小さいよりも大きいがいい!
次世代ウォッチはこう変わる
スマートウォッチも大画面の時代がやってくる

Apple Watchに代表されるスマートウォッチの話題も最近はあまり聞かれなくなっている。スマートウォッチさえあればスマホがいらない、などと騒がれたのはもはや過去のこと。腕時計サイズの画面でできることは限られているのだ。ところがそんなスマートウォッチの弱点を解消する製品が登場した。これからの時代、スマートウォッチにも大画面化の波がやってくるのだろうか。

4インチの巨大画面、手首側にも表示できるNubia α

中国のスマホメーカー、Nubiaのスマートウォッチ「Nubia α」は4インチのディスプレイを搭載している。4インチと言えば一昔前のスマホと変わらぬ大きさ。たとえばiPhone 5と同じサイズだ。こんなに大きいディスプレイを搭載しているならNubia αはさぞかし不格好な形をしていると思いきや、縦に長い折り曲げ可能なディスプレイを採用することで大画面化を実現しているのである。Nubia αのディスプレイは縦横比が45:9 (5:1)というウルトラワイドディスプレイを採用しているのだ。

ここまで長いディスプレイをNubiaαはベルトと一体化することで搭載している。このディスプレイは折り曲げできるので、手首に合わせて曲がりながらもその一部が表示領域になっているのである。Nubia αはこの長いディスプレイの特徴を生かして、待ち受け時には3つの領域に区切って表示を行う。真ん中には時計や通知など必要な情報を、上側には各種設定のショートカット、そして下側にはよく使うアプリのショートカットアイコンを並べているのである。

45:9のワイドディスプレイを採用したNubia α

ところでスマートウォッチを使った人ならわかるだろうが、最大の難点は画面操作のしにくさだ。Apple Watchはデジタルクラウンを採用し竜頭をつかって画面を操作できる。サムスンのGalaxy Watchシリーズはスポーツウォッチのようにベゼルを回転させて操作可能だ。とはいえ小さい画面を直接指先でタッチする必要もあり、細かい操作はしにくい。Nubia αは本体上面にセンサーを設置し、指先や手のひらを画面の上で上下左右に動かすだけで画面の切り替え操作を可能にしている。その様はまるで手品のようで、画面に触れなくとも多数のアプリを次々に切り替えて操作できるユーザーインターフェースはなかなか使いやすい。

多数のアプリがプリンストールされている。画面に触れずともある程度の操作が可能だ

Nubia αには4Gモデム搭載モデルも用意されており、単体での通信が可能だ。SIMカードは物理的なものではなくApple Watchも採用するeSIMのため、アプリやQRコードを使って契約情報を書き込める。SNSやモバイルペイメントアプリなどもプリインストールされているため、スマホ無しで手ぶらで外出してもNuiba αがあればある程度のことはできてしまうだろう。

スマートウォッチがスマホを超える! 単体で使える楽しさと可能性

Nubia αはAndroid OSで動いており、画面の大きさが特殊ではあるものの、Androidスマホのアプリがそのまま動かせるという。現時点ではアプリストアが無いためアプリの追加ができないものの、4インチの大きさがあれば一昔前のアプリなら大抵のものが表示できそうだ。TiwtterやFacebookのタイムライン表示もできるだろうし、Instagramも写真を縦2列に並べてみることができるだろう。腕時計の手首に友人たちの最新情報が次々に流れて表示されるだなんて、ちょっとした近未来ガジェットに思えないだろうか?

スマートウォッチの弱点は表示できる情報が少ないことだ。スマホの通知を受けたとしても、本文が数行しか表示されないようであれば結局はスマホを取り出して内容を確認したほうが手っ取り速い。「通知だけ」でいいなら高価なスマートウォッチは必要なく、低価格なリストバンド型端末でも十分だろう。実は体に装着する「ウェアラブル端末」の世界シェアを見ると、アップルの次に売れているのは中国の新興スマホメーカー、シャオミの製品なのだ。シャオミのリストバンドは日本円で3000円程度で運動量の記録の他、スマホの通知も受けられる。リストバンド型デバイスは通知端末として世界中でひそかに売れているのである。

4インチの大画面はこれだけの長さがある。ベルト部分も表示エリアなのだ

実は大画面なスマートウォッチは数年前に登場したことがあった。2014年発売のサムスンの「Gear S」だ。画面サイズは2インチと、現時点でも他社のスマートウォッチよりはるかに大きい。曲面ディスプレイを採用することで手首にフィットし、3G通信機能も内蔵することで単体利用が可能だった。日本でもドコモから発売された。Gear Sなら100文字以上の通知を受けることも可能で、Twitterのつぶやきも全文表示できるのだ。しかし当時はGear Sの本体の性能が低く、特殊OSを使っていたこともあってアプリの数も増えなかった。残念ながらGear Sは大画面のメリットをアピールできずに消え去ってしまったのだ。

