仮想と現実をつなぐ驚きの技術が勢揃い!「SIGGRAGH ASIA 2015」のポイントまとめ

“冬のSIGGRAPH”と呼ばれる「SIGGRAPH ASIA(SIGGRAPHアジア)」が先月、6年ぶりに国内(神戸)で開催されました。

「SIGGRAPH」は毎年夏にアメリカで開催される、CGとインタラクティブ技術に関する国際カンファレンスです。本来は世界中の研究者や専門家が集まって研究論文を発表するというお堅い場なのですが、その中にはまるでSFや魔法かと思えるような技術もあり、ニュースなどにも時々取り上げられているほど。この「SIGGRAPH」のアジア版が「SIGGRAPH ASIA」なわけです。

最近は時代に乗って、VRやAR、ロボティクスに関する技術の発表が多いようですが、特に今年は「ハプティクス」と呼ばれる触感をフィードバックする技術でいろいろ面白いものがありました。

「ハプティクス」(またはハプティック)はインタラクティブ技術の一つで、CGやVRなどでバーチャルに作られたモノが実際にそこにあるかのように触ったり、実際に動かしたりできる技術のことをいいます。最近、日本から新しい技術が次々発表されているのが、指向性の高い音波を使って触感を再現するという技術です。

「Hoptomime」は空中映像触覚インタラクションシステムと呼ばれる技術で、空中に映し出されたピアノを弾いたり、電卓を操作したり、別のところにある物体を動かしたりできます。映像もスマートグラスやHMD無しで裸眼で扱えるのが特徴。
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ハプティクスはテレイグジステンスという離れた場所からモノを動かす技術にも応用されています。「視触覚クローン(Haptoclone)」は、目の前に映し出された風船の映像を触ると、別の場所にある風船を動かせるという技術で、まるで2つの物体が同時に存在するような不思議な錯覚に陥ります。
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「Haptic Ediator」というソフトウェアは、ペン型デバイスでタッチしたテクスチュアを画面の中にあるCGに貼り付けることができます。素材のデータを用意しなくても、実際にタッチするだけでデータが取りこめるので、服のデザインやインテリアのコーディネートなどに応用できそうですね。
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他にもディスプレイを触ると実際に素材の感触がわかるバーチャルなテクスチュアを再現する技術も開発されていて、近い将来はオンラインで実際に商品の手触りを確認して買物をするなんてこともできるようになるかもしれません。
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触感の再現はいろいろニーズがあって、人の手や指の動きを再現したモバイルマッサージ器も開発されています。
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身体全体の感覚をフィードバックする「SOIDAR-W」というデバイスも開発されていて、身体全体をフレームで覆うようにセンサーやカメラを配置し、VR空間の中にあるものを動かす仕組みになっています。
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画面の中にいる相手とスポーツやゲームで対戦するバーチャル技術はすでにいろいろありますが、「SMASH」はラケットやゴルフクラブに付けるとボールの感触がリアルにフィードバックされ、離れた場所からでもプレイが楽しめるとのこと。靴やいろいろなスポーツギアに装着できるので、離れた所にいる友達と一緒にプレイしたり、インターナショナルなスポーツ大会が手軽にできたりしそう。
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何もない空間に映像を投影する技術もいろいろ発表されており、近い将来はスクリーンやディスプレイは不要になるかもしれません。「Interactive Volumetric Fog Display」は細い蒸気にフルカラーで360度から見られる映像を投影する技術で、想像以上にくっきりと映像が見られるのが特徴です。『Kineect』と組み合わせて映像を動かすこともできますし、蒸気を吹き出す音も気にならないほど静かでした。他にも空間に移し出した映像を360度から見て触れられる技術は複数出展されていて、3Dのプロジェクションマッピングなどへの応用も進んでいるそうです。
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最もユニークだったのは、VRを経由して他人の体験を共有する「JackIn Head」というデバイスです。360度撮影できるアクションカメラを装着した相手の動きをHMDで見ることでリアルタイムに感じられるというもので、これまでに体験したことがない不思議な感覚が味わえます。もともとはプロの視点でスポーツをバーチャルに体験するために開発されたそうですが、だんだんとリアルタイムに共有する技術へと発展したそうです。複数の人が同時に「JackIn Head」を付けて鬼ごっこをする実験では、自分から見えない位置にいる相手を誰かの視点から見つけてタッチするという超人的な動きができるようになることが証明されたとかで、システムを使った新しいVRゲームがこれからできるかもしれません。
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メディアアートの出展コーナーもあり、ロボットの稼働部だけを取り出した「Apostroph」や、相手と触れた時だけ視覚が取り戻せるヒューマンカメラ型のウェアラブルデバイス「Touchy」、エヴァァンゲリオンでおなじみのATフィールドを視覚化した「AT Field_Paralyzed Sense」というなんともいえない不思議な味わいの作品が展示されていました。
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これからモバイルデバイスの高機能化が進んで、来年はVRや3Dコンテンツを扱うのが当たり前になりそうなだけに、「SIGGRAPH」で発表されたハプティクスのような技術がどこまで実用化されるのかが楽しみなところです。

 

文/野々下裕子

関連サイト

SIGGRAPH ASIA 2015