【IFA 2015現地レポ】スマホとつながるだけじゃない。人に優しいIoTが現実に

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ドイツ・ベルリンで9月4日に開幕した家電見本市『IFA 2015』もいよいよ佳境です。弊誌白物家電担当として、もっとも気になっているのが、スマートハウスやIoT(Internet of Things)の最先端状況について。生活家電がどれほど“スマート化”されて、ネットワークの一端に組み込まれているという現実をレポートします。

スマートハウスやIoTについてコンセプト展示が始まったのは、一昨年の『IFA 2013』あたりから。ただ、当時はまだまだ絵物語という状況でした。コンセプトだけが展示され、例えばスマホ上には、例えば洗濯機とかオーブンレンジを動かすための、アプリのユーザーインターフェースが表示されるだけ。つまり、実際にはほとんど動かない、もしくはほんの少しは操作できるぐらいでした。また、スマートハウスに関しても同様で、当時はとにかくすべての家電が家自体と融合して、どんどん生活が便利になりますよ! というメッセージぐらいで、リビングなどで展示しているところもあったものの、とても居心地の悪いスマートハウスでした。

が、あれから2年。今年は完全に状況が変わりました。まずはフィリップス。“Innovation and you”という企業メッセージとして掲げる同社は、どちらかというと伝統的な側面が色濃く残る欧州白物家電業界のなかで、欧州メーカーでは元々IoT分野に積極的なメーカー。今年もヘルス分野や調理家電分野などでその動きが加速していました。

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▲本体外観はすでに日本でローンチされたばかりの「7000シリーズ」とほとんど変わりませんが、アプリに新たな情報などが蓄積され、シェーバーと同期する必要がある場合などは、“i(information)”マークや、回転速度も電源に連動して表示されます。

日本でもローンチしたばかりの電動シェーバー「7000シリーズ」。IFAでは今年10月以降にローンチされるスマート化された「7000シリーズ」の新モデルが発表されました。こちらは世界初のペアリング機能を搭載したシェーバーで、アプリと連動することで、「市場最高の剃り味の優しさ」をより強めつつ、かつ常にアプリ内でユーザーの肌に最適な回転刃の速さを設定できるのが特長です。

アプリでは剃った日付や時間はもちろん、その時の回転数、肌に押し当てた際の圧、トラッキング表示できるほか、バッテリーの残り時間なども一目で分かります。また、剃り終わった時に、アプリが自身の肌の状態などについて質問してくるので、それに答えていくだけで、肌に対して最適なモードで毎日剃ることができるという仕組み。同社では21日間使い続けることで、健康な肌が得られるとのことです。

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▲「剃り終わった後の肌のヒリヒリ感はどうですか?」という質問がされるので、自分が感じる状態を4段階から答えます。

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▲日付、剃り上げた時間や回転数、取り付けているヘッドなども一目でトラッキング。

各種調理家電もアプリと連動しています。そのなかのひとつ「マルチクッカー」は煮込み系調理や焼き系料理、スープ類をはじめ、さまざまな料理に使えるアイテムですが、こちらもアプリと連動することで、普段料理をしない人や料理が苦手な人でも、スマホで料理ができるようになりました。

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▲Wi-Fi搭載のマルチクッカー。操作はすべてタッチ式。

アプリには100種類くらいのレシピが登録され、それぞれ細かく摂取できる栄養素なども説明されています。さらに調理を進める際にも、次の調理ステップなどをアプリがその都度スマートフォンで教えてくれるので、料理初心者などでも、そのやり方に従うだけで美味しく作れるのも特長です。また、忙しい主婦などはキッチンにいなくても「マルチクッカー」の状態を遠隔から確認でき、その場にいなくても料理ができるのはうれしいところでしょう。

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▲レシピは100種類、さまざまなジャンルを用意するとともに、自分のレシピも追加できます。

今回は「マルチクッカー」「コーヒーメーカー」などの調理家電がアプリと連動していましたが、将来的にはすべての調理家電がアプリと繋がることを目指すとのことでした。

スマートハウスに関しては、日本メーカーでも欧州メーカーでもなく、もっとも最先端な形態を示していたのが韓国勢。サムスンとLGです。この両者に共通するのが、スマートハウスのプラットフォームをオープンプラットフォームにしていること。つまり、プラットフォームを他社が自由に利用できることで、さまざまな家電をスマート化しやすい環境を用意しています。

ほとんどの家庭には多くのメーカーの家電が乱立しているのが普通。サムスンの「スマートシングス」に準拠していれば、自身のスマートフォンやウェアラブルウォッチなどのモニターで、どこからでも自宅と繋がることができます。しかも、オープンプラットフォーム規格なので、例えばフィリップスやボーズといったおなじみのメーカーをはじめ、大小さまざまなメーカーのスマート家電を、メーカーの垣根を越えて使えるのがポイントです。

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▲スマートハブシングス・ハブを中心に、サムスン自身も窓ガラスのセンサーや人感センサー、さらにはセンサー搭載の電源コンセントなどを用意。手軽に防犯化できたり、自宅の家電をスマート化できたりという環境を用意できます。

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▲自宅の玄関扉の鍵をスマート化できる「Yale」(イエール)のスマートセキュリティキーや、おなじみフィリップスの「Hue」(ヒュー)なども対応。

一方、基本的にLGも考え方は同じ。オープンプラットフォーム規格の「スマートシンクQ」を使うことで、家電はもちろんのこと、例えばクルマメーカーのフォルクスワーゲンなど異業種との連携も表明しているので、スマートハウスが家電だけではない領域とも連携する可能性大です。

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▲スマートシンクQのハブを中心に、スマホと連携。各家電にセンサーを取り付けることで、家電の遠隔操作が可能に。概念図には洗濯機、冷蔵庫、エアコンなどのほか、玄関の扉なども自在に動かせます。

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▲スクエアタイプのロボット掃除機はカメラを搭載しているので、外部からカメラを使って、家のなかの様子を見られます。冷蔵庫は内蔵カメラを搭載。ショッピング時に自宅冷蔵庫の食材のありなしを、その場で確認可能。

このほかにも、エレクトロラックスなど、いわゆる伝統的な印象の強かった欧州メーカーが“マイスマートホーム”と題して、スマートハウスをデモしたり、ボッシュは太陽光発電のエコ目線も連動させたスマートハウスを実際に展示していました。さらに、日本でもおなじみのブルーエアが、新たなスマート対応空気清浄機『ブルーエア・センス+』を展示していた点も注目です。

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▲ブルーエアCEOのベント・リトリ氏と新モデル・『ブルーエア・センス+』。今回スマート化したことをアピールしています。

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▲世界各国3000カ所以上の空気の状態を同時に測定。アプリを通じて、リアルタイムで知ることができます。ブルーエアは世界No.1の空気清浄機メーカーなので、当然その新モデル・ブルーエアセンス+はPM2.5をハイレベルに除去。

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▲ネイトロボティクスも黒一色のデザインがオトコ心をくすぐる新型ボットバックコネクティッドを発表。こちらもスマート化していた。

今後は、このIoT化・スマート化の流れがますます加速するのはもちろん、これまでとは違う“真に使える人に優しい”スマート家電が市場にどんどん登場するのは間違いありません。

文/滝田勝紀(編集部)