全面液晶のメーターパネルを採用する『Audi TT』【よろしくデジテック】

メーターパネルにナビなどの情報も統合して表示するアウディの新感覚UI「バーチャルコックピット」。ドライブをより楽しむために開発された機能の実力を、メカドックの風見潤が探る。

アウディ
Audi TT
価格:542万円〜
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走りの性能を磨き上げたスポーツモデルの3代目。軽量・コンパクト化された車体に、パワーアップした2.0Lターボエンジンを搭載する。多くの先進的な安全技術も搭載しており、先駆的なUI「バーチャルコクピット」も採用。

 

ドライブに必要な情報を見やすく伝えられるUI

風見 今回、9年ぶりにフルモデルチェンジした『Audi TT』ですが、かなり先駆的な技術も搭載され、メーカーの意欲を感じました。

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▲メカドックの風見潤氏。漫画『よろしくメカドック』(作:次原隆二)主人公。作中ではチューニングショップ「メカドック」のメカニック兼ドライバーとして活躍。

山口 ありがとうございます。このモデルが3代目ですが、初代「TT」のイメージに回帰し、車体やデザインも見直して、走りの性能も高めました。また、ブランドのアイコン的なモデルでもあるので、先進的な技術も積極的に採用しています。

風見 特に「バーチャルコックピット」は新鮮でした。メーターパネルの中にナビの情報も表示するというやり方は非常に合理的ですし、この方法があったか! と思いました。

山口 ドライバーにいかに効率良く安全に情報を届けるか? を突き詰めて行った結果生まれたのが「バーチャルコックピット」です。メーターパネルを全面液晶にして、そこに地図であったり車両の情報などを表示すればドライバーの視線移動も少ないですし、わかりやすく情報を伝えることができます。

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▲メーターパネルは12.3型の全面液晶とされ、その中に地図やルート案内などのナビ情報も表示。目の前に必要な情報が全て表示されるので、ドライバーは視線をあまり動かさずに情報を得ることができる。表示パターンも選べる。

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▲地図を広範囲に表示する「プログレッシブ」のほか、スピードメーターなどを大きく表示する「クラシック」をシーンに合わせて切替可能。

風見 確かに通常のセンターパネルにあるカーナビを見ることを考えると視線の移動ははるかに少なくなりますね。実際に運転していてもすごく見やすいですし、一度経験するとむしろこちらがスタンダードになるべきではないかと思うほど自然に情報が得られました。

山口 そう言っていただけるとうれしい限りです。開発に当たっては視認性と操作性、それにデザイン性にこだわっています。いかにドライバーの視線移動を抑えてわかりやすく情報を伝えられるか。前を向いたまま直感的に操作できるか。そして、それを美しくデザインできるかという3点ですね。

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▲アウディ ジャパン マーケティング本部の山口弘明氏。国内におけるマーケティングや商品企画を担当。「TT」シリーズのほか、プラグインハイブリッドの『A3 Sportback e-tron』なども担当している。

風見 ナビゲーションをはじめ、クルマからの情報や、ドライバーが操作すべき項目は以前より格段に増えていますから、それをわかりやすく整理して伝えることは重要ですね。

山口 そうですね。以前ならドライブ中に聴く音源にしてもカセットテープかラジオくらいだったわけですが、今ですとスマホやiPodをつないでいたりして、曲送りやプレイリストを選んだりと操作も増えていますからね。そうした情報をいかにわかりやすく表示して、直感的に操作してもらうかに心を配りました。

風見 特に、このクルマはオンラインニュースを取得できたり、走行モードを選べたり、伝えるべき情報も多いですもんね。

山口 はい。かといって、表示される情報量が多すぎるとわかりにくくなってしまいますから、取捨選択をして量を絞りながらドライバーの望んでいる情報をいかに提供できるかという点に一番苦労しました。

