【レビュー】独自のAFシステムで劇的な高速化を果たしたキヤノン『EOS M5』

「コレってどうなの?」がわかる。気になるデジタルグッズの深堀りレビュー。今回は、キヤノンのミラーレスカメラ『EOS M5 EF-M15-45 IS STMレンズキット』を使い倒します!

 
キヤノン
EOS M5 EF-M15-45 IS STMレンズキット
実勢価格:13万7700円

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Rear

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Top

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Side

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Side

【基本スペック】
有効2420万画素、APS-C センサー、3.2型液晶+0.39型EVF、Wi-Fi/Bluetooth対応

 

EOS M5ってどんなカメラ!?

技術の粋が凝縮されたMシリーズ最上位モデル

キヤノン『EOS M5』は、同社のミラーレス「EOS M」シリーズの最上位モデル。2015年に発売された『EOS M3』の基本コンセプトを継承しつつ、デザインの一新とAFの強化、連写の高速化、撮影機能の充実などを実現している。

中でも注目は、既存モデル『EOS M3』ではオプションによる外付け対応だったEVFを標準装備したこと。これによって液晶モニターが見えにくくなる晴天屋外での撮影時や、ボディをしっかりと支えて撮りたい望遠レンズ使用時などの利便性がさらに向上した。

液晶モニターについては、大画面化&高精細化した上で、EVFとの干渉を避けるため、チルト可動の向きを上開きから下開きに変更。ロー/ハイポジションでの撮影や自分撮りなどがスムーズに行える。

さらに、AF追従で約7コマ/秒の高速連写や、動画撮影時の電子式手ブレ補正、タイムラプス動画、AFフレームサイズの変更、カメラ内RAW現像などに新対応。画素数は既存モデルと同じだが、エンジンの改良による画質進化も図っている。

【デュアルピクセルCMOS対応の2420万画素センサー】
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▲撮像素子にはAPS-Cサイズの有効2420万画素CMOSセンサーを搭載。「デュアルピクセルCMOS AF」に対応し、撮影だけでなくAF駆動にも使われる。

【上下にチルトが可能なモニタを搭載】
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▲上に85度、下に180度開くチルト可動液晶を搭載。約162万ドットのワイド3.2型で、視認性は良好。ヒンジ部は従来から改良され、可動部のがたつきはない。

EOS M5の操作性をチェック

【右手側の3つのダイヤルで直感操作が可能】
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▲左肩にはロック機構付きのモードダイヤルを装備。オートからマニュアルまでの10モードを選択できる。

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▲新設した「DIAL FUNC.ボタン」と「サブ電子ダイヤル」の組み合わせで主な機能をスムーズに変更可能。

【ピント位置を調整できるタッチ&ドラッグAF】
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▲新機能「タッチ&ドラッグAF」では、EVFから目を離さず、測距点が素早く選べる。領域の調整も可能だ。

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▲「タッチ&ドラッグAF」機能は、ボディ前面の下部に新設した専用ボタンを押して素早く呼び出せる。

【236万画素の高精細EVFを搭載】
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▲高精細な有機ELファインダーを新搭載。接眼部には、液晶との自動切り替え用のアイセンサーを備える。

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▲EVFには水準器などの情報を表示でき、カメラの横/縦位置に応じて情報を自動回転させることも可能だ。

EOS M5+EF-M15-45 IS STMの画質をチェック

【動体撮影に有利な高速連写】
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▲走り抜けるモノレールを連写し、最もバランスのいいカットを採用。高速レスポンスはこうした動体撮影に有利だ。※画像クリックで拡大画像が開きます。

【豊かな発色と高精細な表現力】
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▲苔で覆われた原生林を標準ズームのワイド側で撮影。深みのある発色と、きっちりと解像する精細感を確認できる。※画像クリックで拡大画像が開きます。

【マクロレンズを含むキットも用意】
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▲ダブルレンズキットに付属のマクロレンズで撮影。前面に装備したLEDライトと圧倒的な撮影倍率によって、小さなキズが分かるくらいの超接写が楽しめる。※作例は画像クリックで拡大画像が開きます。

 

