【Apple、Google、Amazon】3大IT企業の2016年デジタルニュース総決算

今年も国内外で大きな事件が続いたが、いわゆる重大ニュース的なものは池上さんにお任せしよう。ここでは、2016年デジタルの世界で起きたさまざまな出来事を本誌独自の切り口で総括。私たちのライフスタイルをガラリと変えるかもしれない“大事件”を一緒にふり返ることにする。2016年も話題の中心はApple、Google、Amazonの3大ITモンスター企業。私たちの未来生活は彼らに委ねられている……!?

【1月】イヤホン端子排除の「うわさ」に30万を超える陳情の署名

 
Apple
 
「次期iPhoneには3.5ミリイヤホン端子が搭載されない」という情報が年始のネット世界を駆けめぐった。100年以上続くこのイヤホン端子を存続させようと、オンライン署名サイト「SumOfUs」ではさっそく署名活動が開始されたが、結局『iPhone 7』にイヤホン端子が載ることはなかった。同サイトでは現在も投票ができ、本原稿執筆時の12月11日現在30万4520もの票が集まっている。ジョブズだったらどちらに投票しただろう?

「Keep the standard headphone jack in your iPhones!」と訴える署名ページ。イヤホンメーカーもこの話題には敏感だっただろう。
「Keep the standard headphone jack in your iPhones!」と訴える署名ページ。イヤホンメーカーもこの話題には敏感だっただろう。

【2月】Google自動運転車、初めて過失を認める事故

 
Google
 
Googleの自動運転車がカリフォルニア州で事故。停止状態から車道へ戻るとき、背後から来たた市営バスの側面に衝突したという。実用化に向け試験を重ねていたがこの12月、完全自動運転車の開発をGoogleが諦めたと米大手ニュースサイトは報じた。

Google

【2月】次期Android OSの名は…? Google重役が意味深な投稿

GoogleのAndroidエンジニアリング上級副社長が、「海苔は健康にいいだけでなくおいしい」といった内容を海苔のWikipediaのURLとともにツイート。「次期OS名はNoriになる!?」と日本のユーザーをわくわくさせた。

Hiroshi Lockheimer氏のツイート。最終的にはソフトキャンディの一種である「Nougat」に決定。
Hiroshi Lockheimer氏のツイート。最終的にはソフトキャンディの一種である「Nougat」に決定。

【3月】現役最強棋士を負かした! 24時間進化し続ける恐るべきAI

 
Google
 
GoogleのDeepMindが開発した囲碁プログラム「AlphaGo」( アルファ碁)が、世界最強と呼び名の高い韓国のプロ棋士イ・セドルと対局。4勝1敗の圧勝に終わった。この結果は、人工知能の“末恐ろしさ”を世界中の人々に植え付けた。AlphaGoの進化は続く……!

CPU1202個、GPU176個がフル稼働するクラウドサーバーは、運用費だけでも年間30億円以上かかるという話も。Googleだからなせた業すぎる。
CPU1202個、GPU176個がフル稼働するクラウドサーバーは、運用費だけでも年間30億円以上かかるという話も。Googleだからなせた業すぎる。

【3月】テロリストのiPhoneついにアンロック

 
Apple
 
銃乱射事件の容疑者のiPhoneのロック解除をめぐり、FBIとAppleが争っていたが第三者の協力によりアンロックが成功したとFBIが発表。協力者の正体は日本企業の子会社だと報じられた。

イスラエルの新聞はサン電子の子会社、Cellebrite社と報じたが同社はコメントを控えた。
イスラエルの新聞はサン電子の子会社、Cellebrite社と報じたが同社はコメントを控えた。

【4月】Apple設立40周年。本社キャンバスに海賊旗が

 
Apple
 
スティーブ・ジョブズらが1976年4月1日に設立したAppleが40周年を迎えた。それを記念し、米カリフォルニア州のApple本社にはAppleロゴを片目に入れた海賊旗が掲げられた。「海軍に入るより、海賊であれ」というジョブズの精神を受け継ぎ、これからも革新を起こし続けられるか。

Amazon

【4月】全商品送料無料がついに終了。プライム会員との差がよりくっきりと

Amazon.co.jpが4月6日に配送料を改定。非プライム会員は、2000円未満の注文の場合送料が350円かかるようになった。写真を無劣化、無制限で保存できる「プライムフォト」、コンテンツを視聴し放題のプライム・ビデオ&プライムミュージック、商品が1時間で届く「プライム ナウ」など、プライム会員への過剰なまでのサービス拡充をしている矢先の変更に、「プライム会員の囲い込みでは」「(囲い込んだ上で)最終的に会員費を値上げするのでは」などの声が上がった。

