世界に誇るカスタムマシンを生み出す
46Worksのガレージハウス

ガレージハウスを構えるなら、景色や空気の良い場所で、できれば山小屋風のデザインがいい。1階のガレージスペースには複数のバイクやクルマが入れられて……という男の夢を全て実現しているのが46Worksのファクトリー。オーナーである中嶋さんのライフスタイルを覗いてみた。

昔、憧れていた場所を自分の仕事場に

「リトモ・セレーノというBMWやモトグッツィなど、1970~90年代のヨーロッパ車を中心に扱うショップをやっていたのですが、店の規模が大きくなるに連れ、経営者としての仕事が増えて、僕自身がバイクと向き合う時間が取れなくなっていたんです。環境の良い場所で1台ずつマシンを仕上げるような仕事がしたいと考え、どこかいいところはないかと探し始めたのが46Worksを立ち上げるきっかけですね」と話すのはオーナーの中嶋志朗さん。

多くのガレージハウスオーナーと同じように、まずは物件探しから始めたというが、なかなか適した場所は見つからなかった。そこで頭に浮かんだのが、高校生の頃に雑誌で見かけたアルファロメオを扱う専門ショップが八ヶ岳山麓にガレージをオープンさせたという記事。自身もアルファロメオを購入し、そのショップに出入りしていた関係で尋ねてみたところ、現在は使っていないとのことだった。

「ガレージとして使うには、入り口に段差があるとバイクやクルマを入れられないので、普通の民家だと大幅な改築が必要だったりしますが、ここは元からクルマが入る設計なので問題ない。かつて雑誌で見て憧れていた場所だったこともあって、この物件に決めました」

立地的にも年間を通じて降雨量が国内で最も少なく、雪が降っても南向き斜面ですぐに溶けるという環境はマシンのテスト走行などを行うにも最適。とはいえ、築25年が経過した家はそれなりに手を入れる必要があった。それからは、休日ごとに現地に通い、自らの手でリノベーションを進めたという。

「1階のガレージ部分はパーツやスピーカーを置くための棚や、事務所スペースの壁を作る程度でしたが、2階のリビングスペースは大きく手を入れました。キッチンを移設して断熱材を入れて壁を貼り直したり。次はウッドデッキを作りたいと思っています」

カスタムマシン作りで培った金属加工技術などを活かし、テーブルやソファ、ライトスタンドなども自作。細かい部分も中嶋さんのセンスで仕上げられている。約1年半かけてリノベーションした後、2014年から家族で移住したというが、現在も壁を貼り直している部分があるなど作業は進行中だ。

「今は工具や金属素材なども通販で手に入るし、アルマイト屋さんはここから5分のところに見つけたので、不便は感じていない」という中嶋さん。より集中してマシン作りに向き合える場所を作り上げたことで、さらに独創的なカスタムが生み出され、国内外のアワードを席巻している。最高の環境でマシンと向き合い、最高の仕事をする。まさに理想のガレージライフといえるだろう。


46Works
中嶋志朗さん
2001年に都内でモーターサイクルショップ「リトモ・セレーノ」を設立。空冷2気筒のBMWをカフェレーサーにカスタムするスタイルを世界的に広めたことでも知られる。2014年より八ヶ岳南麓に「46Works/ヨンロク・ワークス」をオープン。バイクだけでなくクルマのパーツ製作やオリジナル・ファニチャーの制作も手掛ける。

 

マシンと真摯に向き合うために創出された空間

カスタムマシン作りのために自ら仕上げた空間でバイクと向き合う。ここで生み出されたマシンは国内外で多くのアワードを受賞している。

 

全てはカスタムマシン作りのために

事務所になっているスペースは壁を自作。スピーカーやパーツ、工具などのラックも自ら手がけているだけに仕上げが美しい。バイクを乗せるための作業台や溶接台なども追加している。

スピーカーラックもオリジナル

 

家族で暮らすリビングスペースも手作り


大きく改築したという2階はキッチンを移設したことで太陽光が入りやすいように。床や壁も貼り直し、壁際の本棚なども全て中嶋さんが製作したものだ。光が差し込むスペースは見るからに居心地が良さそう。

 

断熱加工なども
全て自分の手で行う

元は板が剥き出しだった壁を貼り、断熱材の入っていなかった天井にも入れ直した。薪ストーブを設置し、ピアノは実家にあったという数十年前のものを調律して使っているとか。ロフトも改築し、お客さんが来ても泊まれるように。


オリジナルのファニチャーも

金属製の骨組みから製作したというソファーはテーブルとのバランスも考え、座り心地が良い高さに設定。肘掛けなどの作りもしっかりしている。

回転式の事務用椅子をカスタムした作業用チェア。高さ調整が可能な機構は残しながら、天板と脚を作り直し、ガレージに似合う仕上がりに。
スチール製の脚にホワイトオーク無垢材の天板(オイル仕上げ)を使用したテーブルはオーダー製作することも可能(価格:10万円)だ。

 

ファクトリーで生み出されるカスタムマシン

MotorCycles

多くのアワードを獲得している46Works製のカスタムマシン

BMW / R75/5
少し旧いBMWのバイクはシルエットが野暮ったい印象があるが、そのイメージを見事に払拭。オリジナルのマフラーとFCRキャブレターでレスポンスも別物に仕上がっている。ヒールプレートを兼ねたマフラーステーがカッコいい。写真は中嶋さんのレース用マシンで、これでクラシックレースにも参戦し好成績(8度の優勝を獲得)を収めている。

 

KTM / RC8
KTMジャパンの依頼で製作した車両。フルカウルのスーパースポーツマシンが、カフェにも似合うスタイルにイメチェンされている。乗ってみて好印象だったライディングポジションはそのままで、ベースよりも軽量とされるなど走行性能は犠牲にされていない。ベース車の良いところを見極め、そこを伸ばすのが中嶋さんのスタイル。

 

MotoGuzzi / Lemans1000
BMWと同じく空冷2気筒で横回転のクランクを使用するモトグッツィも46Worksが得意とする車種。ノーマルの重い印象を拭い去り、水平基調に仕上げられたデザインは1970年代のバイクらしいシンプルながら軽快なもの。リラックスして乗れるようにライディングポジションはアップライトで、シートも快適性を重視している。

 

Cars

クラシックカーのワンオフパーツも製作している

新設された屋外の屋根付きスペースに並ぶ1976年式の『アルフェッタGT』(手前)と1972年式の『ジュリアスーパー』はどちらも中嶋さんの所有車。このマシンもレースで走らせている。オイルタンクやバッテリーケース、そしてチタン製のエキゾーストパイプはワンオフ。4輪車のこうしたパーツ製作も請け負っているので、気になる人はコンタクトを。