自分より短命なモノは使わない。インテリア・スタイリスト窪川勝哉氏の「三種の神器」

自分が生きているうちに使えなくなるような寿命の短い物は嫌いです


インテリア・スタイリスト
窪川勝哉さん

インテリアのみならず、クルマや時計、家電、ステーショナリーなど、プロダクト全般に造詣が深い。雑誌やTV番組などでのスタイリング、ウインドウディスプレイや、イベントのデコレーションなども手掛ける。

気に入った物は丁寧に扱う だから長い間、使えるんです

仕事に行く時に必ず持っていくのが、このBrooklyn Tokyoの『レザーケース』です。スケールやペン、電動歯ブラシの『ポケットドルツ』、デジタルカメラ、USBメモリ、印鑑や朱肉などを入れています。どれも仕事には欠かせないものですね。


Brooklyn Tokyo
レザーケース
価格:不明

十数年前に友人からプレゼントされた三つ折りのレザーケース。中を開くと、ボールペンなど細い物を入れるのに程よいホルダーや、チャック付きの小物入れが付いている。窪川さんの推測では、メイクアップ道具を入れるものではないかという。



ケースは20年くらい前に、友人からプレゼントされたものなのですが、元々がなんのためのケースなのかは分かりません。おそらくメイクさん用だとは思うのですが……。

レザーのエイジングが気に入っています。まだまだ使えそうですが、壊れたら、直してもらってでも使い続けるつもりです。もう20年も毎日持ち歩いているモノですので、仕事には欠かせませんから。

「打合せ前に、紐を解いてケースを開いて、ペンを取り出す、その一連の所作が好きですね。紐を解いたり結んだりするのが、面倒だなぁとは思うんですけどね」

中に入れている物で、インテリア・スタイリストっぽいと言えば、家具や空間などの長さを測るためのスケールや、傾きをチェックする水平器ですかね。あとはカスタマイズした、フリクションボールのボールペン。書いたものが消せるから便利なんですけど、気に入ったデザインの物がないので、自分でサンドペーパーを使って、表面を削りました。

時計も欠かせませんね。時計は20代の頃にたくさん買いました。『BeoWatch 9750』は、ネットオークションで買ったと思います。


Bang & Olufsen
Beo Watch 9750
販売終了

デンマークのAV機器メーカー、B&Oの腕時計。同社製オーディオ機器の、音量など操作できるリモコン機能付き。デザインは、ヤコブ・イェンセンが手がけたもの。窪川さんが20代の頃に、ネットオークションで落札した一品だ。



服を着て、出掛ける前に時計を選ぶんですけど、最終選考まで残る確率が高いのがこの時計と、タグホイヤーのスマートウオッチですね。高級時計ではなく、あえて“外し”として腕に着けていくことが多いです。

「発売時にも、この時計に注目していましたが、新品で買ったら相場通りの値段でしか買えない。誰も注目しなくなった時に、底値で買うっていうのが好きです」

家の電話はレコード会社などで有名なヴァージングループの『Pulse VP13』です。買った当時は、デザインが納得のいく電話で、留守電機能が付いたものがなかったんですよ。デザインというか、気持ちのテンションが上がるようなものがなかったんです。それで色々と探して、これに辿り着きました。

Virgin
Pulse VP13
価格:不明

丸みを帯びたデザインや表面加工の柔らかい肌触りが特長の留守電機能付きのコードレス電話。イギリスのVirginグループのVirgin Pulse社製。同社はかつてポータブルラジオやCDプレーヤーなども販売していた。



もう15年以上は使っていると思います。何でも気に入ると長いんです。長く使いたいから、物の扱いが丁寧になる。クルマや部屋のドアの締め方とか、靴の履き方とか、歩き方も、他の人を見ていると、雑だなぁって思うこともあります。それくらい、物には丁寧に接しているつもりでいます。

例えば、いま住んでいるこの家も築61年です。配管とかの修理が必要になって、手間もかかりますけどね。それでも大切に使っていれば、十分に快適なんです。なんでも、そういうものだと思っています。

でももしかすると、ある程度は手間が掛かる物が好きなのかもしれません。インターネットやスマートフォンのない世界にはもう戻れないけど、全てが便利なのもつまらないというか……。そういう意味では、比較的にプリミティブな物が好きですね。最新のクルマを買えば、メンテナンスもラクなのは知っているけど、楽しくない。今は乗っていませんが、乗る前にチョークを引いてエンジンをかけるみたいな手間が嫌いじゃないんです。その日のご機嫌を気にしながらクルマに乗るっていう雰囲気が好きですね。

「築61年の家ですが、快適に暮らしています。家具なども、どれも愛着が湧くようなものを選んでいって、大切に使っているから、古くなりません」

インテリア・スタイリストっていう仕事をしていながら言うのもどうかと思いますが、流行りは追わないです。しっかりと流行とかトレンドは理解して、否定もしません。でも自分では追わない。やっぱり基本はプリミティブな物が好き。1年や2年で古くならない、良いものを長く使い続けるのが好きですね。良い器を使っていれば雑に扱わないから、割らないだろうし。このウェッジウッドのペンも、フタに付いているマークの部分はウェッジウッドの焼き物なんですよ。雑に扱うと割れちゃうって分かって使う。だから丁寧に使いますよね。そうすると長い間、使える。

人それぞれ、良い物っていうのは違うと思います。でも、それぞれ自分のお気に入りだと思った物を、大切に使っていけばいいと思います。それが丁寧に暮らすってことに、つながっていくはずです。

文/河原塚英信 撮影/津田宏樹

※『デジモノステーション』2017年4月号より抜粋

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窪川勝哉 (@kubokawakatsuya) | Twitter