トヨタのコンパクトSUV「C-HR」試乗レポ。プリウスと同じプラットフォームって本当!?

まさか『プリウス』と同じプラットフォームで、ここまでスポーティなクルマが作れるとは……。

トヨタが新型のコンパクトなSUV『C-HR』を発表しました。これは2014年のパリモーターショーでコンセプトカーが公開され、国内では2015年の東京モーターショーに出展されたもの。欧州で企画・開発が進められ、国内でも先行してWebサイトでは公開されていたものですが、このたび待望の日本仕様が公開されました。

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コンパクトなSUVは今、欧米だけでなくアジアなども含め全世界的に伸長が著しい市場。この4〜5年の間に約2倍にまで成長しています。日本国内でもここ数年で日産『ジューク』やホンダの『ベゼル』が発売され、一気に拡大。街中で見かける機会も多くなってきました。そこにトヨタも参入するということですね。

『C-HR』の特徴は、SUVでありながらクーペのようなスタイリングを実現していることと、低重心で意のままに操れるハンドリングを実現していること。それにクラストップを実現したという燃費性能です。搭載されるパワーユニットは1.6Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドと、1.2Lのターボエンジンの2種類。1.2Lターボは4WDのみとなりますが、ハイブリッドにはFFも用意されています。

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たしかにボディがコンパクトで、リアにかけて下がっていくルーフはクーペみたいですね。SUVらしいタイヤの大きさも強調されたデザインです。

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個人的には後ろからのルックスが好きです。クーペのようなルーフとスポイラーの組み合わせがカッコいい。後ろのフェンダーのエッジの立ち方も陰影がついて見栄えがしますね。

『プリウス』に続くTNGA第2号機

もう1つ、このクルマの注目点はトヨタの新しいクルマの作り方である「TNGA(Toyota New Global Architecture)」によって作られた2番目のモデルであること。1号機は、あの『プリウス』です。

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「TNGA」の中核は、プラットフォームやパーツを複数車種で共有しながら、個別に開発した部分の良いところをフィードバックすることで、より良いクルマを作っていくこと。1台目が登場しただけでは、なかなかイメージがつきにくかったのですが2台目にあたる『C-HR』が登場したことで、だいぶその概要が見えてきました。

具体的には『C-HR』のプラットフォーム(車体のベースとなる部分)はプリウスと共通。それに大径タイヤを装着するための部品や4WD用の部品を組み合わせることで、SUVに仕立てられています。上の『プリウス』と『C-HR』の写真を見比べると、同じプラットフォームといわれてもよくわからないかもしれませんが……。

驚くことに足回りの部品もほとんどが『プリウス』と共用だとか。ショックアブソーバーとスタビライザー、それにブッシュなどが違う程度だということです。

試乗して走りの性能に感動

プロトタイプではありますが、試乗することもできました。用意されたコースはかなり曲がりくねったワインディングのような場所。それだけ走りの性能に自信があるということでしょうね。

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始めに乗ったのは1.2Lターボの4WD。いわゆるダウンサイジングターボと呼ばれるタイプのエンジンで、排気量は小さくてもトルクがあるのが特徴ですが、回転数を上げても気持ちよく回ってくれるので、ATのマニュアルモードで運転するのが楽しい!(欧州向けにはMT仕様もあるそうで、それも乗ってみたい!)

ハンドリングはコンセプトの通り、曲がろうと思った分だけ曲がってくれて、とても気持ちよく操れます。SUV的な重心の高さも全く感じず、4つのタイヤがしっかり踏ん張って曲がっていくのがわかります。4WDによる曲がりにくさも全くナシ。これは前後タイヤにかかる駆動力を車体の姿勢に合わせて最適に制御しているからだそうです。

2輪駆動(FF)のハイブリッドにも乗ってみましたが、車重はこちらのほうが重いので、むしろ4WDのほうが曲がりやすいと思えたほど。意外なことにエンジン音も、アクセルをがんがん踏んでいくような場面では1.6Lエンジンを搭載しているハイブリッドのほうが大きいように感じられました。

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ハイブリッドモデルのコクピット。2つのメーターの間にエネルギーモニターが表示されます。

プリウスと乗り比べてみると

最後に「TNGA」1号機である『プリウス』にも乗らせてもらいました。同じコースで乗ると、その違いにビックリ。重心が低いはずの『プリウス』より『C-HR』のほうがよく曲がってくれる感覚で、タイヤの接地感も認識しやすいのです。大径のタイヤを装着していることが効いているのだと思いますが、同じプラットフォームで部品も共通のものが多いのに、ここまで違いが出るのかという印象です。

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『C-HR』のハイブリッドモデルに装着されていた大径タイヤ。ホイールのデザインも個人的に好みです。

また、ブッシュの剛性を高めたこともハンドリングの向上に効いているとのこと。タイヤの径は個別の車種ごとに異なる部分ですが、ブッシュの剛性アップが効果的というのはほかの車種にも当てはまる部分なので、こうした経験はTNGAのクルマ作りにフィードバックされるということです。こうした各種のクルマからのフィードバックでTNGAを通じて今後のクルマ作りに活かされていく。そうしたサイクルが回ることで、トヨタのクルマ全体の性能向上を目指すのがTNGAの狙いです。

SUVならではの走りの良さに感心するとともに、トヨタの今後のクルマ作りに期待の高まった試乗体験でした。

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文・撮影/増谷茂樹

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