あなたのカメラ、見せてください No.1 ジェットダイスケ × ソニーFDR-AX55

え、ジェットさんの動画って一眼じゃなくてハンディカムで撮ってるんですか!?

一億総発信時代といわれる現代ですが、10年以上前からその先駆けとして活躍してきたビデオブロガーがジェットダイスケさん。ガジェット好きであれば誰もが知っているといえるほど、長らく数多くのデバイスの動画レビューを手がけてきた人物です。

近年はカメラレビューの動画が多く、数多のカメラを使いまくって良いところ・悪いところを赤裸々に語っていますが、そんなジェットダイスケさんが動画を撮るときにつかっている、純粋に道具として捉えているカメラはなんだろう? そんな疑問からインタビューしてみました。

ジェットダイスケ

ビデオブロガー/ビデオグラファー/フォトグラファー。大阪芸術大学に在学中の90年代半ばよりビデオアート系の映像作家として活動開始。1994年東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 コンテスト部門初代グランプリ入賞、2009年にはアルファブロガーアワード受賞するなど国内外にて受賞歴・上映歴がある。もとは自主制作映画の発表の場にと、インターネットでの動画配信に携わり始めて15年以上。それが半ばライフワークとなって現在に至る。ビデオブログのために考案した映像の編集技法「ジェットカット」を駆使し、独自視点でデジタルガジェットなど電子機器のレビュー動画を日々配信。なかでも最新デジカメ/ビデオカメラや、シンセサイザーのような鳴りもの系ガジェットを得意とする。日本で最初の動画レビュアーとして知られ、チャンネル創設以来YouTubeの発展に貢献。著書に「YouTubeで食べていく」がある。

 

2006年頃に愛用していたのはXacti

動画関連の会社やインターネットプロバイダなどに所属していたジェットダイスケさん。2000年代初頭から個人で動画配信を始めたと聞きましたが、本格的に取り組んだのはいつ頃からなのでしょうか。

ジェットダイスケポッドキャストという音声ラジオコンテンツを作れるサービスがあるじゃないですか。2005年に動画も扱えるビデオポッドキャストができるってことになって、 テキストブログと同じ感覚で動画を見られるようになったんですが、それからですね。

まあ最初は鳴かず飛ばずでしたが(笑)、2005年末にポッドキャスティングサイト Podcasting Juiceが映像配信もサポートすることになって、誘われたんですよね。

その当時のカメラ事情は、メモリカードに映像を記録する機種のほかにHDD内蔵型、miniDVテープ、DVD-Rなどに記録するタイプがありましたが、ジェットダイスケさんが手にしていたのはサンヨーのXacti! 当時の新しいモノ好きのハートをキャッチした小型軽量デジタルムービーカメラでした。

ジェットダイスケ:miniDVカメラは仕事でも使っていたし、ちょうど画質がSD(DVDクオリティ)からHDになるかならないかぐらいの時期だったのですが、まだHDのカメラがMacで使いにくかったんですね。 動画再生時にコーデックのインストールが必要だったし。

ネットだけで配信するならHD画質はいらないし、Xactiは最初からMP4で撮れたから編集もラク。YouTubeにも手軽にアップロードできたんです。

しかし時代の流れとともに、ブロードバンド回線が高速化。またテレビ放送の地デジ普及、ブルーレイビデオが再生できるPS3の登場などなど、世の中が高画質を求めていくようになります。

ジェットダイスケ:ぶっちゃけ最初は、映像が荒れていてもいいからXactiを選んだのですが、次第に映像は綺麗じゃないといけないとなって。カメラの世界もiPhone 4から変わった気がします。2010年のiPhone 4で720p(HD)、2011年のiPhone 4sで1080p(フルHD)の動画が撮れるようになりましたもん。

当時のMacbook Airでも、短いHD動画は編集できましたし、カナダからHDの動画配信とかもやってみましたね。

一眼カメラで撮りはじめたのはEOS Kiss X3から

2008年にはニコンからD90、キヤノンからEOS 5D MarkIIという、動画が撮れる一眼カメラが登場しました。しかしこのときはジェットダイスケさん、動かず。

ジェットダイスケ:ネット動画はテレビなどとは違う文化だから、画質関係ないし、安くてもいいやと思ってたんです。だからD90もEOS 5D MarkIIも高いな、と感じて

でもEOS Kiss X3が登場して、コレなら買っていいかなと。だってAPS-Cサイズセンサーを積んでいて10万以下でしたから。それにファイルフォーマットがMOVだったんです(笑)。いくらソニーが動画できるよといっても、フォーマットがAVCHDだから響かなかった(笑)

スペックは決して高いものではありません。フルHDだと20fpsでしか撮影できなかったモデルです。でも当時のネット動画のフレームレートは10fpsや15fpsにしてしまうことも多かったとか。

ジェットダイスケ:フルHD 30pで撮っても再生側の環境が高価で、フルに見られる人が少なかった時代だったんです。

その後、EOS Kiss X4を導入。そしてEOS 60Dというミドルレンジの一眼カメラもゲット。

ジェットダイスケEOS 60Dも買うつもりはなかったんです。ボディだけで10万超えているなんて、なんて高いカメラだなーっと思って。でも年末にすごく安くなっていたので、買っちゃったんですね。今思うと、 なんて安い一眼だとは思うけど(笑)。そうしたらローアングル撮影とかしやすくて、あ、これは便利だぞと。

