飲む→酔う→泊まる。立ち飲み×ホステル『STAND BY ME』は酒飲みの天国だった!
飲み屋と宿が一体化ってホント?
食べ物がおいしい、美人が多い、そして暮らしやすいと、評価の高い福岡・博多に、立ち飲みとホステルが一体化した施設がオープン。飲んで酔っ払ったら、そのまま眠れるというが、実際どんな感じなのかをレポートしよう。
ホテルにカフェやレストランが併設されているのは普通。だが、宿泊施設と一体化した立ち飲み屋は珍しい。この『STAND BY ME(スタンドバイミー)』を企画したのは、株式会社ブルースカイの貞末真吾さんだ。
STAND BY ME
住所:福岡市中央区大手門1丁目3-22
TEL:092-791-1974
営業時間:モーニング(7:00~10:00) ランチタイム(11:30~14:00)※ラストオーダー13:30 カフェタイム(14:00~17:00) 立ち飲み(17:00~24:00)
宿泊料金は、ドミトリー1泊3780円~
貞末真吾/株式会社ブルースカイ 代表取締役 神奈川県生まれ。2012年より福岡市に移住。スタジオ経営やイベント事業を手がける。タイ、バンコクでもホステルを経営。
「以前から、これからの日本を作る若い人に元気になってもらいたいと、コミュニケーションの場を模索していました。『Airbnb』のホストも経営したこともありましたが法的にグレーゾーンだったこともあり、ホステルを作ったのです。1階にコミュニケーションが取れるスペースをと考えた結果、立ち飲みになりました」
お酒・料理は1品250円中心
福岡の屋台や立ち飲み屋では、初めて会う客でも、以前からの知り合いかと思うぐらい話しかけるという。取材に訪れたのは平日だったが、18時にはお客さんでいっぱいになり、テーブルのスペースがほぼなくなっていった。席が固定されにくい立ち飲みというのも、声をかけやすい、かけられやすい環境だ。知らない人に話しかけるのは勇気が要るという人でも、向こうから話しかけてくれるので大丈夫。地元のお客さんも多いので、観光やビジネスの濃い情報が得られるだろう。
お酒や料理は、250円のメニューが中心。専用の「木札」で払うシステムを採用しており、隣のお客さんにおごったり、帰るときに余った木札をあげたりと、コミュニケーションのツールとしても役立っている。
▲店に入ったら、まず4枚1000円の「木札」を購入する。フードやドリンクはすべてこの木札と交換する決まり。余った木札は次回に使うもよし、居合わせた人にあげるもよし。
▲人気店の監修&オリジナルのフードメニューは約30品。ランチの「鶏の唐揚げ定食」は唐揚げの個数上限なし(お残しは禁止)。日本酒や焼酎などのお酒はほとんど1杯250円とリーズナブルだ。
立地的には、赤坂や警固、大名といった飲み屋街へのアクセスもいい。店としては1軒目に利用されることを想定していたたが、この居心地の良さのせいか、長時間滞在するお客さんも多いとか。ここで軽く飲んで出かけるのもいいが、宿泊者なら、シメの1軒にするのが合理的じゃないでしょうか。
▲スタッフさんが届けてくれるフードやドリンクと引き替えに木札を持っていく。人気のドリンクは、クラフトビールの「よなよなエール」。
▲コースターの表(KANPAI !!)と裏(I LOVE SAKE !!)で、話しかけてほしいか、ひとりで飲みたいかを意思表示できる。
【フードメニューは約30種類で基本1品250円】
▲厚切りハムの満足感が高い「二○加屋長介で大人気 長介さんの雲仙ハムカツ」。
▲地元の人気店とのコラボメニュー「海鮮丼 日の出の鶏の唐揚げ」。代表が惚れ込んだ味。
▲宗像の醤油屋さんのポン酢を使った「炙りしめ鯖」。魚にうるさい福岡人も納得の味。
▲地元の人気水炊き屋さんのオリジナル柚子胡椒を使用したポテトサラダ。
1泊たった3780円~とリーズナブル!
ドミトリーは、男女共用に加えて女性専用の部屋も用意されている。明るく清潔な雰囲気だ。ドアには暗証番号式の鍵があり、安心して使用できる。各ベッドにはコンセントとUSBポートも装備。スマホやPCの充電、各種電子機器の使用が可能だ。個室はツインで、専用トイレ付き、エキストラベッドになるソファもある。
宿泊者専用のドアがあり、カードキーで入ることができる。空きがあれば、立ち飲み客もホステルに泊まることができるが、常にOKではないので要注意。
▲カーテンを閉めれば、ドミトリーのベッドは自分だけの空間になる。宿泊者にはWi-Fiも用意されている。軽く飲んだ後なら、メールの返信もなめらかになるだろう。
まったりくつろげて
宿泊者同士のコミュニケーションができる共用スペース
飲んだらそのまま休めることだけが『STAND BY ME』の魅力ではない。ドミトリーならではの、旅行者同士の交流もそのひとつだ。
一般的なビジネスホテルでは、客同士があいさつするようなことはないだろう。ドミトリーでは、同じ空間に宿泊している意識が働くのか、自然と言葉を交わすようになる。人見知りには少しツライかもしれないが、こうした交流も旅の醍醐味ではないだろうか。宿泊者同士なら、立ち飲みの場でも声をかけやすいし、コミュニケーションに使える共用スペースも用意されている。
実際、取材したオグチも宿泊していた人と翌朝に話してFacebookの友達になった。これも旅の魅力!
▲3階の共用スペースは、人工芝のような床に、無印良品の通称「人をダメにするソファ」が置かれていて、まったりくつろぐのに最適なスペース。壁を飾るアート作品は、海外のホステルのようだ。
▲2階の共用スペースには、広めのテーブルの他、レンジやトースター、電気ケトルも自由に使える。
▲1日2500円(8:00~17:00)で借りられるレンタサイクル。
朝食は3種類から選べる
朝食は、「コンチネンタルブレックファースト」「アメリカンブレックファースト」「和食」の3種類用意されているが、飲まれるお客さんが多いためか、一番人気は和食。
文/小口覺 撮影/高仲建次
※『デジモノステーション』2017年9月号より抜粋