緊急提言! 男たちよ、今こそ“薄毛”に立ち向かえ【パート1】

今、若い世代の薄毛の悩みが深刻だ。加齢や遺伝といった抗いがたい要因で薄毛・脱毛は進行するが、近頃はそれ以外に栄養不足やストレス、環境要因も密接に関係していることがわかってきた。そこで今回から2回に渡り、AGA(男性型脱毛症)について探ってみよう。

「通常、男性がめったに触れないであろうコスメや身だしなみの最新情報や技術などを紹介し、日々の生活を新しい視点から見直せるようにしたい」という、男性美容研究家・藤村岳が、一流男子の所作や振る舞い、装いを身につけることの大切さを毎月綴る。今回のテーマは“男性のための美容クリニック”について。

薄毛をあきらめるなんて、早すぎる

2015年の「ピエール ファーブル デルモ・コスメティック ジャポン」の調査によると、男性で薄毛に悩む人はどの年代でも半数近くにのぼり、そのうち95%は、これからも薄くなり続けると考えている。しかし、男性の58.3%が現在「特に対処はしていない」という結果も出た。「そんな悩みを美容院などで相談したいか?」という設問には、20〜30代では50%を超えるのに、40代以降は徐々に失速していく。50〜60代では「根本的な解決策がなさそうだから」というあきらめの境地に至っている状況が明らかだ。一方で、若い世代は恥ずかしさから相談を避けてもいる。

実はこれ、ゆゆしき事態。というのも、今や薄毛は治療できる時代だから。あきらめてしまうのはもったいない。よく、すだれ状になった男性の頭髪を「バーコード頭」などと揶揄し、往生際が悪いと陰口をたたく人もいたが、今は潔く決断せず、抵抗を見せる方がいい。それだけ得るものは多いのだから。

※抜け毛・薄毛に「悩んでいる、やや悩んでいる、少し気になる」と回答した18,885人に調査(2015 ピエール ファーブル デルモ・コスメティック ジャポン調べ) ヘアロスを感じているにもかかわらず、対策を講じていない人がかなり多い。あきらめてしまうのはもったいなく、努力して対処すれば、きっと明るい未来がやってくるはずだ。
※抜け毛・薄毛に「悩んでいる、やや悩んでいる、少し気になる」と回答した18,885人に調査(2015 ピエール ファーブル デルモ・コスメティック ジャポン調べ)
ヘアロスを感じているにもかかわらず、対策を講じていない人がかなり多い。あきらめてしまうのはもったいなく、努力して対処すれば、きっと明るい未来がやってくるはずだ。

薄毛治療薬には、脱毛抑制と発毛がある

薄毛治療とは何をするのかというと、内服と外用による医薬品を用いるもの。早く確実に結果を出したいならば、併用するのが望ましい。現在、一般的に使われている薬品は主に2つ。“フィナステリド”と“ミノキシジル”がそれだ。

まず、フィナステリドについて説明しよう。こちらは、成分名よりも商品名が有名で“プロペシア”という名前を聞いたことがある人も多いだろう。これの作用機序はおおまかに以下のようなもの。男性ホルモン・テストステロンが髪に対して悪さをする。これは体内で毛根を萎縮させる“ジヒドロテストステロン(DHT)”に変換され、このDHTが毛髪の成長期の短縮を引き起してしまい、それにより脱毛が起こる。そこに関わってくるのが“5αリダクターゼ”という酵素でこれにフィナステリドが作用してDHTの産生自体を阻害するという仕組み。

実は、このフィナステリドは前立腺ガンのために開発されたもので、後にAGAにも薬効が認められ、治療薬として承認された。

さて、先述した薄毛に悪者である酵素・5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、従来のフィナステリドはこのうちⅡ型にだけ作用する。しかし、Ⅰ型・Ⅱ型ともに作用する“デュタステリド(製品名はザガーロ等)”が今年の6月に国内でも発売が開始。こちらは従来のフィナステリドに比べて約1.5倍の脱毛抑制効果があるとも言われ、フィナステリドが効かなかった人に朗報だ。

次に、もう一方の主要な薬・ミノキシジル。これは発毛を目的とするもので、先述した抜けなくするための薬とは方向性が異なる。こちらも元々は降圧剤として承認されたもので、血管を拡張して血流をよくする薬。その副作用のひとつに発毛があった。外用薬として頭皮に直接、塗布するものが多く、たとえば大正製薬の“リアップ”やアメリカの“ロゲイン”が有名だ。もちろん内服としても使用するが、実は問題もあるので後に詳述しよう。

