オールドレンズマニアが選ぶマニアックなレンズ6選【作例あり】

自分らしい写真を撮りたいなら、オールドレンズという選択肢を検討してみよう。数十年前の古いレンズは、クセのある描写で扱いづらい反面、そのレンズでしか撮れない世界を見せてくれる。また、時代を感じさせるレトロで物々しいデザインも魅力のひとつだ。ここではオールドレンズに精通するカメラライター澤村徹さんが厳選した、マニアックなレンズ6本を紹介する。

 
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絞りで変幻する写りはオールドレンズ界のジキルとハイド

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ライカ
Summilux-M 35mmF1.4
購入時価格:15万円前後
第1世代のズミルックス35mm F1.4は1960年代のレンズだ。開放でソフトフォーカスチックに滲み、1~2段絞ると一気にシャープさを増す。この両極端な描写で人気が高い。しかも単に滲むのではなく、滲みの奥に繊細なシャープネスが宿る。凄みのある描写が魅力。

【作例】

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開放で手前の木にピントを合わせる。合焦部は極めて繊細にピントが合い、その周辺がソフトフォーカス風にやさしく滲む。このレンズでしか撮れない絵を見せてくれる。

清く正しく美しく。エクターは高性能レンズの称号

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コダック
Ektar 47mmF2
購入時価格:11万円前後
レチナIIのエクター47mm F2を、ブリコラージュ工房ノクトでライカMマウントに改造したレンズだ。名機カードンミリタリーのエクター47mm F2と同じ構成のレンズである。改造レンズならではの無骨な佇まいが、数あるオールドレンズの中でも際立っている。

【作例】

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本レンズは開放時の大きな滲みが有名だが、絞り込んだときの鋭い描き方にも圧倒される。コダックは高性能レンズにのみエクターの名を与えており、その史実を裏付ける高描写だ。

バブルボケだけじゃない! 軽くて頼りになる旅レンズ

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マイヤーオプティック・ゲルリッツ
Trioplan 100mmF2.8
購入時価格:6万円前後
トリオプランはバブルボケで一躍有名になったオールドレンズだ。そもそも安価な中望遠のトリプレット(3枚玉)だが、大きな真円状の玉ボケが注目を集め、ここ数年で一気に高騰してしまった。本家メイヤーから復刻版トリオプランが登場するほどの勢いである。

【作例】

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香港のマーケットにトラムが乗り込んでくるところをスナップした。この距離感は中望遠レンズの強みだ。本レンズはF2.8と明るいわりに軽量で、旅レンズとして即戦力になる。

ライカユーザーのお約束。あえて周辺を流す上級テクニック

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カール・ツァイス イェナ
Tessar 3cmF2.8
購入時価格:4万3000円前後
このテッサーはロボット用。ロボットは35mm判フィルムにスクエアフォーマットで写すカメラだ。対応レンズは写せる領域が普通のレンズより狭く、フルサイズ機に付けると周辺像が流れておもしろい絵になる。ライカユーザーの間で古くから楽しまれてきた技法だ。

【作例】

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四隅が暗く、そして像が流れている。これがロボット用レンズをフルサイズ機に付けたときの妙味だ。レンズ自体はテッサーなので、中心部は至ってシャープ。このギャップが良い。

オールドレンズのテイストを最新技術で再現した異色レンズ

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ツバサ
Swallow 35mm F2
予想実勢価格:10万円台後半
発売時期未定
開発元のホークスファクトリーはヘリコイドアダプターで一世を風靡したメーカーだ。代表者がコアなライカファンで、その熱意が高じてオリジナルレンズの製造に乗り出した。レンズユニットは日本製で、最新技術を駆使してオールドレンズ的な描写を追求している。

【作例】

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開放でソフトフォーカス風に滲み、絞るとシャープに写る。緩急の効いた写りがオールドレンズを彷彿とさせる。周辺部にほどよく甘さを残し、中央の被写体が気持ちよく際立つ。

バイクでおなじみのドゥカティもミニチュアライカを作っていた

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Ducati Sogno
Vitor 35mmF2.8
購入時価格:14万円前後(ボディ込み)
イタリアのバイクメーカーであるドゥカティは、戦後、カメラレンズメーカーという側面があった。ソーニョはその当時に作られたハーフサイズカメラだ。精巧な作りでミニチュアライカと呼ばれていた。沈胴構造とフォーカシングレバーが古き良き時代を彷彿とさせる。

【作例】

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三晃精機製のマウントアダプターでα7IIに装着。ハーフサイズカメラのレンズなので、APS-Cサイズ撮影に切り替えて撮る。小さなレンズだが、その写りは緻密で隙がない。

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カメラライター
澤村徹さん
オールドレンズを使った撮影など、ひと癖あるカメラホビーを提唱。’08年、デジタル赤外線撮影による作品も発表。『ザ・レンズマニアックス』や『オールドレンズ・ライフ』など関連著書が多数ある。

 
文・作例/澤村徹 撮影/下城英悟(GREEN HOUSE)

※『デジモノステーション』2016年12月号より抜粋