【レビュー】優れた操作性で“写真を撮ること”がどんどん楽しくなる『PowerShot G5 X』

大口径な光学4.2倍ズームを継承する“G”シリーズ初の内蔵EVF搭載機

キヤノン「PowerShot G5 X」は、同社のプレミアムコンパクト「PowerShot G」シリーズの最新機。2014年に発売された薄型ボディで光学4.2倍ズーム機「PowerShot G7 X」の上位モデルにあたり、24〜100mm相当の大口径光学4.2倍ズームを受け継いで、同シリーズでは初めてEVFを内蔵。また、外部ストロボ用のホットシューを備えることや、ダイヤル類が多彩になったこと、USB充電に対応したのも見どころだ。

撮像素子には1型2020万画素のCMOSセンサーを、処理エンジンには「DIGIC 6」を搭載。最高感度はISO12800で、連写は約5.9コマ/秒、動画はフルHDに対応。高機能と携帯性、高画質を兼ね備えている。

キヤノン
PowerShot G5 X
実勢価格:9万1300円
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SPEC
サイズ:W112.4×H76.4×D44.2mm 重量:377g 撮像素子:1.0型 有効画素数:2020万画素 光学ズーム:4.2倍(f=24-100mm) 液晶モニタ:3.0型(約104万ドット) 手ぶれ補正:マルチシーンIS 連続撮影枚数:約215枚 記録メディア:SDメモリーカード(SDXC対応)

 

基本性能をCHECK!!

本格マニュアルモードから気軽なオートまで機能満載
撮影モードはフルオートからフルマニュアルまでを完備。1回のシャッターで連写と画像合成を自動的に行い、広階調の写真に仕上げる「ハイダイナミックレンジ」モードや、8種類の特殊効果が選べるクリエイティブフィルターモードなども用意されており、表現の幅が広まる。

前面のダイヤルですばやく設定変更
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ボディ前面に電子ダイヤルを新装備し、各種機能のスムーズな操作を実現。ダイヤル側面には綾目のローレットが刻まれ、その感触は良好だ。

光学4.2倍ズームの明るいレンズを搭載
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光学1倍(左)と光学4.2倍(右)。ズームのワイド端は焦点距離24mm相当で開放値F1.8に、テレ端ではF2.8に対応。暗所や夕暮れでも被写体ブレを低減できるメリットがある。また、背景をぼかして撮る表現もしやすい。

 

撮影で活躍する快適装備

機能をすばやく設定できる多彩なボタンやダイヤル類
天面のモードダイヤルでは、オートからマニュアルまで10の撮影モードが選べる。このうち絞り優先AEやシャッター優先AE、マニュアル露出モードを選んだ場合、レンズの鏡胴部にあるコントローラーリング、または前面の電子ダイヤルを使って絞り値やシャッター速度の調整ができる。コントローラーリングと電子ダイヤルのどちらを優先利用するかは、自分の撮影スタイルに応じて選択可能だ。

機動性抜群の操作系
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レンズ周辺のコントローラーリングと、前面の電子ダイヤルのほかに、露出補正ダイヤルや背面にコントローラーホイールも装備。いずれもEVFを覗きながら操作しやすい位置にある。

EVFの表示位置が自動変更される
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カメラを縦位置に構えると、EVF内に表示される各種の撮影情報が、自動的に縦位置に合わせて表示される。ヒストグラムや電子水準器の表示にも対応。

バリアングル液晶を搭載
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バリアングル液晶を採用。カメラの縦/横位置を問わず、ロー/ハイアングルでの撮影が快適。液晶面をレンズ側に向ければ自分撮りも可能だ。

 

こだわりのマニュアル向け機能

充実した撮影機能によって幅広いシーンに対応可能
撮影機能として注目なのは、シーンの明るさに応じてON/OFFが自動設定される「オートNDフィルター」や、インターバル撮影と画像合成によって夜空の星を光跡として記録する「星空モード」。使うシーンは限られるものの、旅行やレジャーの際に活躍するのが強みだ。さらに、最長256秒の長時間露光を可能にするバルブ撮影や、スマホからのリモート撮影などができ、汎用性が高い。

