建築のプロに聞いた
狭小住宅でもガレージハウスを実現するポイント

ガレージハウスに憧れていても、都市部の限られた広さの土地では実現は難しい……そう考えがちだが、プロの手にかかれば狭小住宅でもガレージハウスを建てることは可能。そのためのポイントや心構えを聞いてみた。


志田茂建築設計事務所代表の志田茂さん。「シンプルな暮しと家」を実現する「LWH(ライトウェイトハウス)」を提唱し、都内の狭小住宅でも複数のガレージハウスを手がけている一級建築士。
http://s-coco.net

Case 1
バイクと暮らしたいという夢を実現するために……

ミニマムでも豊かな暮らしを
実現するためには

ガレージを持つためには戸建てであることは必須だが、通勤のことを考えるとそれほど郊外には住みたくない。となると、予算的に限られたスペースにならざるを得ない……というのがガレージライフに憧れる多くの人の実情ではないだろうか。狭いスペースではガレージの設置は諦めざるを得ないと考えがちだが、志田さんは「狭小住宅でもガレージハウスは可能」と太鼓判を押す。

写真のバイクガレージハウスは15坪という限られた土地だったが、1階を全て土間としてバイクのためのスペースとダイニングキッチンを兼ねる構造とすることで、狭さを感じない空間に仕立てている。

「もちろん、ガレージにスペースを取られる分、何かを我慢する必要はあります。その優先順位を付けることが、ガレージハウスを手にする第一歩だと思います」と志田さんは語る。この物件に限らず、ガレージハウスのオーナーは物の少ないシンプルな生活を実践している人が多いとのこと。「自分の好みがはっきりしている方が多いので、必要なものとそうでないものの優先順位も付けやすいのかもしれません」という志田さんの言葉の通り、必要なものを見極める思考を持つことが、ガレージハウスを実現するためのはじめの一歩なのかもしれない。

志田さんの提案する「LWH」をベースに建てられたガレージハウス。1階は全て土間としてバイクを収納し、整備するスペースとダイニングキッチンを一体化。2階はリビング奥のロフトを就寝スペースとしている。

 

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Case 2
間口の狭い家でもクルマを収納できるように……

駐めるスペースだけでなく
出入庫の軌跡も考えて設計

間口がわずか3mという文字通りの狭小住宅だが、中には小さいサイズながらクルマが収納されている。そんな事例がこの物件。「オーナーさんは年代物の『ミニ』をお持ちで、風雨にさらさずに一緒に暮らしたいとのことでした」。そのためには居住スペースが限られてもいいとのことだったが、それでもクルマがきちんと出入りでき、快適に住めるようにするのは一筋縄ではなかったという。

「開口部を広くする必要があったので、木造ではなく鉄骨造としています。また、クルマが出入りする際の軌跡も考えて、折りたたみ可能な木造のスライドドアを採用しました」と語るように、クルマを収納する場合は車庫入れの際の通り道も想定する必要がある。「このオーナーさんの場合、小さなクルマだったので何とかなりましたが、接している道路の実際の幅はできれば4mあったほうがいい」と志田さんも言葉を続ける。限られたスペースでも広さを感じられるように天井は可能な範囲で高くしたという。

「家は住む人の見栄を反映するものになりがちですが、大きさや広さではなく自分たちのしたい暮らしを実現できているかが重要」という言葉の通り、この家からはオーナーのクルマに対する愛が感じられる。

こんな間口の狭い家でもインナーガレージを実現することは可能。ただクルマが収納できるだけでなく、出入庫の際の切り返しなども想定してドアを畳める仕様とした。数の多い本を収納するため本棚も作り付けに。

 

ガレージハウスを建てる前の心構え

・暮らしの中で大切にしたいものの優先順位を考える
・物を多く持たないシンプルな暮らしを
・ガレージへの導線も想定して物件選びを


Case 3
無理に屋内ガレージとしない場合も……

予算や立地条件に合わせて最適なソリューションを提供

立地やオーナーの必要とするものを実現するために、屋内ガレージを採用しない場合もあるという。こちらの物件の施主の希望はクルマやバイクを側に置くことと、都心に近い場所に住むこと。そのために選んだ土地は崖上に位置する18坪(斜面含む)ほどの場所だった。

