リュックみたいなパワードスーツ。「マッスルスーツ」の着心地は!?

東京理科大学・小林宏教授が2001年開発を開始、2013年からは株式会社イノフィスとして法人向けに販売を開始した「マッスルスーツ」。介護の現場を中心に圧倒的な支持を得ているこのスーツを試着し、人間とロボットとの関わり方を聞いてみた。

未曾有の高齢社会を「マッスルスーツ」がサポートする

センサーもモーターも持たない、使用者の意思で動かす外骨格型のウェアラブルロボット「マッスルスーツ」で人間はどう変わっていくか? マッスルスーツの開発から販売までを手がける、株式会社イノフィスの代表取締役社長である藤本隆さんと、取締役営業部長の齋藤昭宏さんのおふたりにお話をうかがいました。

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藤本 マッスルスーツは、“人間の自立を手助けする”という理念で開発されました。人間が装着するものなので重さやサイズ感、着脱の簡単さも加味されていますが、もっとも重要視したのが安全性です。マッスルスーツは人工筋肉を動力源にしているのですが、人工筋肉はモーターよりもアシスト力が高いだけでなく、人間の動きに合わせて動作するため誤作動も起きません。

齋藤 マッスルスーツは、最大約35kgf(重量キログラム)ほどの補助力を実現し、装着者の動作をアシストします。また、腰の負担を軽減することができるので腰痛予防にもつながっています。

藤本 腰の負担を軽減するのもあるし、中腰の前傾姿勢を長時間維持しながら作業するときの支えにもなりますね。腰を使う運動というのは、庭の草むしりから雪かきまで日常茶飯事であるわけです。大昔から日本人全般にある腰が痛いという悩みを、少しでも減らせればと思いました。

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――歳をとっても働かざるを得ない時代、マッスルスーツに求められるものは大きくなりそうですね。

藤本 マッスルスーツのサポートを得れば歳をとっていても働けるのですが、それは同時に雇用の安定化、雇用の維持を図ることも意味します。現在は個人向けの販売はしていませんが、最終的にはそれこそ一家に一台、一人に一台になっていくのではと考えています。両親にマッスルスーツをプレゼントしたい、という個人からの問い合わせも多いんですよ。技術をもっと進化させ、価格を含めてもっと使いやすいマッスルスーツを目指していきたいですね。

産業用ロボットとは異なり、あくまで人間をより働きやすくすることで生産性の向上を目指すマッスルスーツ。その志は高いようです。

「こいつ、動くぞ!」マッスルスーツを着てみました

重いものに臆病な42歳がマッスルスーツを体験。ロボット感のない、その“お手軽さ”をレポートします。

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イノフィス
腰補助用マッスルスーツ®
価格:要問い合わせ
(法人向け販売のみ)

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リュックサックと同じようにマッスルスーツを背負う。とても軽く肩への負担も全然なし。

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胸と腰をベルトで締め、腿パッドを太もものあたりに乗っければ完了。ここまで約1分。慣れれば10秒で装着可能とのこと。

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呼気スイッチを口にくわえたら、荷物を持ち上げる直前に息を軽く吸い、スーツを作動させる。

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プシュー!という音とともに腰サポートが作動。軽々荷物を持ち上げることができた。今回は「標準タイプ」を体験したが、スイッチレスの「スタンドアローンタイプ」も販売中です。

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文/森谷穂七 撮影/西槇太一

※『デジモノステーション』2016年11月号より抜粋

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株式会社イノフィス

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