デロンギ製品はなぜ長く愛されるのか。モノ作りの3大方法論【デロンギのデザイン哲学】

美しいルックスに目が行きがちなデロンギのキッチン家電だが、操作性や機能性なども緻密に考え込まれている。一見、シンプルだが、使い勝手が良く、長く愛用できるのはなぜか? その理由を本社の思想と日本市場に精通するマーケティング担当者に聞く。

毎日を少しベターにする機能と佇まいを追求

デロンギの家電製品は、一度使うと長く愛用されるモデルが多いことも特徴のひとつ。実際、プロの料理関係者などからも、「キッチン家電を10年、20年と使っている」という声が聞かれる。使い勝手がよく、耐久性に優れていることの証であるが、「ここにもデロンギの哲学が込められている」とデロンギ・ジャパンの宇佐美夕佳さんは話す。

「デロンギの製品は、実際に発売するまでに緻密な検証やテストを繰り返します。例えば、耐久性や操作性の面では、ハンドルや蓋などの形状が本当に使いやすいか、試作時から完成に至るまで各段階でテストを重ねます。デザインに関しても、各製造工程にデザイナーが立ち会い、形状やカラーがイメージしたものを再現できているか何度も確認します。こうした過程があるので、どの製品も実は製品化に至るまでかなりの時間を要しています。緻密な計算や検証を経て自信を持って送り出す製品だからこそ、多くの人から信頼をいただき、結果的に長く愛用してもえるのだと思います」

方法論1

【創業から一貫して継続している緻密な商品設計】
どの製品も、利用シーンの想定、デザインと機能のバランス、耐久性などの検証を重ねて、ようやく市場に送り出される。本社では各工程にデザイナーが顔を出すのも特徴的。考え抜かれた製品ゆえにロングセラーも多い。


▲本社工場にはデザイナーが常駐し、試作品を確認。


▲「スフォルナトゥット・クラシック コンベクションオーブン」は代表的なロングセラーモデル。

方法論2

【直感的に扱える機能と操作系へのこだわり】
どの製品も機能をベーシックなものに絞りつつ、利便性を高めるプラスαを組み込んでいる。ボタンや表示部分、機能名も直感的に理解できるよう配慮。複雑で多機能ではなく、毎日簡単に使いこなせることに注力している。

 
▲ダイヤルやメモリなどは、ひと目でわかるシンプルなデザイン。


▲開口部を広くとるなど、メンテナンス性も追求。

 

国や地域のニーズに合わせて柔軟に仕様を変更

「デロンギの製品は、グローバルで展開しているモデルが多いので、どの地域に住む人でも、直感的に操作できることにこだわっています。より多くの人の普遍的なニーズに応える機能を搭載し、ボタンや表示もできるだけシンプルにする。さらに機能名も独自性を出さずに、ストレートに理解できるものにしています。例えば、ドリップコーヒーメーカーに搭載する“アロマモード”は、コーヒーの香りをより引き出すための機能。これは世界中の人に素直に理解してもらえる名称だと思います」

デザインだけでなく機能や操作性の面でも明確なコンセプトに基づいて世界に展開する一方で、地域や国ごとのニーズにも柔軟に応えているところがデロンギの強さである。

「やはり国ごとに生活スタイルが異なり、同じ家電製品でも少しずつ利用方法が違ってきます。代表的な例を挙げると、ディスティンタコレクションの電気ケトルは、イタリアモデルでは容量が1.7Lですが、日本モデルは1Lです。これはお湯の利用頻度や家族構成、キッチンスペースなどを考慮して、変えているもの。やはりキッチン家電は日常的に使うものですから、ちょっとしたサイズ感や操作性で満足感は大きく変わります。私たちが目指すのは、イタリアらしさ、つまりデロンギのデザイン哲学“イタリアニティ”を核としながら、作り出された製品を通してお客様の生活に寄り添うこと。このコアがしっかりしているので、このような細かなローカライズを可能にできるのです」

美しいデザインの中に秘められた、使い勝手への飽くなきこだわり。愛用者が実感するデロンギの良さは、モノ作りに対する実直な姿勢から生まれているのだ。

方法論3

【ローカルなニーズを汲んだカスタマイズ】
デザインや製品コンセプトなどデロンギの世界観は統一しつつ、販売する地域や国ごとに機能やサイズを細かく変更。より生活に密着した製品を展開する。国によってカラーバリエーションを変える場合もあるという。


▲電気ケトルは、同じシリーズでも販売する国ごとに容量やサイズが微妙に異なる。


▲アクティブシリーズは、容量やサイズの面で日本向けの仕様にこだわった製品だ。

文/高橋 智

※『デジモノステーション』2017年11月号より抜粋