フィット感は?音質は?ランナー目線で『Powerbeats3 Wireless』の実力を検証!

南井正弘の「RUNNER’S DIGIHIGH」

現在所有するユニーカーは約1000足! 世界中のマラソンレースに出場する南井正弘が、ランナー目線で綴るデジタルの”グッとくる話”。

南井正弘の「RUNNER’S DIGIHIGH」連載一覧ページ

 

あの“Beats”の新ワイヤレスイヤホンの実力をガチ検証!

Beats by Dr.Dre(以下Beats)といえば、その高音質に加えて、クールなデザインでも人気のヘッドホンブランドである。以前このコラムでも書いたがアルファベットの“b”をモチーフにしたブランドロゴは、自動車でいえばメルセデスベンツのスリーポインテッドスターや、フェラーリの“跳ね馬”のようなステータスシンボルであるといっても過言ではない。筆者もレッドの『Powerbeats2 Wireless』をここ2年ほど愛用しているが、周囲の人々から「カッコいいですね!?」とか「いいなぁ、自分もBeats欲しいです!」と言われることが多かった。

このように自分の持っているモノの性能だけでなく、デザインの良さを評価されることは嬉しいもので、そんなこともあって『Powerbeats2 Wireless』は、いくつか所有するワイヤレスイヤホンのなかでもメインに使用される立場をキープし続けた。

しかしながら昨年末に登場したアップルの『AirPods』は、耳に装着すれば自動で電源が入り、iPhoneに接続されるなど、その簡単かつ未来感覚あふれる使用方法で筆者を魅了し、日常生活で音楽を聴いたり、インタビューの音声を原稿に起こす際には、『Powerbeats2 Wireless』ではなく『AirPods』を使うようになった。だが、そんな『AirPods』もランニングに使用するには躊躇した。フィット感が高いといえども、やはり走行中に耳から滑り落ちそうになる感じがしたからだ。サードパーティ製のシリコンラバー製イヤピースも実際にトライしたが、走り始めはよいものの、汗をかいた後はやはり外耳部分から徐々にズレ始めているのを感じ、脱落の心配があったので、途中で付けて走ることは止めたのである。

「『AirPods』の機能性とスポーツにも安心して使用できるフィット性を両立したイヤホンがあれば……」と常々思っていたが、知り合いから「『AirPods』よりも先に発売されていた『Powerbeats3 Wireless』があるじゃないですか!」と薦められた。灯台下暗しとはまさにこのこと。このモデルは前述の『Powerbeats2 Wireless』の後継モデルであり、デザインも似ているので、新たに購入するモデルにリストアップしていなかったが、考えてみれば『AirPods』と同様に、アップルのW1チップを搭載しているから、その機能性の高さや利便性は同様のはずだ。実際に入手し、電源を入れるとiPhoneに写真入りの『Powerbeats3 Wireless』のアイコンが映し出され、「接続」をタップすればリンクが完了。2回目以降はこの作業も無しに電源を入れるだけで接続は完了する。これなら機械オンチの人も安心して使用することができるはずだ。



Beats by Dr. Dre
Powerbeats3 Wireless
実勢価格:2万1384円

走り始めると、使用者の耳の穴の形状に合わせて4つのサイズが用意されたイヤピース、そしてイヤフックのおかげで比類なきフィット性の高さを発揮してくれた。ランの終盤で汗をたっぷりかいた状態でも、フィット感の低下はみられない。また、戸山公園のトレイルっぽいところも走ったが、激しい上下動にもしっかりと耳にフィットして脱落の心配は全くなかった。同じくW1チップを搭載した『beatsX』も魅力的だと思ったが、やはりランニングを始めとしたアクティビティに使用するには、個人的にはイヤフックが付いたモデルのほうが安心だと思う。


▲前作のWirelessに続き採用されたイヤフック。使用者の耳の穴の形状に合わせて4つのサイズが用意されたイヤピースとのコンビネーションで優れたフィット感を発揮し、ランニングを始めとしたスポーツ時でも脱落の心配はない。

また、『Powerbeats3 Wireless』は耐汗/防沫仕様であり、夏のランニングで大量の汗をかいた場合や突然の夕立に遭遇しても心配ない。肝心の音質はデュアルドライバ音響の採用で、ダイナミックな高音からパワフルな低音まで堅牢で幅広いサウンドであり、個人的によく聴くポップスやロック、EDMといったジャンルの曲との相性もいいと思う。新しくなったRemoteTalkはケーブルに内蔵。Siriとの完全互換性に加え、改良されたボタンにより、音量の調整、再生トラックの切り替え、電話への応答をより軽快に操作できる。また、曲の選択は『Apple Watch』の画面上でアルバムのアイコンを視覚的に確認しながらも可能だ。そして気になる充電の持ち時間は、『Powerbeats2 Wireless』の最大6時間から12時間へと大幅に向上。Fast Fuel搭載により5分間の充電で1時間の使用が可能な急速充電にも対応。これなら欧米へのロングフライトでも途中で電池が切れるという心配も少ないだろう。


▲『beatsX』の充電端子はライトニングだが、『Powerbeats3 Wireless』は前作に続きMICRO USBとなった。iPhone派はライトニングの採用を望むだろうが、アンドロイド派のことを考えると、これはこれで正解だと思う。

そして『Powerbeats3 Wireless』の前作からの大きな機能的改善だと思うのが、動画を見ているときに映像と音声のズレがほとんどないところ。Bluetoothを利用したワイヤレスタイプのイヤホンは、動画を見ているときに転送速度の問題で音と画像のタイミングがズレルことがあり、Youtubeなどの動画を見るときには正直向いていないと思っていた。しかしながらこのモデルは許容範囲であり、これなら動画を見るときにも充分使える。『Powerbeats3 Wireless』は音楽を聴いたり、動画を見たりといった日常生活からランニングを始めとしたスポーツシーンまで幅広く使える高機能イヤホンであり、筆者にとってのメインのイヤホンとなりそうだ。


▲付属のシリコンケース。本体に入れられた切り込み部分から出し入れを行うシンプルな構造で想像以上に使い勝手がよい。

文/南井正弘

南井正弘(みないまさひろ):フリーライター、ランニングポータルサイト『Runners Pulse』編集長。某スポーツシューズブランドでプロダクト担当を10年務める。かつて、伝説的クイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)のスニーカー部門チャンピオンにも輝く。ほぼ毎日のランを欠かさないファンランナー。

『デジモノステーション』2017年10月号より抜粋