プライム・ビデオには日々新作や独自コンテンツが追加され、他の動画定額サービスに引けを取らないほど。
プライム・ビデオには日々新作や独自コンテンツが追加され、他の動画定額サービスに引けを取らないほど。

【5月】眼球に埋め込む視力矯正用デバイスの特許を出願

 
Google
 
老眼や乱視、近視、遠視といった目のトラブルを矯正する新技術の特許をGoogleが申請。特筆すべきはそれが「眼球に注入する無線デバイス」であること。水晶体を取り除き、デバイスと結合用の液体を注射によって注入するという。情報を眼球から「直接」見る時代が来るかもしれない。

ストレージ、センサー、バッテリーなどを搭載した無線デバイスを目に注射……鳥肌立ってきました。
ストレージ、センサー、バッテリーなどを搭載した無線デバイスを目に注射……鳥肌立ってきました。

【6月】Amazonでのチケット販売は、高額転売に一石を投じることができるか

 
Amazon
 
イベンター大手のキョードー東京が、6月9日よりAmazonマーケットプレイスでイベントチケットの販売を開始。オークションサイトなどでのチケット高額転売が相次ぐなか、購入者とAmazonアカウントを紐付ける実験的な試みに。

多くのアーティストやイベントが賛同する「tenbai-no.jp」。音楽界にとっては大きな問題です。
多くのアーティストやイベントが賛同する「tenbai-no.jp」。音楽界にとっては大きな問題です。

【6月】次の一手は教育か?「 Project Bloks」発足

 
Google
 
Googleが子ども向けプログラム教育プロジェクト「Project Bloks」を発表。小型コンピュータ搭載の「Brain Board」と命令を詰め込む「Puck」、それらの伝達役となる「Base Board」を組み合わせ、ロボットやタブレットを動かす直感的な学習ツールだ。

【7月】決算から見えた。Amazonの屋台骨を支えるモノとは…?

 
Amazon
 
Amazonが2016年第2四半期の決算報告を発表。純売上高は304億ドルで市場の予測を上回り、なかでもクラウド事業であるAWS(Amazon WebService)は前年同期比58.2%増という好調さを見せた。営業利益率も前四半期の27.9%から29.9%へとアップ。揺るがない業績を見せつけた。

【8月】Kindle Unlimited国内で開始されるも、トラブル続く

 
Amazon
 
「月額980円で12万冊以上の本が読める」と、8月3日に突如「Kindle Unlimited」がスタート。参加する出版社やお目当ての本の有無などネットユーザーは盛り上がったが、Amazonの予測以上にダウンロードが殺到し、一部出版社の人気タイトルの配信を一方的に停止するなど問題が表面化した。昨年、みんれびがスタートした僧侶手配サービス「お坊さん便」とともに、Amazonの見切り発車的なスタンスが物議を醸すことに。

2015年12月7日にサービスを開始したお坊さん便。仏教界からは反発の声が挙がるも、法事にかかる金額が明瞭になり利用者にメリットも。
2015年12月7日にサービスを開始したお坊さん便。仏教界からは反発の声が挙がるも、法事にかかる金額が明瞭になり利用者にメリットも。

【9月】日本人が待ちわびた最新にして最強のiPhone発表

 
Apple
 
9月8日未明、『iPhone 7 / 7 Plus』がついに正式発表。イヤホンジャックは前情報通りなくなりワイヤレスの『AirPods』が同時発表。防水やおサイフケータイ(FeliCa)など、日本市場を意識した新要素が盛り込まれた。Suicaやクレジットカードに対応したApple Payが、『iPhone 7』だけで通勤や買い物をする新しいライフスタイルを創出する。

背面の「総務省指定」の文字がネットで大きな話題に。ジェットブラックは品薄が続いた。
背面の「総務省指定」の文字がネットで大きな話題に。ジェットブラックは品薄が続いた。

 

【9月】ProjectAra凍結で「俺スマホ」の夢ついえる

 
Google
 
SoCやメモリ、ストレージ、カメラ、バッテリーといったスマートフォンの構成要素を自由に組み合わせ、自作PCのように1台のスマホを完成させる「ProjectAra」計画が凍結。3年間の開発に終止符が打たれたが、この革新的な計画のリブートに期待したい。

