水平垂直ラインの家電は、なぜ人に安心感を与えるのか【家電デザインを考える】

近年、デザインのいい生活家電が増えている。とはいえ、人はどうしてそれらに対し、“良いデザイン”だと感じるのだろうか? ここではいわゆる“デザインのいい”家電を11種類の定番デザインパターンに分類し、それに当てはまる代表的な家電を複数ピックアップ。プロダクトデザインに深く精通するセメントプロデュースデザインの金谷勉氏に、なぜその『デザインパターン』に人は魅了され、“良いデザイン”と感じてしまうのかを教えてもらった。

水平垂直のラインの組み合わせ

水平垂直なラインを強調している生活家電は美しさと同時に、安心感を与えるものが多い。派手さはないがデザインがいいと印象を持ってしまう理由について考える。

一般的な部屋と同じ要素。調和することの安心感

和室でも洋室でも同じですが、一般的な空間はほとんど水平と垂直のラインで構成されていると言っても過言ではありません。ですから、本体のフォルム自体が水平や垂直のラインで形成されていたり、車ではありませんが、印象的な水平垂直のキャラクターラインなどを持つような家電は、その空間の中に置いた時、当然違和感なく調和するのです。

そもそも生活家電は直方体に近いものが、他の形状と比べると圧倒的に多いと思います。元々はプラスチックなどの素材を、複雑な形状にするのが技術的に難しかった時代もありましたし、そう言った見慣れたものに対して、人は当然安心感を覚えますから、わざわざ複雑な形状のものばかり受け入れようとしないのは自然な潮流だと思います。

とはいえ、完全な水平垂直が集まったフォルムに対して、人は少し冷たい印象を持つのも事実。そこで効果的に使われているのが角Rです。角に丸みを与えることで、毎日長時間一緒にいる生活家電に対して、柔らかな印象を与えたり、本体をより小さく見せる効果があります。また、この角Rの幅が揃っていることも、美しさや空間との調和をデザイン的に崩さないポイントだとも考えます。

HUMIDIFIER

Stadler Form
OSKAR エバポレーター リトル ブロンズ
実勢価格:1万6200円
40%・45%・50%・55%の希望湿度に設定で、自動で電源ON/OFFを行い、部屋の湿度を調整する。フレグランスホルダーにお気に入りのアロマオイルをたらせば、部屋全体に香りが広がり、加湿をしながら香りも楽しめる。

 

AIR PURIFIER

バルミューダ
AirEngine EJT-1100SD
実勢価格:4万9770円
吸引用と送風用の2つのファンを搭載したWファン構造。中央のターボファンによりウイルスサイズの微粒子はもちろん、空気中を舞うホコリや花粉など大きな粒子を吸引し、最大時毎分1ℓのキレイな空気を送り出す。

 

DEHUMIDIFIER

Cado
除湿機 DH-C7000
実勢価格:5万3460円
「除湿モード」「衣類乾燥モード」使用時に、除菌・消臭剤の『ピーズガード』を噴霧することで、部屋干し臭の原因菌を分解・除去。アルミハンドルとキャスター付きで、用途に合わせて簡単に家中を移動できる。

 

AIR CONDITIONER

三菱電機
霧ヶ峰 エアコンFZシリーズ
実勢価格:28万7020円(18畳)
360°センシングの“ムーブアイ極”で、部屋だけでなく、手足足先の温度変化を0.1℃単位で感知する。左右独立駆動の2つのファンが、大人も子供もひとりひとりの温度差や変化を見分け、2つの異なる風を同時に送り出す。

 

REFRIGERATOR

AQUA
2ドア サイド・バイ・サイド 冷凍冷蔵庫 パノラマ・オープン AQR-SBS45F
実勢価格:15万9840円
左サイドに冷凍室、右サイドに冷蔵室を配置した2ドア冷凍冷蔵庫。庫内を一目で見渡せるので、食材を探しやすい。また、庫内の奥行は約56cmと薄型設計なので、最上段の奥まで手が届きやすい。

 

WASHING MACHINE

パナソニック
ななめドラム洗濯機 NA-VG1100L
実勢価格:18万9760円
「約40℃においスッキリコース」と「約30℃おしゃれ着コース」などを搭載。ドラム槽の投入口径は約420mmと広く、位置も高めに設計。槽をななめに配置することで、節水性や衣類も出し入れもしやすく使いやすさにも定評あり。

金谷勉/CEMENT PRODUCE DESIGN 代表取締役社長
1999年に同社設立後、PARCOの広告デザイン、フランフランとの商品企画開発、UNIQLO「企業コラボレーションTシャツ」のディレクションなど幅広くデザインをプロデュース。現在は流通も見据えた形での各地の製造業や工芸業界との協業事業も進める。2013年サバエミミカキでグッドデザイン賞受賞。京都精華大学デザイン学部プロダクトデザイン学科や、金沢美術工芸大学美術工芸学部工芸学科でも講師を務める。

文/滝田勝紀、鳥居優美 撮影/下城英悟(GREEN HOUSE)

※『デジモノステーション』2017年10月号より抜粋