「デジタル判定の導入」と「野球の醍醐味」のバランスを考えてみる

皆様、こんばんは。プロ野球デジタルニュースの時間です。

先月29日に北海道日本ハムファイターズの日本一で幕を閉じた今年のニッポンプロ野球。今シーズンのプロ野球界もいろんなことがありました。大きなトピックとしては、今季から野球規則の大きな変更があったことでしょう。ひとつはキャッチャーの本塁上でのブロックを禁止する「コリジョンルール」。これには問題点が続出し、シーズン中に異例のルール変更が行われるなど大混乱となりました。

審判の目とデジタル判定に関する議論

もうひとつは、これまでのホームラン検証の時だけという権限を本塁上のクロスプレーにまで延長させた「ビデオ判定」です。選手をケガから保護するために設けられた「コリジョン」はまだしも、これまでは設備的な問題か、地方球場ではビデオ判定がなかったものが、今季からは全球場で採用されるように。

このビデオ判定、記憶に新しいところでは先の日本シリーズ第二戦。六回裏に広島の田中広輔選手が本塁突入した際に採用されました。この本塁上でのクロスプレーは、日本ハムのレフト西川遥輝選手の好返球で一時はアウトと判定。しかし緒方監督がビデオ判定を求めた結果、これが覆りカープの追加点が認められると、日本ハムは意気消沈。増井投手のエラーなども出て、この回一気に4点を奪われ試合が決まってしまいました。

このプレーには解説していた達川光男さんも「このプレーをセーフにしたら野球の醍醐味がなくなりますね」と発言。審判というプロの目とデジタルによる判定に関しての論議は今後も続きそうです。

審判の判定に関する問題で最も多いものがストライクゾーンの判定ではないでしょうか。人間個人によりクセが異なるストライクゾーンを統一させようと巷ではデジタル判定の待望論がよく聞かれますが、すでに中継などではデジタルシステムが導入されているようです。

たとえば来年の3月には第4回WBCが開催されますが、前回2013年のWBCでは中継に「ストライクゾーン視覚化システム」が登場。このシステムは、グラウンドの投手と打者が映る画面に、ストライクゾーンとボールの軌道を描くCGを重ね、様々なアングルからボールの軌道を見ることができるという画期的なものでしたが、実際の中継では審判団に気を遣ったのか、そこまで多用されることはなかったと記憶しております。

さらにデジタル導入が進む野球界

また昨年のパ・リーグCSではNHK–BSの中継で「PITCHf/x」が登場。球場に設置されたカメラからピッチングを捕えると、ボールが動く軌道や速度などのデータを一瞬で映像に出してしまう「トラッキングシステム」と呼ばれるものは、デジタル野球の先達であるMLBではすでに導入済み。この自動追尾システムは、さらに先を行っており、昨年からはMLB専門チャンネルで「スタットキャスト」なるものが導入されています。これを使えばひとつのプレーから球のスピードや変化軌道、回転数だけでなく、バッターのスイングスピードからボールの角度や落下地点、ランナーのスピードまでありとあらゆるものが数値化されてしまうのです。

技術が発達すると同時に審判不要論も語られているようですが、創生期の名物審判・二出川延明氏のように、決定的な写真で誤審をつきつけられても「写真が間違えている」とつっぱねるような圧倒的な人間力による裁定も、プロ野球の妙味と感じずにはいられません。

さて、話はガラッと変わりまして、今月2日、北海道日本ハムの吉川光夫投手と石川慎吾外野手と読売巨人軍の大田泰示外野手と公文克彦投手による2対2の大型トレードが成立しました。ニッカンスポーツが報じるところによると、日本ハム入りが決まった公文投手は同じ91年生まれの岡大海外野手、高梨投手らで作られているLINEのグループに入れてもらったそうです。よかったですね。

それではまた来月。プロ野球デジタルニュースでお会いしましょう。

文/村瀬秀信

※『デジモノステーション』2017年1月号より抜粋

むらせひでのぶ/ライター、コラムニスト、プロ野球観客。セイバーメトリクスとか武器にできたからいいなぁと憧れる40歳。数学2、血圧140。著書に「4522敗の記憶」(双葉社)、「プロ野球 最期の言葉」(イーストプレス)、「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(交通新聞社)など著作多数。

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