※3年以内に2,000円以上の育毛剤の類を購入したと回答した1,985人に調査 髪の悩みをもっとも気軽に、そして自然に話せるのが美容師や理容師の方々だろう。年齢が若いほど精神的なハードルが低めだが、より状況が深刻な中年以降が少ないのは残念。
※3年以内に2,000円以上の育毛剤の類を購入したと回答した1,985人に調査
髪の悩みをもっとも気軽に、そして自然に話せるのが美容師や理容師の方々だろう。年齢が若いほど精神的なハードルが低めだが、より状況が深刻な中年以降が少ないのは残念。

効果だけではなく、副作用も知っておく

薬であるのだから、その効果だけではなく、副作用も認識しておくべき。まず、フィナステリド、デュタステリドは男性ホルモンに影響するため、女性には効果がない。そればかりか、妊娠中の女性がもし摂取し、その胎児が男児の場合、生殖器の発達に影響が出るといわれている。手で触れるだけでも経皮吸収されるので、避けるべきとまでいわれているのだ。また、男性側が妊活をしている場合も性欲減退や射精障害、精子数の減少などもあり、服用はあまり望ましくない。そして、家にあるだけで、パートナーが薬剤に触れるリスクがゼロとはいかなくなるのだ。

一方、ミノキシジルは男性にはもちろん、女性用の発毛剤としても用いられている。ただし、高血圧、低血圧の症状がある、または心臓や腎臓に疾患を持っている人には注意が必要。内服した場合の主な副作用は、前述した全身の多毛の他に、低血圧、反射性高血圧、腎不全、高カリウム血症、多臓器不全……とかなり多い。外用では、かゆみ等が挙げられ、さらに経皮吸収により血液に乗って流れれば、右記のような内服と同じ副作用が現れることもある。そして実は、外用剤としては認可されているが、内服薬としては認可されていない。

しかしながら、ミノキシジルのタブレットを内服しているという人もいる。これはどういうことだろうか?  

それは、自由診療だから。降圧剤としてはもはや使われなくなっているが、発毛剤として用いているという状況。そこで、服用する量や間隔などを医師からきちんと指導してもらうことが前提となっている。投薬前・中・後のカウンセリングは基本で、ていねいなクリニックでは定期的に血液及び尿検査、心電図などで副作用を起こしていないかのチェックをするところもある。

※抜け毛・薄毛に「悩んでいる、やや悩んでいる、少し気になる」と回答した18,885人に調査(2015 ピエール ファーブル デルモ・コスメティック ジャポン調べ) 実は、男女ともにヘアロスに対する恐怖は根強く存在する。ひとりで悩まず、ホンネをパートナーにぶつけてみるのも、かえってよいコミュニケーションとなるのかもしれない。
※抜け毛・薄毛に「悩んでいる、やや悩んでいる、少し気になる」と回答した18,885人に調査(2015 ピエール ファーブル デルモ・コスメティック ジャポン調べ)
実は、男女ともにヘアロスに対する恐怖は根強く存在する。ひとりで悩まず、ホンネをパートナーにぶつけてみるのも、かえってよいコミュニケーションとなるのかもしれない。

もっとも怖いのは、素人の生兵法

たしかにインターネットを使えば、薬品でも簡単に個人輸入もできてしまう時代。AGA治療薬も例外ではない。しかし、副作用による事故が起きた場合には、取り返しのつかないことになる可能性が大きい。また、その個人で輸入した製剤が本物かどうかは、素人では見分けられるものではない。これはバイアグラブームの時にもよく見られたこと。なるべく隠れて行いたいコンプレックス系の事柄はとかく藪の中に入りがち。しかも訴えられないであろうと高をくくるようなヒドイ業者も多数存在するのだ。

そして、偽物をつかまされたら「髪が生えなかった」だけでは済まず、臓器不全などの重篤な事態を引き起こす。だからこそ医師の適切な治療を受けて欲しい。

本当は医薬品以外の薄毛・脱毛対策についても話したかったのだが、長くなってしまったので、次回パート2へと繰り越そう。

文/藤村岳

※『デジモノステーション』2016年12月号より抜粋

関連サイト

男性美容研究所 藤村岳 danbiken.net