いよいよスントにも光学式心拍計が! スポーツウォッチ『スパルタン スポーツ リストHR』の精度はどう?

南井正弘の「RUNNER’S DIGIHIGH」

現在所有するスニーカーは約1000足! 世界中のマラソンレースに出場する南井正弘が、ランナー目線で綴るデジタルの”グッとくる話”

機能性を重視するスントはLED心拍計測装置を3つに

心拍トレーニングが徐々に人気となっている。これは心拍数を計測することで、脂肪燃焼や心肺機能強化など、各人の目的にあった運動負荷を認識し、効率的なトレーニングを行うことができるからである。

例を挙げると、脂肪燃焼には心拍数を上げ過ぎないことが重要だが、ランニングであれば、ほとんどの人にとって「こんな遅いペースでいいの!?」というくらいのスピードこそが、実は脂肪燃焼には最も効率的なのである。ダイエット目的で走っている人の多くが、明らかに運動負荷が高すぎて、脂肪燃焼よりも心肺機能が強化されるペースで走っており、「定期的に走っているのにお腹まわりの脂肪が取れない……」という人は、確実にペースが速すぎるのだと思う。心肺トレーニングを行うのには心拍計が不可欠であり、従来は胸部分に心拍ベルトを付けるのが一般的だったが、最近では手首部分に光学心拍計を装備したランニングウォッチも少なくない。女性の場合、心拍ベルトが下着に干渉して不快な思いをすることも多々あるらしいが、このタイプのランニングウォッチならその心配もない。

ここ数年でアディダス、ガーミン、トムトム、アップル、エプソン、ニューバランス、ポラール……といった数多くのブランドが、この光学心拍計を装備したランニング用デバイスを発表。当初こそ「心拍ベルトと比較すると精度が劣るのでは?」という声も少なくなかったが、シーズン毎に機能性が向上しており、利便性だけでなく肝心の精度に関しても問題のないレベルにまで到達している。このような状況においても光学心拍計を装備したランニングウォッチをリリースしていない有力ブランドが存在した。それがスントである。

SUUNTO
Suunto Spartan Sport Wrist HR
実勢価格:7万3340円

スントはどちらかいうと既存のテクノロジーを熟成させて、その機能性を極限にまで高める印象があり、これまでも「ガーミン」あたりと比較して新機軸の採用には消極的であった。業界ではすっかり常識となったタッチパネルやカラー液晶の採用も2016年になってからだ。そんなスントがファン待望の光学式心拍計を装備した『スパルタン スポーツ リストHR』をリリースする。『スパルタン スポーツ リストHR』は、そのネーミングのとおり、昨年リリースされたスパルタンシリーズのバリエーションのひとつ。時計裏蓋部分にLEDの心拍計測装置を配した以外は基本デザインを踏襲している。他ブランドでは心拍数計測のためのLEDランプは1個か2個の配置だが、このモデルは3個採用。米国バレンセル社との協力により完成したこの光学式心拍計測装置は、これまで以上に高い精度を確保するという。

▲昨年秋以来愛用しているスパルタン ウルトラ ステルス チタニウムとの比較。裏蓋部分に米国バレンセル社との協力により完成したこの光学式心拍計測装置を配する。

他ブランドよりは高額だがファンランには納得のスペック

筆者は2月号のこのコラムでも紹介しているように、昨年秋以来、日々のランやフルマラソンなどのロードレースにおいて『スパルタン ウルトラ ステルス チタニウム』を愛用しているが、操作方法や画面のインターフェイスなどは、今回リリースされた『スパルタン スポーツ リストHR』もほとんど共通。サイド中央ボタンを押してタッチパネルの操作を有効にし、エクササイズから「ランニング 初級」の項目を選択。日課である6kmランをスタートさせた。いつも1kmを通知するエリアで、当然このモデルも1㎞のラップを刻んでいることから、GPS精度の高さを感じさせた。今回は筆者にとって脂肪燃焼に最も効果的と思われる心拍数105〜110をキープするように走る。その際に心拍ベルトを胸に巻いていなくても、リアルタイムで心拍数を確認できるのは本当に便利。坂道などで心拍数が上がりすぎた場合はペースを落とせばいい。こうしていつも通りの6kmランは終了。新機能はプラスされたが、これまでスパルタンを使用していたユーザーは、何ら問題なく操作することができるはずだ。

▲これまでにリリースされたスパルタンシリーズと共通のインターフェイス。この日は「ランニング 初級」の項目をセレクト。

ちなみにこちらの『スパルタン スポーツ リストHR』は税込7万3440円。10万円を超える『スパルタン ウルトラ ステルス チタニウム』と比較すると安いが、他ブランドのランニングウォッチよりもかなり高めの価格設定だ。それと電池の持ち時間がフルパワーGPS時には8時間と、同じ状態で18時間の電池持ち時間を誇る『スパルタン ウルトラ ステルス チタニウム』と比べるとかなり短く、ウルトラマラソンや長めのトレイルレースに出走するランナーには心許ない。しかしながら「レースはフルマラソンの距離が最長!」という大多数のランナーには全く問題のないスペックであり、本体に光学式心拍計を備えたことで24時間安静時や睡眠時の心拍もモニタリングし、ライフログを管理してくれるなど、このモデルの登場はスントというブランドにとってかなり重要な意味を持つことになるだろう。

▲本文とは別の日のログ。140台から150台の心拍数を記録しており、この運動負荷だと脂肪燃焼よりも心肺機能強化に効果がある。

文/南井正弘

みないまさひろ/フリーライター、ランニングポータルサイト『Runners Pulse』編集長。某スポーツシューズブランドでプロダクト担当を10年務める。かつて、伝説的クイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)のスニーカー部門チャンピオンにも輝く。ほぼ毎日のランを欠かさないファンランナー。

※『デジモノステーション』2017年6月号より抜粋

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