「ご希望は屋内にクルマを入れることだったのですが、建ぺい率や予算の問題で難しいことがわかりました。何を優先するかをオーナーさんと相談した結果、クルマは家の前に置いて開閉式のカバーを付けるという形に落ち着きました」

その代わり、バイクは玄関ポーチに置けるようにしたという。クルマもバイクも雨ざらしにせず、敷地内に置けるかたちを探ることで、限られた予算とスペースでもオーナーの希望を叶えている。

今回、紹介している物件はどれも建物だけなら1400万円~1900万円程度の予算で建てられている。限られたスペースや予算でも、ガレージライフを手に入れることは十分に可能だ。「小さくても、その人が大事にしているものや価値観に基づいた家であれば満足感も高い。そのためには我々のような専門家の力をぜひ利用してもらいたいです。オーナーさんのイメージを形にするのが仕事ですから」と志田さんも話すように専門家はガレージライフの強い味方となってくれる。

屋内ガレージをご希望だったが、建ぺい率などの問題でクルマは開閉式のカバーで覆うかたちに。だが、自転車やバイクなどは屋根の下に置ける構造とした。崖上という立地を利用し、良好な眺望も実現している。

 

限られたスペースも広く感じさせるポイント

①仕切りをできるだけ少なく

限られたスペースを複数の部屋に分けてしまうと、必然的に1つずつは狭くなる。そこで志田さんは「できるだけ仕切りを少なくする」ことを提案。キッチンをガレージやリビングと分けないことで、スペースを広く使える。

②視線が透けるような内装

内装も、できるだけ視線や光が透過するように仕上げることで、狭さを感じないようにすることが可能。階段窓をガラスにしたり、屋内のウッドデッキを光が通るような素材にしたり。シンクの下も仕切りを設けないなどの工夫が。

③棚などは作り付けに

部屋に後から棚などを置くと、より狭さが感じられるもの。そこで本棚や食器棚などは壁面に作り付けとすることを志田さんは提案する。そうすることで、圧迫感も弱まり、より室内を広く感じさせることができるのだ。


ガレージが建てられないなら
コンテナタイプのガレージを
導入してみるのもアリ!

いくら狭小住宅でもガレージハウスが実現可能とはいっても、家を1軒建てるのはかかる予算も桁が大きい。そこまでは思い切れないという人は、コンテナタイプのガレージを設置してみてはいかがだろうか?

バイク用品メーカーのデイトナが展開する「モーターサイクルガレージ」には手軽な『BASICシリーズ』と、よりクオリティの高い『BIKE LODGEシリーズ』が用意されている。バイク用なのでクルマを入れることはできないが、サイズ展開も豊富で、駐車場に満たないスペースでも設置が可能なものも。大きなものなら中で作業も可能なので、風雨や盗難からバイクを守るだけでなく、趣味のスペースとして仕立てられる。

 

デイトナ
モーターサイクルガレージ
BASICシリーズ

価格:27万円~

省スペース設計で、高いセキュリティ性を備え、バイクを風雨からはもちろん盗難からも守ってくれる。サイズは16種類が用意されており、大きなものならバイク2台も収納可能。スロープや電源、通気用の窓などオプションも豊富にラインナップされ、ヘルメットや工具などを置く棚も設置できる。

 

デイトナ
モーターサイクルガレージ
BIKE LODGE シリーズ

価格:50万円~

より高級感がある内外装で、バイクとともに暮らすガレージに仕立てやすいのがこちら。開閉式の窓を標準装備するなど快適性も高く、シャッターも開閉音が静かなアルミ製で、夜間や早朝の出入りで音に気を遣うこともない。カラーも4色から選べ、サイズは4種類が揃う。