「変なホテル」総支配人が語る“ロボットにできる仕事、できない仕事”

ロボットが働くホテル「変なホテル」を長崎・ハウステンボスにオープンして早1年。ロボットとともに働くからこそ起きる苦労、トラブル、そして嬉しい誤算。2016年現在のロボットにできる仕事、この先の将来にロボットができるようになる仕事を、同ホテルの大江総支配人に語ってもらいました。

【あわせて読みたい関連記事】

ロボットだらけ。あの「変なホテル」は今どうなってる?【宿泊体験記・2016年版】
ロボットが働く「変なホテル」の2号棟、あの浦安で来春オープン
未来すぎてヤバい。ハウステンボス「変なホテル」潜入レポ


ロボットは、決して万能ではない

hennhotelinterview03

「この1年で、ホテルで働くロボットも100体増え、お客様がロボットと触れ合える機会も増やすことができた結果、非常に顧客満足度が向上しております」

開口一番、そう語った大江総支配人。しかし、続けて振り返ったのは、この1年で自身に起きた心境の変化でした。

「“ロボットは万能だから人の代わりに仕事を完璧にやれるだろう”と思っていたけど、そううまくはいかなかったですね。ロボットはきちんとメンテナンスしないと不具合や誤動作が起きますし、しっかり休ませてあげないと、バッテリーが上がってうまく動かない。ロボットにきちんと働いてもらうためには、われわれ人間側の向き合い方が重要なんです」

そういった不具合に遭遇するなかで、大江総支配人は意外な発見をしたといいいます。

「人間のホテルマンがお客様の要求に応えられなかった場合、“どうしてやってくれないの?”って、不快な思いをされると思うんです。でもロボットが間違えたりすると『まあ、しょうがないか』って、それが逆に愛嬌として許されちゃうんです(笑)。もちろん、それが“ホテル”としてはどうかという問題は別にありますけれど」

シビアな仕事は、まだ人間にしか任せられない

フロント、ポーター、コンシェルジュ……様々なロボットたちが働いている姿は、たしかに見ていて微笑ましい。現状ロボットが行う業務の割合はホテル全体の5割程度で、今後はより増えていくとのことだが、なかには人間にしか任せられない仕事もあるのだそう。

「共用部の掃除は常に掃除ロボットが動いていてまかなえるんですけれど、客室についてはお客様もシビアな目で見られます。たとえば床に髪の毛一本落ちていただけで、清掃が行き届いてないと思われてしまうわけですよね。そこはやはり人の手での清掃をしっかりと行わないといけない」

hennhotelinterview04

大江総支配人によれば、宿泊客が一番長く滞在する客室は、ロボットに仕事をさせる上でいろいろと障害が多いとのこと。

「ベッドメイキングは今のロボット技術では難しいですし、トイレやお風呂の掃除をロボットに任せるというのもメーカーさんと話はしたのですが、水を扱うというところで、かなりハードルが高いんです」

今ロボットにできない部分は、今後の“のびしろ”

“ロボットはなんでもできるんじゃないのか?” 1年前の大江総支配人自身がそう思っていたように、利用客の側もまた、ロボットへの期待が大きいようです。

「お客様の期待値に対して、今のわれわれが提供できるのはその4割くらいまで。なので『実際はこんなもんなの?』って残念がられてしまうことも正直あるんです。ただ、そこはロボット分野の現状というものを体験し、知ってもらう良い機会であり、お応えできていない部分の期待値は今後ののびしろである、と前向きに捉えています」

そこで、近い将来ロボットに任せられる新たな仕事の可能性について尋ねると、返ってきたのは意外な答え。

「たとえば、今のところマッサージは外注しているんですけど、そこをロボットに任せられたら面白いなぁと思っています。お風呂とトイレの掃除ロボより導入は早いかもしれませんね(笑)」

hennhotelinterview05

最後に、10年後の「変なホテル」の未来予想図を総支配人に聞いてみました。

「ロボットの台数は今より減ってるんじゃないかな? 今はそれぞれの役割に特化したロボットが働いていますが、それがロボット技術やAIの進歩により集積されてくれば、コンシェルジュやメイドの役割を持つ多機能なロボットがお客様ひとりに1台ついて、滞在中になんでもしますってカタチになっていくと思いますし、当ホテルだけじゃなく、普通のホテルでもそれが自然な状態になるといいですね」

01
先進技術を導入し、ワクワクと心地よさを追及した世界初のロボットホテル「変なホテル」。
住所:長崎県佐世保市 ハウステンボス町6-5(本店)
電話:0570-064-110
http://www.h-n-h.jp/

変なホテル 総支配人
大江岳世志さん

hennhotelinterview02

オープンから1年で7万人の利用客を集めた世界初のロボットホテル「変なホテル」の総支配人。現在は2017年に舞浜にオープンする2棟目の準備で奔走中。

 
文/関口裕一 撮影/藤丸修

※『デジモノステーション』2016年11月号より抜粋

関連サイト

変なホテル