これが究極のサウンドか……。『A&ultima SP1000』の表現力に驚愕せよ!

「コレってどうなの?」がわかる。気になるデジタルグッズの深掘りレビュー。今回は、Astell&Kernのポータブルオーディオ『A&ultima SP1000 Stainless Steel』を使い倒します!

Astell&Kern
A&ultima SP1000 Stainless Steel
実勢価格:49万9800円


Front


Rear


Left Sidet


Right Side


Top

【SPEC】音楽再生:DSD256ネイティブ再生対応 容量:256GBフラッシュメモリ内蔵 再生時間:約12時間連続再生(FLAC 44.1kHz/16bit) サイズ:約W75.8×H132×D16.2mm 重量:約386.6g  外部メモリ:microSD 本体収録可能曲数:約9880曲(FLAC 44.1kHz/16bit) 対応ファイル形式:WAV、FLAC、MP3、WMA、OGG、APE、AAC、ALAC、AIFF、DFF、DSF 対応OS:Windows 10、8/8.1、7 、XP、Mac OS X 10.7以上

 

『A&ultima SP1000』ってどんなプレーヤー?

AKが放つ、ハイエンド・ハイレゾ・ポータブルの次世代機

アンプ内蔵型のポータブル・ハイレゾプレーヤー『Astell&Kern KANN』を5月に発売したばかりのAstell&Kernが、間髪を入れずに新機種を投入した。それが『A&ultima SP1000』である。

このモデルは同社製ハイレゾ対応プレーヤーのフラッグシップに位置づけられるもので、2015年に登場した『AK380』の後継にあたる。

ゆえに、音質面では徹底した改良が施されており、回路を新たに設計したことで、前機種よりも高出力化し、ノイズの低減を図っている。また、CPUの性能も大幅に向上し、データ転送速度はAK380の倍となる10Mbpsをマーク。起動時間や反応速度などの高速化によって、快適な使用感も実現したわけだ。

一方で、デザインもブラッシュアップ。宝石に着想を得たという外観は随所に多面的なカッティングを施し、ラグジュアリーな雰囲気を付与しつつ、操作性も大幅に改善した。

ポータブルの域を完全に超えたクリエイションと、サウンドは必ずや、オーディオ・ファンを魅了する。

【視認性と操作性を高めたディスプレイ】

▲ディスプレイはAK380から1インチ拡大させ、5インチに。アートワークや文字情報を見やすくするとともに、各種操作もスムーズに行える。

【ジュエリーを想起させるカッティング】

▲デザインモチーフは、原石を多面的にカットし、美しく研磨した宝石。随所に施されたカッティングは、ハイエンドモデルにふさわしい上質な意匠である。

 

『A&ultima SP1000』のユーザビリティをチェック

【操作性とデザイン感度を高めたボリュームホイール】

▲これまで、音量調節用のホイールと電源ボタンは別体だったが、新たに採用された“マルチファンクションホイール”は、これらの要素を兼備。その意匠も上品だ。

【ケース収納時もmicroSDの出し入れが可能に】

▲電源ボタンを音量調節用ホイールに融合させたことで、microSDカードトレイは天面に移設。本体をケースに収納したままでも、カードの出し入れを行えるようになった。

【UIを一新し、操作がより分かりやすく】

▲ハードのみならず、UIのデザインも一新。メニューのレイヤーを可能な限り浅く、シンプルに設計したことで、直感的な操作を実現。目的の音源が探しやすいのも美点だ。

『A&ultima SP1000』のサウンドをチェック

【回路設計を見直し、高出力と低歪を実現】

▲新モデルでは、新たな回路設計を行っており、これにより高出力と低歪、高S/N比によるノイズ低減を実現。ポータブルとは思えない、ハイクラスなサウンドを享受できる。

【AK380を凌駕する圧巻のサウンド】


▲イヤホンにはAstell&Kernの『AK T8iE MkⅡ』(バランス)を使用し、数タイトルのハイレゾ音源で試聴。実感するのは、音の分離感で1音1音がはっきりと耳に届く。ショスタコーヴィチの、オーケストラの迫力をそのまま封じ込めたことで得られる高揚感にも驚かされたが、圧巻はマイケル・ジャクソンの豊かなサウンドメイクの再現力!

 

使い倒しインプレッション

空間表現、音の分離など、すべてに溜息が出るクオリティ

正直、最初に『A&ultima SP1000』を試聴した時は戸惑った。『KANN』を試聴してから、日が経っていなかったからだ。

前回の本コーナーでも書いたが、『KANN』が奏でるパワフルなサウンドや音の広がりは確かに圧巻だ。しかし、コンセプトの違いや、そこから発生する設計の違いは、音質に明らかな違いをもたらすのだと、改めて実感させられたのも事実。

ファースト・インプレッションで使用したイヤホンは、オーディオテクニカの『ATH-LS400』。ハイレゾ対応モデルではないものの、『AK380』と比較してもクオリティの差は歴然だ。

それから間を置かず、再度『A&ultima SP1000』を試聴する機会を得た。上述したように、使用したのはAstell&Kernの『AK T8iE MkⅡ』。付属のバランスケーブルを用いて試聴したが、そのサウンドはただただ驚愕。すべての音源に共通して感じられるのは音の分離の良さで、いずれのパートもいずれの音も、しっかりと聴き取り、感じることができる。これも、D/A変換の肝となるDACに、最新の「VERITA AK4497EQ」を採用し、しかも左右独立して1基ずつ搭載していることが大きいのだろう。

さらに、クラシックやジャズ、ライブ音源は、豊かな空間表現にハっとさせられる。ハイハットの音などは、その余韻にも聴き惚れてしまうほどだ。そして、何よりも印象的だったのは、ロックやテクノなどの音源。シャープでアタックの強いサウンドは、今まで以上に音楽にのめり込ませてくれる。

一方の外装だが、ステンレススチールを採用した筐体は、約387.9gと超ヘビー級。携行するにはいささか難儀だが、制振性を考慮すれば当然の仕様だろう。むしろ、宝石をイメージしたという新たなデザインは“高級ポータブル”にふさわしい、エレガントかつソリッドな佇まいで、毎度のことながら、同社の明確なコンセプトに感心させられる。

『AK380』の後継だけに、価格は約50万円とこちらもヘビー級。「気になる方は、ぜひ!」なんておいそれとは言えない価格だが、それでも音楽好きなら一瞬でも購入を検討したくなるのもまた、事実だ。

 

結論

【ここが○】
・ハイレゾ・ポータブルの中でも群を抜く表現力。
・大画面と物理キーの見直しで操作性が大幅に向上。
・付属のケースも価格に見合ったクオリティ。

【ここが×】
・鋭利な筐体デザインと重さで携行はためらってしまう…。

いつ、どこでも、再生した瞬間から極上のオーディオルームが現れる

据え置き型のDACとしても利用できるので、自宅のオーディオとして導入し、必要とあれば外に持ち出す……といった感覚で購入したい。オーディオ・ファンはもちろん、ハイレゾ・ワールドにどっぷり人は購入を検討すべき。価格以上の価値があるサウンドだ。


▲Ultimate(=究極)を意味するプロダクト名にふさわしく、本体は木製のパッケージに収納されるスペシャルな仕様。


▲1873年創業というスウェーデンのファクトリー・ブランド「タルンショ ファルベーリ」のレザーケースを同梱。

 

文/竹石祐三 撮影/江藤義典

※『デジモノステーション』2017年9月号より抜粋

関連サイト

『A&ultima SP1000』製品紹介ページ
Astell&Kern(iriver)公式サイト