シロモノ家電のIoT化を加速させるのはスマホ?【森永卓郎ニュース解説】

冷蔵庫が大型のタブレットになる未来

サムスンが、21.5型のフルHDタッチディスプレイを備えた冷蔵庫『Family Hub』をこの春から発売すると発表しました。

この冷蔵庫は、スマホとの連携が強く意識されていて、買い物リストやメモ、リマインダーの表示ができます。また、冷蔵庫のディスプレイ上の情報をスマホで見ることもできます。さらに、冷蔵庫内にはカメラが設置されていて、スマホから、中に何の食品がどれだけあるのかを確認できるのです。そのため、買い物に出かけた後、夕食のレシピを考えながら、スマホで食材の在庫を確認して、足りないものを買って帰るという使い方もできるわけです。

また、ディスプレイにはテレビ映像を表示したり、内蔵スピーカーで音楽を聴くこともできます。冷蔵庫が巨大なタブレットになったと言っても、いいかもしれません。

実は、こうしたディスプレイ搭載冷蔵庫は、2015年10月にハイアールアジアが、世界で初めて『DIGI(ディジ)』という名前で発表しており、冷蔵庫のちょっとしたトレンドになろうとしています。冷蔵庫が置かれているキッチンは、リビングのテレビから離れていることも多く、また、冷蔵庫の扉がディスプレイを設置するのにちょうどよい面積を持っているのが、こうした商品が登場するきっかけでしょう。ただ、ディスプレイ搭載冷蔵庫は大きく、設置するには台所にある程度の余裕が必要なので、日本での普及は未知数です。実際、『Family Hub』も、最初は米国市場に投入される予定になっていて、日本での発売は決まっていません。

こういった家電が登場して、残念に思うのは、家電とネットの融合が、本当は日本発祥だということ。日の丸家電メーカーは、スマート家電として、10年以上前から取り組んできているのです。それが今になって脚光を浴びるようになった要因は、何と言っても、スマホが爆発的に普及したからでしょう。

新しいトレンドを生み出すのには、アイデアや技術がもちろん必要ですが、もう一つタイミングというのも、とても重要なのだということを、ディスプレイ搭載の冷蔵庫は、物語っているのではないかと思います。

サムスン
Family Hub
familyhub

CES 2016にて発表された『Family Hub』は、21.5型フルHD解像度のタッチ対応ディスプレイを備えた冷蔵庫。ディスプレイには、家族の予定を表示させたり、テレビの映像をミラーリングで映したりできる。ほかにも、音楽配信サービスを受信し、内蔵スピーカーで聴けるなど、エンターテイメント性の高さが特長だ。また、内部にカメラを搭載し、外出先からスマホ経由で庫内の状況を確認することも可能。タッチ操作で食料品を購入できるサービスも開始予定だ。北米では今春発売予定だが、日本での販売は未定。

 

森永卓郎
プロフィール:
1957年東京都生まれ。東京大学卒業後、日本専売公社や三菱UFJリサーチ&コンサルティングを経て、現在は獨協大学経済学部教授。経済アナリストとして、テレビなど多方面で活躍。

※『デジモノステーション』2016年3月号より抜粋

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