富野由悠季、SUGIZOも参戦で燃え上がる“1/1ガンダムを動かすプロジェクト”

お台場に立った、あの“実物大ガンダム”を今度は歩かせるぞ! というプロジェクトが本格始動です。

全長18メートルの実物大ガンダムを動かし一般公開するプロジェクト「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」。プロジェクトのアイデアは昨年7月から一般公募されていましたが、その第一次選考発表会が先日行なわれました。

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▲発表会登壇者の圧倒的顔ぶれ! 『機動戦士ガンダム』総監督の富野由悠季氏を囲むのはLUNA SEA/X JAPANのギタリストSUGIZO氏(!)、映画監督の本広克行氏、技術監修として早稲田大学副総長・理工学術院教授の橋本周司氏、中京大学工学部教授のピトヨ ハルトノ氏、そしてプロジェクションマッピング技術などで有名なライゾマティクスの齋藤精一氏。創通、サンライズ、バンダイ、バンダイナムコホールディングスといったガンダム関連企業のトップも勢揃いです。

今回の第一次選考では、18メートルのガンダムを実際に動かす「リアルエンターテインメント部門」と、視覚効果を利用して仮想空間で動きを再現する「バーチャルエンターテインメント部門」という2部門での選考を実施。「リアルエンターテインメント部門」から4つのアイデアの受賞が発表されました。
(なお、「バーチャルエンターテインメント部門」について今回は“該当なし”とのこと)

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▲木原 由光氏(47)による『外部電力供給式軽量型ガンダム独立歩行システム』。

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▲金子裕哉氏(24)による『ガンダムとザクに相撲をとらせて四脚にした自立歩行(または足を上げて一歩踏み出し)の実現』。

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▲Ming-Hsun Chiang(ミンスンチェン)氏(36)による『ロボットが人間のような歩行を実現するための、ヒューマノイドロボット歩行に関連する新しいメカニズムの提案』。

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▲岡田 慧氏(42)による『ガンダム・リサーチ・プラットフォームの開発』。

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▲授賞式では、創通・青木社長とSUGIZO氏から認定証と目録の授与が。個人的には「SUGIZOさんから表彰されるなんてそうそうない名誉だよなぁ……」と目頭が熱くなるシーンでした。

それぞれの内容について詳細なプレゼンまでは行なわれませんでしたが、映画監督の本広克行氏が今回受賞のアイデアに関連する「ガンダムの動きを考えるための参考映像」を公開。

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▲わずかな時間ながらも、ヌルヌルと本物らしいモーションで動くガンダムと、“ガンダムとザクの相撲”のイメージなどを垣間見ることができました。

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今回の登壇者の中でもひときわ異彩を放っていたSUGIZO氏、実はこのプロジェクト発足の発表会からメンバーに名を連ねています。これは、「SF少年だった頃まさにガンダムに夢中だった」(同氏)ということと、かつてガンダム30周年の2009年に『GUNDAM UNPLUGGED』というコンピレーションアルバムに参加した縁からだそう。入場時にその一曲が流れたわけですが、劇場版『機動戦士ガンダムIII』挿入歌「ビギニング」のアコースティックギター+バイオリンによるカバーバージョン……これが超渋い(カッコイイ)んですよ!
※この会のあとすぐにCDを買いに走ったのですが、現在は残念ながら廃盤とのこと。

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そして富野由悠季監督。今回のプロジェクトについてのコメントがあったのですが、さすが、これが非常に腑に落ちるというか、核心に迫る内容でした。以下、要点を抜粋します。

小中学校のときに少年雑誌の特集ページで見知ったようなことですが、“新型機の開発と生産と運用”ということを考えたときの面倒くささっていうのを、なぜか本能的に知ってから今日まで来てますので、こういう絵空事で物を考えている人たちが大嫌いで、困ったものだなぁ……というのがひとつあります。
(中略)
だからこそ、夢とロマンがガンダムにあるならば、本広監督が考えているようなガンダムのあの動きぐらいのことはやってみせようぜ! とトライすることは、「リアリズム」でものを考えていくための礎になると思っているんです。ですから、やっていいことだという風に本当に思ってます。
(中略)
今こういう平和な時代だからこそ、そしてガンダムという素材であれば当たり障りがなく、どこからも袋叩きにされないだろうから、これをもってしてリアリズムで工学という部分から攻めていきたい。
(中略)
本当に今、技術でどうとでもごまかせる時代になっているんだけれども、人型のものを動かす ということが工学的にどれほどバカバカしくって大変なことか。だけどそれを達成していったときには応用技術も生まれるだろう……という意味では、ブレイクスルーになるような要因ははらんでいると思ってるんです。

ですから一見、遊びごとかもしれないんだけど、この遊びごとを今できるという平和な日本はとても素敵だと思いますので、新たに参加してくださった皆さん方を含めて、もうちょっと具体的に考えて、せめて本広監督が考えているようなめでたい(笑)立ち上がるガンダムが見せられればなぁ、見せてほしいよと。それはまさにこの歳になった自分としてはとてもうれしいことだから。

で、それが一体なにになるのか? ということについては今、皆さん方は本当に想像ができないと思います。……が、僕自身“動かない1/1(ガンダム)”を見せられたときに「奈良の大仏には負けてるけれども、少しは勝ってるかもしれない」という意味での感動を受けましたし、やはり歳をとった自分を生かさせてもらってるというような感触を得ました。そういう意味で、もし、どうであれ動いてくれたら、また次の何かを考えてくれる人たちが出てくれるんじゃないか。考えてくれる子どもたちが出てきてくれるんじゃないのか。……その子どもたちが(ガンダムを動かすことの)問題点やバカバカしさ、いい加減さについて言うのかもしれない。だけど、そういうことを考えさせてもらうためにもですね、具体的にこういうことをやってみせる、ということはとても大事だと思っておりますので、今後ともよろしくご協力いただきたいと思います。
(富野由悠季監督・談)

時間にして5分程度ながら、富野監督がこのプロジェクトをとても大事にしていることがわかる、背筋がシャキッとするようなスピーチでした。

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最後には、「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」今後のロードマップも披露。
『機動戦士ガンダム』が40周年を迎える2019年のプロジェクト成果発表に向け、さらに具体的なプランが来年以降動き出します。

18mの立像がお台場に立った2009年から10年、ガンダムは偉大な一歩を踏み出せるのか? 全世界が注目しています。

文・撮影/柳 雄大(編集部)

(c) 創通・サンライズ

関連サイト
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