「朝引き鶏のタタキ」が絶品! 市場近くにあるという取材拒否のお店

梶原由景の「間違いだらけのアプリde飲食店選び」

食にも精通するクリエイティブディレクター梶原由景が、足で見つけた”間違いない名店”を毎月紹介する。

 
今月の間違いない名店

(取材拒否の店なので店名は秘密)
市場のほど近くにある名店


住所:取材拒否の店なので秘密
電話:取材拒否の店なので秘密
営業時間:取材拒否の店なので秘密
定休日:取材拒否の店なので秘密

世には「取材拒否」というタイトルを冠した店々がある。

実は小生、ケーブルテレビの「j:COM」で、関西の美味しい店を紹介する「どやメシ紀行」という番組を手掛けている。東京の美味しい店を紹介する本を出したところ、その関西版をテレビでできないかと打診された。自分がテレビに出るのは嫌なので、「僭越太郎」なる拙ブログで評判になった謎の人物(もちろん素人)をフィーチャーし、体裁としては太田和彦氏の「居酒屋紀行」や吉田類氏の「酒場放浪紀」のパロディとした。

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“すぐに使える美味しいお店”『どやメシ紀行』 (J:COMチャンネル)

ただ、取材する店はもちろん飲み食べする内容も、すべて僕が決めているので自信を持ってお勧めできる内容ではある。普通のおじさんが何故かレポーターになっていて、酒を飲みただただ酔っ払って行く。素人だからもちろん気の利いたセリフも出ない。ただ決め文句がある。何かを飲み食べしたら必ずカメラに向かって「どやっ!」とドヤ顔を決める。よって「どやメシ紀行」なのである。悪ふざけのつもりだったのにもう5年以上続いている。

この番組でも多くの店に拒否された。常連相手の商売だから一見さんには来て欲しくないという理由からそうなることもある。関西にはこのタイプの店が多い。例えば大阪は花園の串カツの名店「ひげ勝」がそうだ。以前迂闊にもテレビに出てしまったところ、あの非常に庶民的な西成の地を多くの視聴者が訪れた。テレビに出た店にすぐ行く人、という属性から推して知るべしなのだが、普段スリッパを履いて親子で晩御飯をとふらりと訪れる地元の常連が完全に締め出される結果になった。以来、頑なに取材拒否を貫き通している。

シメサバにおからを絡めた「からまぶし」が絶品の「スタンドアサヒ」もそうだ。ノスタルジーの一言では片付けられない店内。年季の入った店員が入ってきた常連らしき客に「焼き鳥あるよ」と声を掛ける。居酒屋にはごくごく普通のメニューと思われる焼き鳥がすぐなくなってしまうのだろうか。それともこの人が部類の焼き鳥好きなのか。あれこれ想像が膨らむ。そんな空気も含め名店である。無遠慮な一見客を入れるわけにはいかないのだ。

市場の近くにある、「取材拒否」の店

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今回紹介したい店も「取材拒否」である。よって店名、住所等は一切明らかにできない。しかし散りばめられたキーワードでうまく検索するとすぐわかることだろう。

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この「取材拒否」の店、市場にほど近い場所にある。午前中に仕事を終えた人のためお昼から営業していて、シメサバや竹輪に胡瓜を突っ込んだものなどざっかけないが魅力溢れるアテがショウケースに並ぶ。ところが三代目の出勤時間である午後6時になると、様相が一変する。店内のホワイトボードが裏返され、それまでなかったメニューが現れる。お造りや揚げ物はもちろん「里芋饅頭」など、ここは割烹かと見紛うような料理の数々。

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中でも「朝引き鶏のタタキ」は絶品。これらがほぼ全て400円で提供される。これ以上お客さんが来ても対応しきれず申し訳ない、ということでの取材拒否。仕方ない。この店に限らず多くの「取材拒否」店では、その店を愛し足繁く通う人々の邪魔にならないよう、お店の魅力をおすそ分けしてもらうという気持ちで利用したいものだ。
 
文/梶原由景

幅広い業界にクライアントを持つクリエイティブ・コンサルティングファームLOWERCASE
代表。Webマガジン『honeyee.com』、デジタルメディア『Ring of Colour』などでオリジナルな情報を発信中。

※『デジモノステーション』2017年1月号より抜粋

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