年俸の昇給率に見る、2016年にブレイクを果たしたプロ野球選手TOP5

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オフの契約更改の中で必ず出るのが“年俸◯%アップ”、“◯%ダウン”というような、前年度の年棒からの昇給率。昇給率はそれまでの年俸が低い選手であるほど、活躍が反映されるいわば「ブレイク率」。大きくアップするというのは、一人前のプロ野球選手になった証でもあります。それでは、今年ブレイクを果たした選手たちを5位から見ていきましょう。

【5位】 北条史也(阪神) 201%UP
480万円 → 2200万円

今年、“超変革”を掲げた金本タイガースにおいて、和田前監督最大の功績とも言われる2012年ドラフト2位で入団した大型内野手。プロ3年間で一軍出場わずか1試合だった金の卵が、昨年は初の開幕スタメンを果たすとともに、主力選手へと成長。7月以降は鳥谷敬選手の不調もあって、ショートのレギュラーとして定着。規定打席にはあと5打席足りなかったものの、122試合に出場して2割7分3厘、5本塁打6盗塁を記録したのは見事でありました。

【4位】 桑原将志(横浜) 208%UP
1300万円 → 4000万円

初のCS出場を果たしたDeNAベイスターズにおいて、課題だったセンターラインをがっちり固めたガッツマン。ラミレス監督が「ゴールデングラブ級」と絶賛する球際に強い守備面では、ダイビングキャッチで美守を連発。また、1番打者にして得点圏打率リーグ3位となる3割7分を記録した勝負強さと、11本塁打を放ったパンチ力、底抜けの明るさで、チームに欠かせない存在に。133試合で2割8分4厘、19盗塁と走攻守で結果を残しました。

【3位】 二木康太(千葉) 233%UP
540万円 → 1800万円

2013年のドラフト6位で入団した長身投手。高卒3年目となる昨年は、オープン戦で13回無失点など結果を残し、開幕ローテ入り。4月12日の東北楽天戦でプロ初勝利を1失点の完投勝利で決めると、その後、6月までに12試合で5勝と石川歩、涌井秀章に次ぐ勝ち星を挙げ、新人王の期待もかけられました。

しかし、直後の6月25日の西武戦で5回7失点、7月9日の日ハム戦で3回9失点と打ち込まれるなど、その後は勝ち星が伸び悩むことに。しかしなんとか1年間を先発として投げ切り、最終的に22試合登板で7勝9敗。防御率は5・34。更改後には「後半失速したので、来季はレベルアップして、開幕ローテに入り2ケタを目標にしたい」と、飛躍を誓いました。

【2位】 高梨裕稔(日ハム) 261%UP
830万円 → 3000万円

昨年の日本一に輝いた北海道日本ハムで、10勝を挙げたパ・リーグ新人王投手。大卒3年目にして初の開幕一軍。シーズン当初は中継ぎでの起用でしたが、伸びのあるストレートを武器にしびれる場面で好投を続け、防御率1点台と結果を残します。そして先発投手の頭数が不足した交流戦6月8日の広島戦から先発に転向すると、負けなしの8勝を挙げリーグ優勝に貢献。CSファイナル、日本シリーズにも登板するなど、日本一投手陣の一角でガッチリと存在感を示しました。

その後、パ・リーグ新人王を獲得。高卒以外でプロ3年目となる受賞は史上初となる出来事で、本人も「これ以上にないシーズンだった」と語るほどの立身出世を果たしました。

【1位】 原口文仁(阪神) 358%UP
480万円 → 2200万円

今季ナンバーワンのブレイクを果たしたのは、阪神タイガース超変革の旗頭、原口文仁選手です。2009年ドラフト6位、プロ7年目の苦労人。昨年まで一軍出場はないどころか、プロ3年目となる2013年のオフには度重なる故障の影響もあって、自由契約から育成選手として再契約。背番号124で出直すも二年連続で大怪我をするなど苦難が続きました。

勝負の年と挑んだ昨年は、キャンプで掛布雅之二軍監督の推薦を受け一軍に合流。開幕後の4月27日に支配下登録選手に返り咲き、当日の巨人戦ではユニフォームも間に合わずコーチに借りて出場すると、初安打を記録。その後スタメンに抜擢され5月には育成経験者で初となる月間MVPを獲得。在阪スポーツ紙は連日その活躍を伝え、オールスターにも出場。天と地がひっくり返ったような活躍を続けると、4番としても5試合に出場するなど、阪神打線の中軸を任されるように。107試合で2割9分9厘11本塁打44打点という数字を残しました。契約更改での358%アップは歴史ある球団の中でも史上最高の昇給率。今年、超変革の魔法で生まれたシンデレラには、来季も注目です。

文/村瀬秀信

※『デジモノステーション』2017年3月号より抜粋

むらせひでのぶ/ライター、コラムニスト、プロ野球観客。セイバーメトリクスとか武器にできたからいいなぁと憧れる40歳。数学2、血圧140。著書に「4522敗の記憶」(双葉社)、「プロ野球 最期の言葉」(イーストプレス)、「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(交通新聞社)など著作多数。

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