風見 確かに得られる情報を全部表示していたら、ドライバーも混乱してしまいますもんね。

山口 ですから、表示もメーターを大きく映す「クラシック」ビューと、地図などを大きく表示する「プログレッシブ」ビューを選べるようにしています。12・3型と大きな画面ですので、「プログレッシブ」では従来のナビでは見られなかった範囲まで表示できます。例えば速度が出て走りを楽しみたいシーンではメーターを大きく、初めて行く場所では地図を大きくというようにシーンに合わせて使い分けていただけます。

 

ドライブに集中できるUIだからこそTTに採用

風見 メニューなどの操作も直感的でわかりやすかったです。

山口 そこもこだわった部分です。前を見ながら操作できるようにするためには、手元を見ないで直感操作ができないといけませんから。操作のためのボタンやダイヤルも、ハンドルの左手側と、センターコンソールの2箇所に設けて、どちらか好みの方で操作できるようにしています。

風見 センターコンソールのタッチパッドでは手書き入力で漢字も認識できるのでビックリしました。しかも、認識精度がかなり高い。

山口 その辺りの機能は、かなりブラッシュアップを行なっています。文字入力や音声での入力の認識精度はかなり高いはずです。

風見 操作に対する反応もかなり速いのでスマホやタブレットを触っているような感覚で操作できました。

山口 そこも意識した部分です。やはりスマホの操作感に慣れたユーザーさんが多いので、それに近付けるようにクワッドコアのCPUなどを採用しています。

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▲燃費や走行モードなど、車体に関する情報も表示が可能。バックギアに入れれば、バックカメラの映像も映し出される。表示の切り替えは手元のコントローラーでタブを選ぶことで操作可能で、ドライバーは前方を見たまま直感的に操作可能。60fpsでの表示に対応し、タブの切り替えやスクロールなどの操作に対する反応も速いのでスマホユーザーでもストレスを感じない。

風見 ハンドルを握ったままオペレーターの人と通話で目的地を設定できるのも便利ですね。

山口 LTE通信に対応し、ネットワークにつながっているからこそできる機能です。ほかにもオペレーター経由でホテルやレストランなどの予約をしていただくことも可能です。

風見 忙しいビジネスマンにはうれしい機能ですね。今回、この新しいUIを「TT」シリーズから導入されたのは、何か理由があるのですか?

山口 「TT」シリーズはドライバーオリエンテッド、ドライビングを楽しむためのモデルです。ですから、運転を楽しむことに集中していただける機能として真っ先に採用しました。従来のセンターに位置するナビですと、どうしてもドライビングに対する集中を削いでしまっている部分があったと思います。それをできるだけ集中してもらいたいと、ドライバーのことを第一に考えた結果です。

風見 確かにドライビングに集中したいクルマですもんね。できるだけハンドルを握ったままで、前方から目を離したくない。そういう意味では「バーチャルコックピット」が似合うモデルですね。

山口 「ドライブセレクト」でエンジンや足回りのセッティング変更もできますので、より運転を楽しんでいただけます。その変更も「バーチャルコックピット」の画面で可能です。

風見 今後はほかのモデルにも展開されていくのでしょうか?

山口 その予定です。ただ、このモデルではセンターのディスプレイもなくして、ドライブに集中していただけるようにしていますが、ファミリー向けのモデルなどに搭載する場合、センターのディスプレイは残すことになると思います。家族で楽しむクルマで、音楽などエンタメ機能がドライバー以外操作できないのでは困りますから。

風見 それは楽しみですね。新しいクルマのUIとして期待しています。本日はありがとうございました!

 

メカドック風見の眼

eye
クルマの走る楽しさとデジモノ的な操作感が融合
ドライバーに伝えるべき情報を目の前に表示するという発想は非常に合理的。実際にハンドルを握っても、見やすく視線移動も少ないので、ドライブの集中力を減らすことなく必要な情報を得られる。操作感も直感的で、クルマなのにデジモノ的なのも面白い!

 

イラスト/次原隆二 文/増谷茂樹 撮影/松川忍

※『デジモノステーション』2015年12月号より抜粋

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