大画面スマートウォッチとして登場したGear Sだったが、その後このサイズの製品は出ていない

別のアプローチから表示領域を増やした腕時計もある。ソニーの「FES Watch」だ。FES Watchはスマートウォッチではないものの、ベルトに電子ペーパーを採用しており最新モデルではスマホからイラストや写真を転送し、着せ替えることができる。つまりFES Watchはあくまでもファッション腕時計なのだが、スマホとつなげられるという点では、スマートウォッチの派生品と考えることもできる。

そもそもFES Watchは電子ペーパーディスプレイの使い方の応用例として生まれた製品で、モノクロ表示しかできない。しかしそのデメリットを逆に生かしてテキストを表示する、という使い方に活用性を見出せるかもしれない。つまりスマホに届いた通知を一定時間ごとにFES Watchのベルトに表示する、という使い方もできるはずなのだ。あるいはFES Watchをはめた腕をひねったときだけ、スマホから情報を受ける、なんて操作が搭載されたら面白い。世界に他にはないFES Watch、ぜひスマート化した製品も期待したいものだ。

ベルトを書き換え出来るFES Watch U。スマホ連携でスマートウォッチ化も期待できる

スマートウォッチは画面サイズの制約があり、どんなに性能を上げたところでも1インチ台の狭い画面内でできることは限られている。このまま通知程度の機能しか使えないようでは、いずれは老舗の腕時計メーカーがスマートウォッチを手掛けるようになり、そちらに市場を奪われてしまうだろう。スマホメーカーのスマートウォッチが生き残るためには大画面化が一つの道となるのかもしれない。

カメラも搭載、音声入力対応となればスマホは不要になる

Nubia αに話を戻そう。本体正面にはカメラが付いており写真撮影できるのも特徴だ。覗き込むように撮影すれば自撮りができるし、本体を横に向ければ風景などの写真も撮れる。昔カシオなどから腕時計カメラが発売されたことがあったし、前述のサムスンのスマートウォッチも初期の製品にはカメラが搭載されていた。最近のスマートウォッチはカメラを搭載しなくなってしまったが、Nubia αは「腕カメラ」として使うことができるのである。

しかも4インチのディスプレは撮影した写真の一覧もサムネイル表示で見やすい。Nuiba αで写真を撮ってSNSにそのままアップ、なんてこともお手の物だ。Nubia αはスマートウォッチであるだけではなくカメラでもあるわけだ。またいずれはこのカメラを使ってLINEやFacebookのビデオコールもできるようになれば、いつでも気軽にフェイス・ツー・フェイスなコミュニケーションも可能になる。こんな楽しいスマートウォッチは今までなかったのではないだろうか?

カメラが付いているのもNubia αの便利な機能だ

こんなに夢のようなNubia αだが欠点もある。重量は非公開だが100グラム後半で、腕にはめるとずしりとその重さが感じられる。大型ディスプレイを搭載するとなるとその保護のため本体も金属製となりどうしても重くなってしまうのだ。電池の持ちは2日程度あるのだが、夜に自宅に帰宅したら腕から外したくなってしまうほど重いのである。気が早いが次期モデルではベルトの一部に樹脂素材を採用するなどして軽量化をお願いしたい。

また文字入力にも対応するが、横幅の狭いディスプレイにキーボードを表示させて文字をタッチするのは難しい。入力はできれば音声とし、話しかけるだけで入力できるようにしてほしいものだ。あるいはベルトを横向きにするとキーボードが表示されるのもいいかもしれない。このあたりは世界初の大画面スマートウォッチということで、Nubiaもまずは製品を出したうえで、ユーザーからの反応を待っているのだろう。

文字入力がネックの1つ。本体が重いのも難点だ

このようにNubia αはまだまだ発展途上の製品であるのは事実だ。しかし今までのスマートウォッチではできなかったことを実現してくれる、夢のデバイスに化ける可能性を感じられる。Nubia αを手にすることで「できること、できないこと」をユーザー自らが体感すれば、そのフィードバック意見がメーカーにダイレクトに伝わるだろう。「こんなことがしたい!」という意見をメーカーが採用してくれる可能性もあるわけだ。

全く新しい概念のスマートウォッチだけに、メーカーと二人三脚で開発に参加できる

世界のスマートウォッチ出荷台数は2017年の2930万台から、2018年は4500万台へと前年比150%の成長を遂げた。まだまだ市場は拡大しており、今後はNubia αのような大画面モデルが次々と登場するかもしれない。スマートウォッチに興味のない人も、これから登場する製品には注目してほしい。

  • Text山根康宏