【IFA 2015現地レポ】日本メーカーが向かうべき家電のインテリア化

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日本の家電メーカーが生み出す冷蔵庫は本当に素晴らしいです。

今、筆者が訪れているドイツのベルリンで開催中の世界最大の家電見本市『IFA 2015』でも、世界中の冷蔵庫を眺め続けることで、日本の冷蔵庫の素晴らしさは再認識できました。

かつての本格冷凍と冷蔵だけではない領域、つまり、3℃〜0℃のチルド、0℃未満から-3℃のソフトな氷点下帯、-7℃前後の微凍結エリア、そして新鮮さと瑞々しさを長期間キープする野菜室……。これらを食材別、かつ使う時期別に入れ分けられる、そんな高機能な冷蔵庫がここまで揃っている国は、世界でもおそらく日本だけだと思います。冷蔵庫ってもはや単なる保存庫ではなく、調理家電という位置づけなんですね。この事実自体は本当に誇らしいことです。

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▲シャーパブロレンツ(ドイツ)のレトロデザインの冷蔵庫。シルバーのリムや取手もレトロ。

とはいえ、諸手を挙げられる状況ではないダメなところもあります。それはデザイン。日本の大手家電メーカーの冷蔵庫のうち、ほとんどのモデルの外装は、現在ガラス面や鏡面でほぼ統一されています。ガラス面や鏡面自体、その光沢による高級感や汚れを拭き取りやすいなど、メリットももちろん大きく、それ自体が悪いと言っているのではありません。それだけしかないことがダメなんです。

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▲リープヘル(ドイツ)のカラー冷蔵庫。2014年のカラー人気投票で選ばれた3色。

昨年、冷蔵庫では評価が高い三菱電機が、最後発という形で、ガラス面材のガラストップ冷蔵庫を発売しました。これにより、ガラス面や鏡面をトップモデルで前面に押し出していない日本の大手家電メーカーは消滅。これは営業サイド、量販店による見えないプレッシャー、つまりガラス面や鏡面の冷蔵庫でないと取り扱えないという要望に屈したと某筋からは聞いています。お客さんのニーズが集中しているからと言われれば、それも仕方ないことなのかもしれない。でも、それって、ガラス面が大勢を締めている状況においてだとしたら、結果はそうなりますよね?

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▲リープヘル(ドイツ)のカラー冷蔵庫。デザインコンペの人気投票で選ばれた3モデル。販売はされてはいない。

ただ、本当にそうでしょうか?実際にIFAで世界各国のさまざまな冷蔵庫を眺めていると、その外装は本当に色取り取りさまざまです。このトレンドは昨年、一昨年と同様、今年も絶賛継続中。例えば、ドイツのLIEBHERR(リープヘル)やschaub lorenz(シャーパブロレンツ)、スロバキアのgorenje(ゴレニエ)といったメーカーの冷蔵庫を見てください。もちろん、これら欧州家電メーカーはこちらで一般的なビルトイン冷蔵庫や無骨でステンレス素材の大型冷蔵庫なども出していますが、一様にデザイン面、特にカラーリングや取っ手の形状などに趣向を凝らした冷蔵庫を用意しています。これらはなにも特別なものではなく、1枚〜2枚扉ながらも使いやすく、設置もしやすい容量やサイズ感で、しっかりとボトルなども収納できる棚も常備し、いろいろ小分けに入れられる冷蔵庫になっています。機能性は最新モデルとして十分ながら、それ以上に部屋のインテリアとして置かれても、十分目を引く、そんな冷蔵庫たちが揃っているのです。

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▲ゴレニエ(スロバキア)のレトロラインのカラー冷蔵庫。1枚扉と2枚扉のモデルが揃う。2枚扉のモデルは現在蔦屋家電で販売中。

もう一度言いますが、たしかにガラス面や鏡面自体は光沢もあり美しいです。でもそれだけしか選べない現在の日本の冷蔵庫市場はやっぱりおかしいでしょう。ガラストップもあれば、カラフルでマットな素材感の冷蔵庫があってもいいですよね? 答えは簡単で、それなら消費者が自分の好みのデザインや素材、そしてカラーリングを選べますから。

昨今のオープン化されたキッチンは、今やリビングの一部であり、人の目にも多くさらされるところとなりました。だからこそインテリアのように選べる冷蔵庫が、日本にももっと必要です。そうすれば、これまでのように、“壊れたから緊急で仕方なく買う”冷蔵庫ではなく、“自分のファッションに合わせたり、インテリアコーディネートの一環”として、冷蔵庫をデザインで購入できるはずです。そんな嗜好品として冷蔵庫が買えるような日本市場を、日本の大手家電メーカーには作ってほしいと、この遠いベルリンの地、『IFA 2015』の会場から望まずにはいられません。

文/滝田勝紀(編集部)