使い倒しインプレッション

安定したホールドバランスと快適なAFレスポンス

実機を手にしてまず感じたのは、ホールド感の良さだ。手の平に隠れるくらいの小型ボディにもかかわらず、グリップが大きく突き出ており、構えた時のバランスがいい。外装は主に樹脂素材で、前面から側面、背面にかけてはラバーを配置。その表面に施されたシボ処理がしっくりと手になじむ。デザイン的には、EVFと液晶モニター、ホットシュー、三脚穴のすべてがレンズ光軸上に配置されている点に注目だ。これによって被写体を目で探す、ボディを構えてEVFをのぞく、液晶モニターを見て確認する、といった一連の操作を最小限の視線移動で行える。スペックには表れないが、使い心地を左右する重要な部分だ。

素早く作動するAF性能も気に入った。画素の1つ1つが2つのフォトダイオードで構成されたCOMSセンサーを備え、AF駆動時には、その全画素を使用して位相差AFを行う独自技術「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載したことで、動きのある被写体に対しても気持ちよくピントが合う。キット付属の標準ズームはもちろん、マクロや望遠ズーム使用時、さらにはアダプタ経由で一眼レフ用レンズを装着した場合でさえ、ストレスなく合焦するAF性能を体感できた。

新機能では「タッチ&ドラッグAF」が役立った。これはEVF使用時に液晶上を指でなぞって測距点を自由に動かせる仕組み。EVFから目を離さず、測距点を素早く切り換えられる。そのほか、天面に新設した「DIAL FUNCボタン」によって、感度やホワイトバランスなどの主要機能をダイレクトに変更できる点や、Bluetoothによってスマホと常時接続し、撮影画像を自動転送できる点も便利に感じた。

画質は、見栄え重視のクリアな発色と、細部まで精密に再現できる高解像を実感できた。露出とホワイトバランスの安定感も高い。

残念なのは、他社ミラーレスでは採用機種が増えているサイレント撮影や4K動画撮影に非対応なこと。その代わり、3.2型の大きなチルト式液晶を備えることや、アダプタ経由で一眼レフ用の豊富なEFレンズが使えることは、ライバル機に勝る優位性といっていい。携帯性と高機能、快適操作を兼ね備えた、中身の濃いミラーレスに仕上がっている。

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▲専用のEF-Mレンズは徐々に増えつつあるが、まだ種類は少なめ。しかしオプションの「マウントアダプターEF-EOS M」を使えば、魚眼レンズなど多彩なEF/EF-Sレンズが利用可能になる。※作例は画像クリックで拡大画像が開きます。

 

結論

【ここが○】
・高精細なEVFとチルト式大型液晶を搭載しながらも、携帯性に優れたボディ。
・「デュアルピクセルCMOS AF」による快適AF。タッチ&ドラッグAFも便利。
・感度やなどの主要設定を素早く変更できるダイヤルファンクションボタン。

【ここが×】
・静音撮影や4K動画機能は非搭載。EVFの表示が鮮やかすぎる点も気になる。

一段上を目指す初級/中級者や一眼レフEOS所有者にもおすすめ

取り回しに優れた小型ボディに高機能を凝縮。AF高速化に加え、起動や液晶ブラックアウトの短縮、連写可能コマ数の増加などレスポンス全般が進化した点がありがたい。ステップアップしたい初級/中級者のほか、サブ機として使いたい一眼レフEOSのユーザーにもおすすめだ。

【SPEC】
サイズ:W115.6×H89.2×D60.6mm 重量:380g(本体のみ) 撮像素子:APS-CサイズCMOSセンサー 有効画素数:2420万画素 レンズマウント:キヤノンEF-Mマウント 背面液晶:3.2型(約162万画素) 最大記録サイズ:6000×4000ドット(静止画、3:2モード時)、1920×1080ドット(動画、60fps時) ISO感度:ISO100~25600 ファインダー:0.39型有機EL(約236万ドット) 通信機能:Wi-Fi、NFC、BLE

 

文・作例/永山昌克 撮影/松浦文生

※『デジモノステーション』2017年1月号より抜粋

関連サイト

EOS M5製品紹介ページ
キヤノン公式サイト

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