2016〜2017ストーブリーグに見る、プロ野球選手のキャリア構築のお話

皆さま、こんばんは。デジモノステーションの気休め箸休め。月に一度のご奉公。プロ野球デジタルニュースです。

プロ野球は今年も1年間の公式行事を終え、ストーブリーグまっさかりで多くの選手が球団の移籍を発表しております。最も注目を集めたFA市場では、注目された中日の平田良介選手、大島洋平選手は宣言せずに残留。FA権を行使したオリックスの糸井嘉男選手が阪神へ。埼玉西武の岸孝之選手が東北楽天へ。横浜DeNAの山口俊投手と福岡ソフトバンクの森福允彦投手、さらに12月15日という本誌校了目前に、北海道日本ハムの陽岱鋼選手が巨人へとそれぞれ移籍しました。

また、FA発足以来、最も宣言移籍をした選手が多い埼玉西武では主将の栗山巧選手が海外FA権を行使しての残留を発表。宣言は「生涯ライオンズ宣言」となりました。

いろいろあったDeNA、ベイスターズへの影響は?

FAで山口俊が移籍したDeNAベイスターズは、FAと同時期に親会社のDeNAが運営する医療情報サイトの「WELQ」問題で大炎上。「WELQ」を含む情報サイトのほとんどを公開中止し、12月7日には守安功代表取締役兼CEO、ベイスターズのオーナーでもある取締役会長の南場智子氏が謝罪会見を行った。

守安氏は「DeNAはゲーム事業で大きく成長してきたが、2012年ごろをピークに業績が下がってきていた。ゲーム事業を立て直す一方で、それ以外の事業を作らねばならないという認識があり、様々な事業を立ち上げてきたが、期待通りに成長することが難しかった」と今回の問題の背景となった事情を説明しました。

その2012年シーズンから子会社となったベイスターズは、それまで4年連続最下位で大幅に赤字だった最悪のチーム状況を、この5年間で観客動員、収益ともに大幅に回復。チーム成績も今シーズン初めてCSに出場するなど上り調子だっただけに、来季以降の影響が気になるところです。

意義が問われる12球団合同トライアウト

そんな中、今年も11月12日に阪神甲子園球場でトライアウトが行われました。新垣渚投手、後藤光尊選手、久保裕也投手など、投手42人、野手23人が参加したトライアウト。懸命のプレーが行われる一方で、現在までにNPBに入団が決まった選手は元楽天の榎本葵選手が東京ヤクルトへ。元阪神の柴田講平選手が千葉ロッテと、わずか2名のみ。トライアウトを受けなかったヤクルト田中浩康選手が横浜へ、細川亨選手が東北楽天へ。ソフトバンク柳瀬明宏選手が阪神への入団するなど、トライアウトの意義が問われています。

トライアウトを受験した選手たちも、球団の選手保有期間である11月が終わると、現役引退を決断することが多いようです。

元プロ野球選手たちの「セカンドキャリア」って?

プロ野球をはじめアスリートのセカンドキャリアの問題が昨今よく聞かれますが、2014年にはその問題解決の一助となるべく、日本プロ野球選手会とソフトバンク系列のSBヒューマンキャピタルがタッグを組んで、引退したプロ野球選手のセカンドキャリアを支援する「イーキャリアNEXTFIELD」というサービスを開始しました。

東大よりも入るのが難しいプロ野球。考え方によっては「元プロ野球選手」という最難関資格を持っているともいえ、人材として欲しい企業は少なくありません。しかし、これまでは就職するにも、個人的なコネクションがなければ希望する職種へはなかなか就けず、特殊な能力を発揮することも難しかったと聞き及びます。

この支援サービスは、プロのアスリートとして培ってきた経験と能力を欲しい企業と引退した選手が、専用サイトを通じて就職を支援するいわば元プロの就職マッチングサイト。運営開始3年目となる今季までに、このサイトを通じて就職を果たした選手も少なくないようです。

時代と共に、あらゆるものが変わって行くプロ野球。いやー、今月も恐ろしいほどデジタルでしたね。それではまた来月。プロ野球デジタルニュースでお会いしましょう。

文/村瀬秀信

※『デジモノステーション』2017年2月号より抜粋

むらせひでのぶ/ライター、コラムニスト、プロ野球観客。セイバーメトリクスとか武器にできたからいいなぁと憧れる40歳。数学2、血圧140。著書に「4522敗の記憶」(双葉社)、「プロ野球 最期の言葉」(イーストプレス)、「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(交通新聞社)など著作多数。

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