俺は音声AIになりたい…。スマートスピーカー『WAVE』に見る音声インターフェイス未来【吉田尚記:家電アナ観察記+】

ニッポン放送 吉田尚記の家電アナ観察記+(プラス)

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次なる主役は〝音声AI〟
ゆるく繋がる共有のデバイス

家電を愛してやまないラジオアナウンサー・吉田尚記が、人目もはばからず家電に向かって話し始めた。これはおクスリが必要な事案かと家電アナを観察していると、「LINEの音声AI『Clova』を搭載したスマートスピーカー『WAVE』を操作してるんだ。〝クローバ〟と呼びかけて曲名やアーティスト名を言えば、ハンズフリーで楽曲再生してくれる。天気や時間の確認、アラームのセットやスマホとの設定もクローバに話しかけて行なうんだ」と試しにタイマーをかけてみせ、治療の必要はないことを強調。

今月のZOOM! 観察ガジェット

日本のスマートスピーカー界の先陣を切ったのは“LINE”

LINE
WAVE
2017年秋発売予定 価格:1万5000円
LINEが手掛けたスマートスピーカー。搭載されたクラウドAIプラットホーム「Clova」が、「音楽を再生して」や「今日の天気は?」といった音声に反応して応える。

「曲の音量が大きいとこちらも大きな声で話しかける必要があるので、そこは改善してほしいところ。〝クローバ、タイマー止めて〟」と、指示を無言で実行するクローバに家電アナは、「音声AIなのだから会話はもちろん、こういう何気ない動作の際にも何か返事をしてくれると人格を感じられて良いと思う。音楽再生にしても、例えばアニソンをかけてとお願いしたとき、音声インターネットであるClovaの現状の対応はGoogleでいうところの〝I’m feeling lucky〟と同じ、検索結果のトップ再生。つまり検索の5個目に候補があったとしてもそれはないに等しいんだ。そういう意味では会話のやり取りや選曲を含め、〝気が利いている〟ことがスマートスピーカーの大きな課題になると思う」と指摘する。


▲「ボリュームを上げて」と音声操作もできるが、本体上面にボリュームや再生ボタンも。

「スマホやPCのようなパーソナルなものと違い、その場にいる全員で共有するのがスマートスピーカー。話しかけた際の返答がトンチンカンなこともあるけれど、うちの娘は笑ってるし嫁さんも親近感が湧くようで家族には逆にウケている。特に娘は〝ノーパン〟と話しかけるとなぜかClovaが反応することを発見し、大喜び(笑)。Clovaはこれまでにない、ゆるく周りの人たちと共有したいというニーズにハマるパブリックなデバイスなんだ」とノーパン、いやClovaは家電アナ邸で受け入れられているようだ。


▲吉田アナが自腹購入した先行体験版。360°で聴ける無指向性スピーカーを搭載し、サイズは高さ201.05mm、底部直径139.84mm。

吉田尚記クローバ化計画
ラジオは次世代のOSだ!?

「9月上旬現在で実装されてはいないけど、ラジオをつけてとお願いすると〝その機能は準備中です〟と返されることから、アップデートでラジオが積まれるハズ。実はClovaに必要な人間味はラジオによって担保できるのではと考えていて、この先の時代、音声AIにはぜひ様々なラジオパーソナリティのライブラリを用意してほしい。例えばものごとの判断基準や音声を吉田尚記に合わせ、昼間は俺の音声で機械的に対応をしているんだけど夜のラジオ生放送の時間になると番組が再生されて、まるで人格が解放されるような……究極的には俺がClovaになりたいんだ!」と目を爛々と輝かせる家電アナ。やはりおクスリが必要なのだろうか?

夢を膨らませる一方、家電アナは「ネットはテキストベースの時代から動画の時代へと移行し、音声は映像よりも下に見られがちだったけど、VRからもわかるように映像は身体の自由を奪う〝置き換えメディア〟だよね。でも、本来は映像よりも自分の生活のほうが大切なはず。車の運転や仕事など、ながら作業を可能にする身体拡張を確保したメディアである音声は、必ずこれからの時代にマッチする。さらに言うと、それってずっと昔からラジオがやってきたことなんだよね」と話す。日々スケベ動画に拘束され自分の生活をないがしろにしてきた俺には、耳と下半身の痛い言葉だ。


▲アプリ『LINE Clova』をインストールすれば、スマホからの『WAVE』設定が可能。音楽機能は『LINE MUSIC』を使って再生される。

「だからこそ、スマートスピーカーが普及する近未来のOSにはラジオ的なノウハウが必要だと思うんだ。音声がパーソナルアシスタントになる時代、スマートスピーカーで何かを企んでいる方がいたらぜひ声をかけてください! わたくし20年間ラジオのことを考え続け、クラウドファンディングでBluetoothラジオ『Hint』を作った実績もございます!」とちゃっかり宣伝を挟みつつ次なる野望・自己の人工知能化へ向けて動き出す家電アナに、Clovaも心なしか震える声で「頑張ってください」と言ったとか言わないとか。この家電狂の兄ちゃんに人格乗っ取られないといいね……。


▲ラジオとスマートスピーカーのこれからを語りながら、自分が企画製作した次世代ラジオ『Hint』を並べてひっそりアピール!

吉田 尚記(よしだひさのり):人間を卒業しAIになろうと企み始めたニッポン放送の家電好きアナウンサー。アイドルやアニメ、落語に精通しているほか、実際にラジオを作ってしまうなど野望を具現化する能力にも長けている。

文/アメリカ・アマゾン(@America_Amazon

『デジモノステーション』2017年11月号より抜粋