空間を歩き回れるスマホVR端末『LINK』、ソフト次第で大化けの予感!?

「コレってどうなの?」がわかる。気になるデジタルグッズの深掘りレビュー。今回は、HTC NIPPONのモバイルVR端末『LINK』を使い倒します!

HTC NIPPON
LINK
実勢価格:取材時未定


Front


Side


Set

【SPEC】H116.61×W197.69×D167.33mm 重量:約560g(ケーブル含む)※サイズ、重量いずれもヘッドマウントディスプレイの値 対応機種:HTC U11 視野角:約110度 ヘッドマウントディスプレイ搭載バッテリー:約2800mAh ディスプレイ:約3.6インチ AMOLED×2(各1080×1200ピクセル) 外部接続:USB(Type-C)Yケーブル、3.5mmオーディオジャック 同梱品:ヘッドマウントディスプレイ、ステレオカメラ、コントローラー(ストラップ付き)×2台、マジックバンドテープ、HMD用LEDマーカー、ステレオカメラ用ホルダー、イヤホン

 

『LINK』ってどんなモバイルVR端末?

従来のスマホVRでは不可能だった空間での自由度を実現

VRを実現する技術として、現在主流となっているのがヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)。『Oculus Rift』『PlayStation VR』、そして『HTC Vive(ヴァイヴ)』が一気に発売した2016年は、“VR元年”として世界中の話題をさらった。これらのHMDには、PCやPS4といった高性能なマシンが必須だったが、今回レビューするHTCの『LINK』に必要なのは『HTC U11』のスマートフォン1台だけである。

スマートフォンでVRというと、ヘッドセットにスマホを横向きに挿すビジュアルが浮かぶ方も多いだろう。この方式でも空間を見渡すことはできるが、自分がどこにいるのか、立っているのか座っているのかを検知することはできなかった。

この『LINK』は、スマホがHMDから独立し、頭部のマーカーと両手に持つコントローラが人間の動きを把握。前後、左右、上下に加えそれぞれ回転も検知する「6DoF」に対応し、「空間内を自由に動き回る」ことを実現した画期的なVR端末となっている。

【スナドラ835搭載のフラグシップモデル】

▲端末下部の両側面を“にぎる”ことで、スリープ状態から一瞬でカメラなどを起動する「エッジ・センス」が目玉。利用者の耳に合わせ自動チューニングされる「U Sonic」など、一歩先のスマホ体験ができる注目のモデルだ。auとソフトバンクで発売。

 

『LINK』のハードウェアをチェック

【センサーとなるステレオカメラは高さが重要】

▲ステレオカメラをコンセントにつないだら、三脚を伸ばして約170cmの高さに固定。三脚がない場合は家具や家電の上に。

【持った感触、トリガーの押し心地はGood!】

▲コントローラ2個の電源を投入。ピンク色に光る先端がマーカーの役割を果たす。ボタンのほかに丸い方向キーがついている。

【頭部の取り付けを行えばVR空間まであと少し】

▲ハードのみならず、UIのデザインも一新。メニューのレイヤーを可能な限り浅く、シンプルに設計したことで、直感的な操作を実現。目的の音源が探しやすいのも美点だ。

【スマホとつないで終了! とても簡単でした】

▲最後にHTC U11本体と接続。関連付けされた「MatrixVR HOME」が起動するので、HMDを装着していざVR空間への旅に出よう。

『LINK』のソフトウェアをチェック

【全方位にVR空間広がる! まずは設定から】

▲宇宙船のなかのような空間が広がり一気に感動。コントローラーを腰のあたりに持ち、中心軸のアジャストをしよう。

【腕を伸ばしてトリガーを引き、いざゲーム!】

▲空間の壁面にメニューが表示される。画面内のレーザーに合わせて手を動かし、ゲーム「Fracture」を起動してみる。

【全方向動き回るボールを上手にヒット!!!】

▲バットになったコントローラで、積み上げられたブロックをスイングする「Fracture」。ボスキャラもいてアツい。※ゲーム画面はイメージです。※「Fracture」および「Arcade Saga」は、HTC Corporationの商標です。

 

使い倒しインプレッション

ハード面では文句なしのデキ。命運分けるはソフトウェア

正直、日本では最近あまり元気のなかったHTCだが、今夏リリースされたスマートフォン『HTC U11』は、HTCが現在持ちうる技術をすべて詰め込んだようなわくわくするモデルとなった。その性能の高さは、ついにはVR端末『LINK』を動かすようにまでなる。

『LINK』を手に取った最初の感想は“軽いな”だった。『HTC Vive』とほぼ同じ重さと携帯性、メガネをしたままでもOKなHMDの装着感はいたってよい。接続方法もシンプルで、初めてVRをする方も一度つなげば忘れないだろう。

どの端末でもそうだが、初めてそのVR空間を訪れた瞬間は鳥肌モノの感動がある。視野角110度で没入度は上々。部屋を歩くことも、しゃがむこともでき、PC向けのハイスペックVRに一切遜色ないどころか、“親”であるスマホをポケットに入れられるというメリットは大きい。

一方、スマートフォンというデメリットがないわけでもない。筆者はジーンズのポケットにスマホを入れて試遊したが、『HTC U11』の演算処理の高さからかだいぶスマホ本体が熱を持っていた。また、OSやアプリの通知がVRに割り込んでくることもあり、都度復帰するというアクションに若干のストレスは感じた。

しかし、それを補って余るほど“スマホで本格VR”の可能性は伝わってきた。今回『Fracture』というゲームをプレイしたが、処理の遅れや検知のズレはむしろPC向けVRよりも低く感じたし、HMDやコントローラのフィット感は老若男女感じることができるハズだ。

今後最大のポイントとなるのは、『LINK』対応のソフトがどのくらい出るかという一点だろう。『LINK』は日本のみでの発売がアナウンスされているが、それが吉と出るか凶と出るかはソフトに左右されるところが大きい。Steamのような玉石混交のプラットフォームではなく、日本人に向けた、良質な“きちんと開発された”タイトルの誕生を心待ちにしたい。

ARを一気に身近なものにした『ポケモンGO』から1年経ち、いよいよVRが存在感を増している。auやソフトバンクで機種変を考えている方は、『HTC U11』の能力の高さを感じ、『LINK』という未来に触れてみてはいかがだろう。

 

結論

【ここが○】
・ハイエンドPCが必要だった“純VR”をスマホ1台で実現したHTCの技術力に拍手。
・VR初心者でも簡単にできるセッティング。接続後のストレスもPC向けより少ない。
・コントローラの扱いやすさはピカイチ。微妙な座標合わせもかなり的確に行える。

【ここが×】
・コンテンツのラインナップが足りない。ベータビデオ化してしまう恐れも…?

コアユーザー仕様のVRが一気に身近に コンテンツ次第では大化けの可能性も

PC向けVR端末に遜色ないクオリティ&レスポンスを持ち、それでいて母屋となるスマホをポケットにINできる手軽さは、“VR=プロゲーマー向け”という現状を打ち破るポテンシャル十分。『HTC U11』とともに持ち歩き、友だちとわいわい遊ぶというプレイスタイルにも期待できる。


▲『HTC U11』は『攻殻機動隊 ARISE』とコラボ中。当然攻殻コンテンツにも期待がかかる…というか絶対に出してください!!

 

文/森谷穂七 撮影/下城英悟(GREEN HOUSE)

※『デジモノステーション』2017年9月号より抜粋

関連サイト

『LINK』製品紹介ページ
HTC公式サイト