【10月】Google初の独自開発「Pixel」シリーズはスマホ界を牽引するか

 
Google
 
メーカー各社が手がけた「Nexus」シリーズが終了し、Google独自開発の新ブランド「Pixel」が開始。人工知能搭載の会話型UI「Googleアシスタント」を軸に、最新OSやVRプラットフォーム「Daydream」対応など高スペックが注目を集めた。

日本での発売が当分ないことを嘆いた筆者はファーウェイのスマホにMNP。とても快適に使用している。
日本での発売が当分ないことを嘆いた筆者はファーウェイのスマホにMNP。とても快適に使用している。

【10月】物理ファンクションキーがなくなった2016年版MacBook Proに賛否両論

 
Apple
 
10月28日に新型『MacBook Pro』が発表。特筆すべきは指紋認証の「Touch ID」と、アプリごとにさまざまな動作を割り当てられるマルチタッチディスプレイ「TouchBar」の搭載だ。ブラウザの進む/戻るを始め、iPhoneの着信をTouch Barで出たりなど使い方は無限(Adobe製品も対応予定)。物理ファンクションキーをなくしてまで必要なものか? は『iPhone 7』のイヤホン端子同様ユーザーの反応を待とう。

Boot Camp使用時は、F1〜F12までのファンクションキーとESCキーが表示。いざ使ってみるとなかなか使いやすいバーです。
Boot Camp使用時は、F1〜F12までのファンクションキーとESCキーが表示。いざ使ってみるとなかなか使いやすいバーです。

【11月】iPhoneの通話履歴がクラウドサーバへ集約されるのは危険!?

 
Apple
 
ロシアのセキュリティ企業Elcomsoftが、iCloudを有効にしているiPhoneの通話履歴がAppleのクラウドサーバへ自動送信されていると発表。FBIへの協力を拒んだAppleが、ユーザーの情報をいとも簡単に集めていることに警鐘を鳴らした。

GoogleやAmazonにも同じことが言えるが、アカウントひとつにメールや写真、連絡先、クレジットカードなどの個人情報がどんどん紐づく時代になっている。便利な反面、それはとても危険なことではないか? と一度立ち止まって考えたい。
GoogleやAmazonにも同じことが言えるが、アカウントひとつにメールや写真、連絡先、クレジットカードなどの個人情報がどんどん紐づく時代になっている。便利な反面、それはとても危険なことではないか? と一度立ち止まって考えたい。

【12月】商品を手にそのまま店を出る! 買い物をどこまでも進化させるAmazon

 
Amazon
 
専用のボタンを1プッシュするだけで、消耗品などを注文できる「Dash Button」が日本国内でようやく始まった矢先、本国では先んじて、商品を手にとるだけで購入となるレジ不要の無人コンビニ「AmazonGo」が発表された。RFID(ICタグ)を用いない画像認識による購入管理、そして入店時の認証による万引き防止など小売業を根底から変えるポテンシャルを秘めたサービスだ。Amazonの次の一手はコンビニだ。

イメージ映像で見る買い物姿はまるで万引き!(←褒め言葉)。 考えうる何百ものイレギュラーケースにAmazonは対応したという。日本上陸はいつ?
イメージ映像で見る買い物姿はまるで万引き!(←褒め言葉)。 考えうる何百ものイレギュラーケースにAmazonは対応したという。日本上陸はいつ?

2017年はどう動く?
こうしてふり返ると、Apple、Google、Amazonという3社の底力を思い知る2016年となった。ここでは取り上げなかったFacebookも、目立った動きこそなかったがファミリーアプリのInstagramとともに好調をキープ。一方、業績悪化が続き、動画共有アプリ「Vine」を終了したTwitterは身売り先がついにゼロに。今後が心配されるところだ。こうしたなか、Amazon、Google、Facebook、IBM、Microsoftという名だたる企業が9月28日に連携を発表。「Partnership on AI」と名付けられたその非営利団体は、AI技術が今後実社会で広がっていくにあたり、実例や課題への対策を共有する開かれたものになっていくという。人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が本当に訪れるかは誰にもわからないが、巨大企業によるこの歴史的なパートナーシップは、AI社会がもうすぐそこに来ていることを示唆している。2017年は重要な1年になるだろう。
人工知能は人間にとって便利なツールであり、よきパートナーである。その前提を踏み外さないためにも、私たちひとりひとりが考えていく必要がある。
人工知能は人間にとって便利なツールであり、よきパートナーである。その前提を踏み外さないためにも、私たちひとりひとりが考えていく必要がある。

文/森谷穂七