シャープ端末、16和音の着メロ作りと「J研」のこと【発掘!15年前のJ-PHONEカタログ:番外編】

およそ15年前のJ-PHONEとケータイの話、今回はこれを語らずして終われない「着メロ」がメインテーマです。

1999年から2003年にかけ存在し、以後ボーダフォン→ソフトバンクへと移り変わり現在に至る携帯電話キャリア「J-PHONE」。当コラムではこのJ-PHONEについて並々ならぬ思い入れがある筆者が、約15年前のカタログ冊子とともに振り返ってきました。

 

こうして2000年夏〜2002年冬までを半年ごとに見てきましたが、“J-PHONEがなくなっていく”さまが刻まれた末期のカタログは今見てもせつない思い出に……。しかし最後はもうちょっと楽しい話題で終わりたい! ということで、あの頃のケータイで一番楽しく、J-PHONEがボーダフォンになってからも変わらず盛り上がっていた文化についてちょこっとご紹介。今回は番外編です。

シャープ“J-SH”ラストモデル『J-SH53』で
あのころの「ケータイ着メロ」をプレイバック

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カラー液晶の早期採用、業界初のモバイルカメラ搭載など、J-PHONEと当時のケータイ端末全般をリードしていたメーカーがシャープでした。おしなべてスペックが高かったシャープ端末ですが、これに加え個性となっていたのが「着メロ(着信音)作成機能の異様なまでの充実ぶり」。着メロ機能が目当てでJ-PHONE/シャープのケータイひとすじだった人、いましたよね……?

「J-SH」で始まる型番のJ-PHONE/シャープ端末、そのラストを飾ったのが2003年5月発売の『J-SH53』。当時最高峰のQVGAカラー液晶や100万画素カメラを搭載したハイエンドモデルで、筆者もこれを愛用していました。

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やけに保存状態がいいのは、この機種から次のモデルに機種変更する寸前、外装交換サービスで新品の本体に交換してもらったから。当時、ボーダフォンショップの店員さんに聞いた「この機種を外装交換して記念に取っておかれるお客様がとても多いんですよ」という話は印象的でした。
やけに保存状態がいいのは、この機種から次のモデルに機種変更する寸前、外装交換サービスで新品の本体に交換してもらったから。当時、ボーダフォンショップの店員さんに聞いた「この機種を外装交換して記念に取っておかれるお客様がとても多いんですよ」という話は印象的でした。

今回は、いまだにピンピンしている『J-SH53』の実機で、あのころ激ハマりしていた着メロの作成を再現してみます。

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ファンクションキー(F)17で「オリジナル着信音」の作成に入る操作はまだ指が覚えていました。曲の速さ(テンポ)を4段階から選んで、和音数を8和音〜32和音のいずれかに設定したら音符の入力画面へ。

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ケータイ当初の単音から、2和音→3和音→4和音と増え、ハーモニーを奏でるようになった着メロ。これが8和音を超えだしたあたりで「そんなに重ねる音ある?」と思いきや……使える音色が増えたことでバンド編成なども再現できるようになりました。多数の音色や強弱を設定し、大量の音符をコピー&ペーストしながらケータイで力作に挑戦できてしまうのは今見ても特異な感じ。

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和音数をかなり使うのがネックながら、ドラムセットの音色もある。さらには波形パターンをいじって音色を自分で作れる機能まである! このレベルの作成・編集機能があったケータイは、筆者の知る範疇ではJ-PHONE〜ボーダフォン時代のシャープ端末だけでした。互換性のある着メロデータ(SMAF形式)はPCのソフトでも作れたのですが、ある程度制約のあるケータイでポチポチ打ち込むのが個人的にはちょうどよかった。

さて、せっかくなので、懐かしいケータイで16和音の着メロを作ってみました。新しく作った証拠になるように、2016年のヒット曲を耳コピで打ち込みます。

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そうしてできたのがこれ。「15年前」つながりで、今年15年ぶりに発売されたTHE YELLOW MONKEYの新曲「砂の塔」(関連記事)。オリジナル音色は使わずプリセット設定のみで作成しました。
YouTube:1分30秒

J-PHONEのケータイを発端に生まれた「自作着メロの投稿文化」

手間暇かけてようやく完成する着メロ。これらは自己満足だけでなく、自作着メロを投稿・公開できるサイトで人に聴いてもらうという楽しみがありました。そのサイトというのが「J研」です。

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iPhone/Android着信音対応! 【全曲無料試聴】投稿型着メロJ研

J-PHONE端末向けの「J-SKY研究所」が前身となり、以後はau、ドコモ端末にも徐々に対応、さらにはiOS、Android端末にも対応し、驚くべきことに現在でも継続中。JASRACほか著作権団体の許諾も得て運営されている、非常にまっとうな有料制着メロ配信サイトです。

「J研」に投稿すると各曲ごとにユーザーの感想や採点が付けられるようになっており、投稿者はそれらの反応が楽しみだったり、不安だったり一喜一憂。上質な着メロは“作品”と呼ばれ、人気のある投稿者は“職人”と呼ばれ……今でいうSNSらしい楽しみ方ができるようになっています。さらに、着メロを投稿した人にはダウンロード数に応じたマイルのようなもの(=「Jレージ」という)で利益を還元。これをコツコツ貯めるとゲーム機や商品券などに交換できるという仕組みも画期的でした。

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ゲーム音楽館☆

「J研」のほかには、JASRAC管理外の楽曲を中心としたゲーム音楽着メロを扱う「ゲーム音楽館☆」もありました。というか、今も更新が続いているのが本当にすごい。こちらも、楽曲数やクオリティなど唯一無二の存在感があるサイトです。

2000年代半ばあたりから「着うた」のブームにより着メロが下火になったのは周知の通り。いつしか、シャープのケータイからもリッチな着メロ作成機能が省かれるようになりました。しかし、それらを経た今でも着メロの投稿文化が絶えずに残っているのはすばらしいですね。

筆者もかつては上記のサイトに数百曲を投稿させてもらいました……。着メロは、J-PHONE時代で一番の忘れがたい思い出です。

おまけ:【発掘!10年前のVodafoneカタログ】

「J-PHONEのカタログが出てこないじゃないか!」という方、すみませんでした。残念ながらJ-PHONEのカタログはもうありませんが、ボーダフォンがソフトバンクに移行する寸前(2006年9月)の端末カタログが手もとに残っていました。最後は、伊藤美咲さんが表紙を飾っていたこの冊子を眺めながら締めくくりたいと思います。

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(2006年のケータイは……ワンセグ対応が最大のステータスになり、おサイフケータイが出始めたのがトピックでしたね)

J-PHONEにまつわる懐かしコラム、ひとまずこれにておしまいです! 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

文/柳 雄大(編集部)

関連サイト

ソフトバンクグループの沿革
J研
ゲーム音楽館☆

【発掘! 15年前のJ-PHONEカタログ】バックナンバー

(第1回:2000年6月分) 初めてのカラー液晶ケータイの思い出
(第2回:2000年12月分) おお…初代カメラつきケータイは11万画素でした…
(第3回:2001年6月分) 昔のケータイの「機種変更価格」が安すぎる!
(第4回:2001年12月分) 写メール、そして“全部入りケータイ”で迎えたJ-PHONE時代の絶頂期
(第5回:2002年6月&12月分) J-PHONEからボーダフォンへ。思い返すとせつない、あの過渡期