発表されたのが、空気清浄機の『FP-FX2』(写真右)と、加湿器の『HV-EX30』(写真左)。同シリーズでは、とことんデザインを追求することで他製品との差別化を図っているのが特長だ。

森永卓郎
プロフィール
1957年東京都生まれ。東京大学卒業後、日本専売公社や三菱UFJリサーチ&コンサルティングを経て、現在は獨協大学経済学部教授。経済アナリストとして、テレビなど多方面で活躍。

※『デジモノステーション』2015年10月号より抜粋

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