三菱自動車『アウトランダーPHEV』/“家電目線”のクルマレビュー

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独自のプラグインハイブリッドシステムを搭載し、大容量のバッテリーと発電用のエンジンを使い外部への給電もできる唯一無二のモデル。『アウトランダーPHEV」の実力を明らかにする。

外装を中心に刷新した独自の動力システムを持つ車種
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三菱自動車
アウトランダーPHEV
価格:359万6400円〜
EV走行を基本とした独自のハイブリッドシステムを搭載したSUVとして2013年に発売されたモデルがモデルチェンジ。外観を一新したのに加え、内装や静粛性などの高級感をさらに増している。ハイブリッドシステムの制御も最適化され、燃料消費率もさらに向上させた。

SPEC
サイズ:W1800×H1710×L4695mm 重量:1820〜1880kg 駆動方式:4WD 乗車定員:5名 充電電力使用時走行距離:60.2〜60.8km ハイブリッド燃料消費率:20〜20.2km/L エンジン:2.0L 4気筒DOHC 最高出力:60kW×2(モーター) カラー:ルビーブラックパール(有料色)/ホワイトパール(有料色)/ブラックマイカ/チタニウムグレーメタリック/レッドメタリック/クォーツブラウンメタリック/テクニカルシルバーメタリック

デジモノ的おすすめグレード
G Safty Package 価格:388万円〜
レーダークルーズコントロール衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備を標準で装備し、マルチアラウンドモニター(ルームミラー内表示)も搭載する「G Safty Package」がおすすめ。ホイールもこのグレードからアルミとなる。

高級感を増した走りと先進の動力機構が魅力
充電可能なハイブリッド車を意味するプラグイン・ハイブリッド(PH)と電気自動車を意味するEVを組み合わせた「PHEV」という車名が示す通り、モーターでのEV走行を基本とした動力システムを採用。それに、エンジンを発電機として用いる「シリーズ式」と、駆動力としても用いる「パラレル式」のハイブリッド走行を組み合わせる。

モーターをメインの動力として用いるため、静かで力強い加速が持ち味で、燃費などの環境性能も高い。欧州などで高級SUVとして高い人気を博しているのは、それが理由だ。

今回のモデルチェンジではその路線をさらに進め、静粛性や操縦安定性、乗り心地などを向上。SUVとしての完成度をさらに高めている。

SUVらしい走りの楽しさも健在で、アクセルを軽く踏み込むと、決して軽くはない車体を音もなく加速させる。バッテリーの容量が少なくなってきたり、バッテリーからの電力だけでは足りない加速要求があった場合にはエンジンが掛かるが、その部分もシームレスで違和感を覚えることはない。高速での加速などエンジンも駆動力として使われるが、モニタの表示を見ていなければ気付かないほどだ。上質な乗り味に加えて、予防安全機能なども搭載し、先進的なSUVに仕上がっている。

【使い勝手】
1500Wの電力を外部出力できる
電力を動力に用いるだけではなく、2つのコンセントから外部に出力も可能。2つとも1500Wという大出力に対応しており、多くの家電製品を動かすことが可能だ。ガソリン満タンでエンジンを発電機として用いた場合、一般家庭の約10日分の電力を賄うことができるので、非常時にも役立つ。もちろん、キャンプなどの外出先で電化製品を動かしたり、PCに充電することも。オプションで7万5600円(G Premium Packageでは標準装備)。

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▲1500W出力のコンセントは後部のラゲッジスペースと後部座席の中央に搭載。テールゲートを開ければ外部機器と繋ぐことができる。給電のON/OFFは運転席のボタンを押して切り換えることが可能だ。

【運転支援】
真上から見下ろしたようなビューを実現
車体を真上から見下ろしたようなアングルで、周囲の状況をモニタに映像を映し出す流行りの「マルチアラウンドモニター」(バードアイビュー機能付き)もしっかりと搭載。4つのカメラの映像合成にも違和感はなく、車庫入れなどの際の状況確認にも役立つ。後退時には、後ろのガイド線などももちろん表示する。

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▲車体の4方向に搭載したカメラで撮影した画像を合成することで、真上からのビジュアルを実現。周囲の状況を確認できる。

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▲ギアをバックに入れるとナビ画面が切り替わり、左側にバードアイビューが表示される。映像もクリアで見やすく、遅れも少ない。

【安全機能】
先進の予防安全技術を搭載
衝突被害軽減ブレーキ、レーダークルーズコントロール、車線逸脱警報システムをセットにした「e-Assist」を「G Safety Package」以上のグレードに標準装備。オプションではなく、標準装備とした点が高級車らしい。そのほかにアクセルの踏み間違いによる誤発進抑制機能もオプションで用意。上記のグレード以上に装着が可能だ。

車線逸脱警報システム(LDW)
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▲カメラで前方の車線を監視し、そこから逸脱しそうになると警報を鳴らしてドライバーに注意を促してくれる。車速60km/h以上で作動する。

衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)
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▲前方車両をレーダーで認識し、衝突の危険がある場合は警報と自動ブレーキが作動。速度差30km/hまでは衝突を回避可能だ。

レーダークルーズコントロールシステム(ACC)
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▲レーダーで認識した先行車に設定した車間距離で追従。減速や停止に対しても追従するので、ドライバーの負担を軽減する。

【動力機能】
モーター走行を基本としたプラグインハイブリッド
外部電源からの充電が可能なリチウムイオンバッテリーを搭載し、基本的にはその電源を使いモーターで走行。バッテリーが足りなくなってくると、エンジンを発電機として使う。エンジンの効率が良い速度域では、エンジンも駆動力として用いるという他にない高度なシ動力ステムを採用している。

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▲排気量2Lの4気筒エンジンは、多くの場面で発電機として機能し、駆動力として使う場面は限られるので変速機は非搭載。

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▲車体左側にガソリンの給油口、右側には充電口を装備。充電口は100V/200Vの普通充電と急速充電の2種類を搭載している。電気でもガソリンでも走れるのは、長距離ドライブなどでは安心感が高い。

デジモノ的注目ポイント
ハイブリッドとEVの良いとこ取りのPHEV
モーターならではの静かだが鋭い加速が味わえ、バッテリー残量に不安があればエンジンで充電が可能。ガソリンでも走行できるので、充電スタンドが見つからなくて不安になることもない。いわばEVとハイブリッドの良いとこ取りを実現したのがPHEVシステムだ。13
▲バッテリーを温存したい場合は「SAVE」を、走行中に充電したい時は「CHRG」を押せばOK。14
▲アクセルを戻した際の回生ブレーキの効き具合はハンドル部のレバーで5段階に調整できる。

 結 論 
航続距離の心配をせず、モーター走行を楽しめる
EVの走りの楽しさや経済性の高さは知っていても、航続距離に対して不安を持つ人も多い。このモデルのように発電用にエンジンを積んでいれば、バッテリー残量が少なくなっても不安を覚えずに済むだろう。実際には、日常的な移動距離で使っている限り、エンジンを必要とする場面は多くないが、その安心感がクルマを使う上では大きな違いとなると感じた。

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▲モーターによる走りの楽しさを存分に味わえる。モニタに今使っている動力がビジュアルで表示されるのも楽しい。

文/増谷茂樹 撮影/松川忍

※『デジモノステーション』2015年10月号より抜粋

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