カワセミとの出会い、それは沼との出会い

EOS 60Dを使うようになってからは写真が面白くなってきたそうですが、ここでジェットダイスケさんに転機が訪れます。

ジェットダイスケ:EOS 60Dを持って公園にいったらカワセミがいたんです。綺麗だし可愛いし、レンズレビューの指標になるし撮っていたんですよ。でもある時、気がついちゃった。周囲にいるおじいちゃんカメラマンと僕のシャッターのタイミングが違うんです。僕はカワセミが綺麗に止まっているところを撮ってたんだけど、周囲はカワセミが餌を捕りにいっているときにババババ!と連写していて。え、なんだろと見せてもらったら、これがすっごい綺麗なの。羽根が開いて水がキラキラと飛んでいる写真でさ。

やべ! みんなこういうのを撮ってたんだ! 俺ナメてたわ!と気がついたらシグマ150-500mmとか手に入れちゃうわけですよ(笑)

そして沼の始まりです。

ジェットダイスケ:いままでブツ撮り感覚で撮っていたから、連写速度とか気にしてなかったわー、とEOS 7D MarkIIとかEOS 1DX MarkIIとか買いはじめちゃうわけですよ。そこからはほんと、沼です。

キヤノンボディの他にもオリンパスのE-M5やE-M1、ソニーのα99、α6000、歴代α7など次々と買っては実地でチェック。この頃から、ディープなカメラレビューYouTuberとしてさらに存在感を高めていったのですね。

最近のメインカメラだというライカQ2。有効画素数4730万画素のフルサイズセンサーに、f1.7/28mmのレンズで武装したモデル。クロップを活かしたデジタルフレーム機能により、35mm、50mm、75mmの焦点距離でも撮影可能。「凄いんですよこれ。ライカとは思えないくらいめちゃくちゃ寄れるの」

そして現在の愛機はライカ驚きのM10-PとライカQ2。カメラ界のロマンスの神様じゃないですか。流れを大きく変えてきましたなあ。えー、なぜなのでしょうか。

ジェットダイスケ:α9を使った時に思ったんです。これ、誰でもどんなシチュエーションでも撮れるカメラじゃないかって。また今まで一眼レフにこだわってきたメーカーがフルサイズミラーレスに参入して、進化の系譜を思い返すとどのメーカーのカメラももっと扱いやすいカメラになるだろうなって。逆を言えば、メーカー独自のそれぞれの優位性が薄まりそうな予感がしたんです。だったら、僕が撮らなくてもいいかもなって。

ライカとの出会いは三年前。ライカ京都店で触ったライカボディの金属の塊感、質感に圧倒されたものの結局買わなかった。けれども前述の思いから昨年10月にM10-Pを手に入れてしまいました。

ジェットダイスケ:五十肩で腕が上がりにくいし、軽くて小さい、でも高画質なシステムが欲しかったのもあります。M10-Pのボディはそこそこ重いですが、レンズが小さくていいんですよ。

そうそう、一眼カメラといえばレンズも重要ですよね。ライカオーナーになってから8ヵ月ほどですが、どれだけのレンズを揃えたのですか。

ジェットダイスケ:純正だけで10本いきましたね(笑)。もちろん全部が新品ではないですよ。でも総額で高級車が買えるくらいにはなっています(笑)

1インチセンサーに24-360mmものズームレンズを組み合わせたTHEコンデジなパナソニックDC-TX2。スマートフォンが撮影しにくい領域を果敢に狙える。兄弟機にライカC-LUXがある。「これまでのライカのコンデジは色味をチューニングするという通説があったんだけど、コレは変えていないんじゃないかって話があって」

仕事での動画撮影はハンディカム&スマホ

自宅での動画撮影用に使っているソニーFDR-AX55(絶版・後継機はFDR-AX60)。4K動画をMP4で撮影できること、強力な手ぶれ補正機能が使われていることに関心を寄せて入手したという。「まあ外には持っていかないし、三脚据え置きで撮っているんですが(笑)」

なおこのライカ、動画撮影用には使っていないそうです。ではどんなカメラでコンテンツを作っているのかと尋ねたら、飛び出た言葉がなんと!

ジェットダイスケずっとハンディカムですね。いまはこのFDR-AX55。買ったのは2年前くらいです。このカタチはカタチで完成しているし、空間手ぶれ補正の効きがよくてね。今みたいに電動ジンバルが一般的ではなかったし、ステディカムみたいにセッティングに時間のかかるものを毎日使うのはムリですから。

フルサイズ一眼カメラ&レンズよりはコンパクトなところがいいのかなと思ったら。

ジェットダイスケ:でもコレ持って外に行くというのはあまりなくて。これですら大きくて持っていくのは嫌(笑)。だから外での撮影は、もっぱらスマートフォンです(笑)

昔の動画を見ると旅行記や店舗来訪などバリエーション豊かでしたが、いまのジェットダイスケさんのコンテンツはカメラレビューが中心。作例撮影時はあまり動画を撮らないスタイルゆえに、「外で撮るのはエクストラ」だといいます。

ジェットダイスケ:Xactiの時代は外歩きをやっていました。でも番組のテイをなさないとダメだなと思い始めて、自分に縛りを設けていった感じですね。

写真撮影においては多くの人があこがれるライカを使いつつも、ビデオブロガーとして動画を撮る時は効率最重視の機材をチョイス。なるほど、まさにプロの視点だ! と深く納得しましたね。

ジェットダイスケ(YouTubeチャンネル)