広角端5cmでマクロ撮影
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最短撮影距離はワイド端で5cm、テレ端で40cmに対応。雑貨などの小物や植物などのクローズアップ撮影のほか、文書のちょっとした記録にも役立つ性能だ。

MF拡大表示が可能
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MFの際は、被写体の一部を5倍または10倍で拡大表示にできる。拡大部を画面全体に表示できるので、厳密なピント操作が行えるのがうれしい。

ピーキングに対応
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MFの際にピントが合った部分だけを色付きの線で強調表示できる“ピーキング”機能を搭載。液晶やEVFだけでは確認しづらい被写体でも正確に合焦できる。

 

使い倒しインプレッション

高精細なEVFとバリアングル液晶を両立
キヤノン「PowerShot G5 X」を手にしてまず注目したのは、これまでの同社コンパクトカメラとは少し雰囲気が異なる外観デザインだ。一眼レフを思わせる左右のバランスが取れたスタイルであり、平面や直線を多用することでシャープな印象を作り出している。外装は表面にレザートーン塗装を施したフルブラック仕上げ。手にすると、高品位な質感としっかりとした剛性感が伝わってくる。サイズは男性の手の平にすっぽりと隠れるくらい小さく、バッテリーやカードを含めた質量は約377gと軽い

しかも、この小ささでEVFを備えていることがありがたい。EVFの仕様は0・39型/約236万ドットの有機EL。接眼部が小さいにもかかわらず、覗いたときに表示は大きめで、精細感は高い。周辺まで像が流れることなくくっきりと表示でき、コンパクトカメラの内蔵EVFとしては比較的優秀な視認性を実感できた。ファインダーの表示設定を「高速」に切り換えることで、表示レートを120fps相当に高められる点も便利だ。動きの激しい被写体も、より見やすくなる。

一方で液晶モニターには、3型/約104万ドットのTFTを装備する。こちらも視認性は良好でクリアな発色と十分な精細感を確認できた。気になるのは、液晶のタッチパネルを操作するために指を近付けると、接眼部のアイセンサーが反応して不用意にEVFに切り換わってしまう場合があること。慣れれば回避できるが、アイセンサーの感度を調整可能にしてほしいところだ。とはいえ、液晶が左右に180度、上下に270度まで開くバリアングル式なので、液晶を可動させてから撮影する場合は全く気にならない。既存モデル「G7 X」のようなチルト式とは異なり、縦位置に構えた際にもローアングルやハイアングルで撮影がやりやすく、構図の自由度は非常に高い。

そのほか、望遠側で約0.16秒、広角側で0.12秒と非常にスピーディーなAFや、コンパクトモデルでありながら一眼レフ機のように多彩なダイヤルによる直感的な操作性にも注目だ。また、旅行に持っていく際、チャージャーを別途用意しなくても済むUSBからの充電に対応しているという点も便利で気に入った。

 

画質CHECK!!

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24mm相当というワイドな画角を生かし、広がりのある構図で撮影。近景から遠景までの広範囲に合焦するように絞り値はF8にした。PCで等倍表示にすると、建物の窓までシャープに解像していた。画像クリックで元データを表示。

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強力なマクロ機能を利用して、雨上がりの濡れた花をクローズアップで撮影。初期設定の画質傾向は、彩度とコントラストがやや高く、適度なメリハリ感がある。質感があり、立体的に仕上がった。

 

結論

EVFを使った撮影を重視する人に
最近のコンパクトカメラは、液晶モニタのみという製品が減ってきた。液晶のみでは明るい屋外撮影では視認性が低下するし、暗所では手ブレの危険性も高くなる。そんな不満を感じる人にとって小型軽量ながら高精細EVFを搭載した本機はありがたい存在だ。また、多彩なマニュアル機能を生かして、一歩上の写真が撮りたい人にもおすすめだ。

 

文・作例/永山昌克 撮影/松浦文生

※『デジモノステーション』2016年1月号より抜粋

関連サイト

PowerShot G5 X製品情報