世界で戦うランナー必携!「GPSウォッチ」で自分の走りを可視化せよ

南井正弘の「RUNNER’S DIGIHIGH」

現在所有するスニーカーは約1000足! 世界中のマラソンレースに出場する南井正弘が、ランナー目線で綴るデジタルの”グッとくる話”

 

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SUUNTO AMBIT3 VERTICAL WHITE (HR)
実勢価格:7万200円

アメリカのレースにはGPSウォッチはマスト!

走行中のペースをリアルタイムかつ瞬時に確認できることから、現在ではランニングにおけるGPS機能は必要不可欠な存在となっている。だが、自分が毎日のように走るようになった2007年末の頃、GPS機能付きウォッチは贅沢品で、ランナーで使用している人はまだまだ少なかった。

当時、ランニングにおける時計といえば、SEIKOの「スーパーランナーズ」など、ラップ記録機能が付いたデジタルウォッチが主流であった。しかしながら、このタイプは走行中のペースを途中で知ることはできないし、キロメートル毎のペースも距離表示が1kmごとにしっかりと掲示されていなければならない。日本の大きなロードレースでは1km毎の距離表示はあたりまえだが、中規模以下のレースや海外のレースでは、それも難しい。そもそもアメリカではkm表示ではなく、マイル表示だから。

日本人ランナーがフルマラソンの距離を聞かれ、ほとんどのランナーが瞬時に「42.195km」と答えられるのと同様に、アメリカ人ランナーの間ではフルマラソンの「26.2マイル」というのは常識で、キロメートルで距離を考える習慣がない。

2007年12月、最初のロードレースとなった「ラスベガスマラソン ハーフマラソンの部」では、SUUNTOの「ベクター」というアウトドアウォッチを使用したが、アメリカのロードレースの例に漏れず、距離表示は基本マイル。10km、20kmくらいにしかkm表示は無かったし、当時使用していたNIKE+は加速度センサーのみでの距離計測であり、ゴールした際に実際の距離とは4kmほども差があった。

そして翌年も同レースのエントリーを考えたときに、「アメリカのレースにはGPSウォッチは絶対必要だ!」と強く思い、ebayでGARMINの『フォアランナー405』という、当時最もポピュラーだったGPSウォッチを購入した。

リアルタイムで走った軌跡をPCで確認

▲ウォッチ上でも走行地図を表示可能
▲ウォッチ上でも走行地図を表示可能

実際に使ってみると、GPSウォッチは本当に便利。走行中のペースもリアルタイムで知ることができ、「登りだからちょっとペースが落ちている」とか「周囲の速いランナーに影響されてペースが速すぎる」というように客観的に走りを分析できる点が素晴らしいと思った。

さらには日々のトレーニングやレースでの走りをPC上で確認することができ、それがマップと連動していることで、「ハワイのこの道走ったなぁ……」「ポートランドマラソンのセントジョンズブリッジに繋がるあの坂は本当にキツかった」というように、ランを振り返ることができたのも嬉しいと思ったことだ。あと、バーチャルパートナーという設定タイムより、自分が早く走っているかどうかを知ることのできる機能は、レース時の目標達成に大きく貢献してくれた。

そんな『フォアランナー405』だったが、2年ほど経つと電池の持ちが悪くなったので、同じくGARMINの『フォアランナー610』に買い替え。タッチパネル式のこのモデルは『フォアランナー405』より大きく機能がアップしており、いくつかのレースで使用したが、使い始めて1年も経たないうちに電源が入らなくなってしまった。

これはラスベガスマラソンのエクスポで購入した物であったのと、保証期間を過ぎており、国内での修理は本体購入代金以上が掛かるとのことで、サヨナラすることに。それからしばらくは電池の持ちの悪い『フォアランナー405』を不本意ながら使っていたが、ランニングギアがこんな状態だと走るのが楽しくない。そんなときに出会ったのがSUUNTOの『アンビット2』だった。

『アンビット3 バーティカル』はバイブの通知機能が便利

タッチパネル式のGARMIN『フォアランナー610』からすると、本体側面の4つのボタンで操作するSUUNTOの『アンビット2』は革新性に欠けるが、信頼性やデザインのカッコよさはこちらが圧勝。GARMINのGPSウォッチを普段使いしようとは思わなかったが、このモデルはカジュアルシーンにもピッタリだと思い、海外旅行に連れて行くことも多かった。

それからは他ブランドのGPSウォッチをテストすることはあっても、自分にとってのメインのGPSデバイスの地位はSUUNTOが占めることとなった。その後も『アンビット2 RUN』『アンビット3R』『アンビット3スポーツ』と同ブランドの製品を使用し、最近使い始めたのが『アンビット3 バーティカル』だ。

▲アンビット 3 バーティカルはリアルタイム標高グラフや累積標高表示サマリーなど、高度計測・表示に特化した新たな機能を装備している
▲アンビット 3 バーティカルはリアルタイム標高グラフや累積標高表示サマリーなど、高度計測・表示に特化した新たな機能を装備している

『アンビット3 バーティカル』は、「リアルタイム標高グラフや累積標高表示サマリーなど、高度計測・表示に特化した新たな機能を装備。トレイルランニングやヒルクライムなど、バーティカルスポーツに最適な機能を搭載したGPSウォッチ」という説明があるように、アップダウンがある状況でのアクティビティに最適なGPS機能搭載デバイスだが、個人的にこのモデルを使用して本当に便利だと思ったのはバイブ機能が追加されたこと。

▲SUUNTOのデータ管理ソフトであるMOVES COUNTはPC用ソフトだけでなく、スマートフォン用アプリでも走行データを管理できる。
▲SUUNTOのデータ管理ソフトであるMOVES COUNTはPC用ソフトだけでなく、スマートフォン用アプリでも走行データを管理できる。

これまでSUUNTOのアンビットシリーズは「ピーッ」という音声で各ラップを知らせてくれる機能はあったが、他ブランドのようにバイブによる通知機能はなかった。「ニューヨークシティマラソン」のように、たくさんの応援のあるレースでは、声援にこの「ピーッ」音がかき消されてしまうことがしばしばだったが、これで一安心。

▲MOVES COUNTは走った場所の地図や走行ペースも表示することが可能。トレーニングやレースを詳細に振り返ることが可能だ
▲MOVES COUNTは走った場所の地図や走行ペースも表示することが可能。トレーニングやレースを詳細に振り返ることが可能だ

さらにこのモデルではGPS受信チップを12時の位置と6時の位置の二カ所に埋め込むことで、GPS信号の取得精度の向上に成功。さらに以前のモデルでは文字盤下部に大きな出っ張りがあったのが、この構造によりよりスタイリッシュなデザインとなっている。4月の「ホノルルハーフマラソン ハパルア」の頃より使い始めているが、周囲のランナーからも、そのデザインに対する評価は高い。
 

文/南井正弘

※『デジモノステーション』2016年7月号より抜粋

みないまさひろ/フリーライター、ランニングポータルサイト『Runners Pulse』編集長。某スポーツシューズブランドでプロダクト担当を10年務める。かつて、伝説的クイズ番組『カルトQ』(フジテレビ)のスニーカー部門チャンピオンにも輝く。ほぼ毎日のランを欠かさないファンランナー。