自動運転のリアルな未来を体現する日産のコンセプトモデル【よろしくデジテック】

運転手とのアイコンタクトの代わりになるものは!?

風見 人とクルマの関係では、歩行者に対してクルマが文字でメッセージを表示する機能も面白いですね。

田井 これまでであれば、ドライバーが歩行者に向かって身振りやアイコンタクトで「おさきにどうぞ」といった意思を伝えていたわけですが、自動運転になった時、道路を共有している人たちに対して、どのように意思表示をすればいいのか? ということを考えました。

風見 確かに。運転中は思った以上に周囲の人たちと無言のコミュニケーションをしていますもんね。

田井 全てのクルマが自動運転になれば、そうした心配はいらないのかもしれませんが、自動運転車両は始めのうちは従来のクルマと違う“異物”として交通社会に出るわけです。それを受け入れてもらうには、まずこのクルマは自動運転中なのか否かということを車外に伝えないといけません。そこで自動運転中はLEDが光って車外にそれをアピールするようにしています。それだけでなく、歩行者などに対しては文字で伝えるのが一番わかりやすいだろうと考えてディスプレイを搭載しました。

歩行者などに対してクルマが意思を表示

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自動運転時代におけるクルマと社会の関わり方についても提案。自動運転中はエクステリアのLEDライトが点灯し、自動で運転されていることを車外に示す。また、歩行者や自転車といった同じ道路をシェアしている利用者に対して、メッセージを表示する機能も搭載している。 ドライバーが身振りやアイコンタクトで行なっていたコミュニケーションを代替する機能だ。

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▲フロントウィンドウにディスプレイを搭載しており、横断中の歩行者などに対して「おさきにどうぞ」などのメッセージを表示させられる。

寸田 LEDの光も、人が近付いている部分が明るくなるようにして“クルマがあなたを認識している”ことを表現するようにしています。

風見 確かに歩行者や自転車からだとクルマが自分を認識してるのか?という部分が気になりますからね。

寸田 自動運転が社会に受け入れられるためには、そういうコミュニケーションも必要だと考えています。

風見 今後、自動運転車が普及するためには何が必要なのでしょうか?

寸田 技術のさらなるブラッシュアップと法的な整備が必要ですね。ドライバーが前方を見ていないクルマが走っていいという国は今のところありませんから、そうした議論から始める必要があります。

田井 ただ、自動運転は今後の社会にとって必要なものではあると思います。例えば高齢で運転はできないけれども、買い物や病院などには行かなければならない。しかし、公的な交通インフラは整っていないなど、自動運転が必要とされる状況は、今後どんどん増えていくはずです。

風見 自動運転に対するニーズは高まっていくということですね。

寸田  そうですね。でも、このモデルでは“自動運転時代になっても自分で運転したいというニーズもあるはずだ”という思いで作りました。

風見 自動運転になっても“クルマを運転する楽しさ”はなくならないということがわかって安心しました。本日はありがとうございました!

メカドック風見の眼
eye
自動運転の普及をリアルに意識したクルマ
クルマ単体だけでなく、自動運転時代の人とクルマの関係のあり方まで提案している点がすばらしい。個々のドライバーのクセや好みに合わせて運転の仕方を学習してくれる機能も、自動運転を多くの人に使ってもらうためには欠かせないものだと思う。

イラスト/次原隆二 文/増谷茂樹 撮影/松川忍

※『デジモノステーション』2016年2月号より抜粋

関連サイト

Nissan IDS Concept

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