サムスンやファーウェイだけじゃない!
無名メーカーも製品を投入
爆速2ギガビット! 5Gスマホ10機種以上が上海の展示会に勢ぞろい

「5G」という言葉が日々聞かれるようになっている。今のスマホが使う通信回線は4Gで、一般的には通信速度は100Mbpsくらい。しかし5Gは最大で2Gbpsと、4Gの20倍以上も高速なのだ。どれだけ高速化というと、映画1本を1秒程度でダウンロードできてしまうほどだ。そんな夢の5Gに対応したスマホが、実はもう10機種以上市場に出ようとしているのだ。

中国最大のモバイルイベント、MWC19上海は5Gだらけの展示会だった

2019年6月26日から28日まで開催された「MWC19上海」は、毎年2月にバルセロナで行われる世界最大のモバイル関連イベント「MWC」の中国開催版だ。当然のことながら中国企業がずらりとブースを並べ、最新技術を競うように展示していた。今回の目玉は「5G」。右も左もどこをみても、5Gの表記が各社のブースで目立っていた。明日にでも5Gのサービスが開始できるといわんばかりに、通信機器のみならず5G対応スマホが多数出展されていたのだ。

ちなみに日本の5Gは2019年9月のラグビーワールドカップの時にテストサービスが行われ、本格的な開始は2020年の予定である。現在巷では新しい通信料金プランの話題ばかりがトピックに上がっており、5Gの話はほとんど聞こえてこない。7月26日から28日まで開催される野外ロックフェス「FUJI ROCK FESTIVAL ‘19」でようやく日本の一般消費者向けにシャープやソニーの5Gスマホが披露される予定だ。しかしMWC19上海ではすでに5Gスマホが10機種以上も展示され、誰もが自由に触ってテストできる状況だったのだ。

5Gの超高速を体験できるOPPOブース。2Gbpsの速度は爆速だ

中国には3つの通信キャリアがあり、5Gになると1社増え4社が競争を行う予定だ。そのうちの2社、チャイナモバイルとチャイナユニコムはMWC19上海の自社ブースに所狭しと5Gスマホを並べ、どちらもが通信速度を競い合っていた。来場者はスピード測定アプリで速度を調べるだけではなく、動画のストリーミングサービスを見たり、アプリをダウンロードしたりと5Gの速度を思う存分試していた。筆者も次から次へと動画を切り替えて視聴してみたが、まるでTVのように途切れることなく高画質な動画を見ることができる体験は新鮮なものだった。

展示されていた5Gスマホ、スピードテストも自由に行える

中国では街中の通信キャリアの店舗の一部ですでに5Gスマホを試すことができる。だが10機種以上もの5Gスマホが集められ、それを同時に試すことができるのは中国最大級のモバイルイベントであるMWC19上海の会場ならではだ。しかも日本で知られた大手メーカーの製品だけではなく、中国の新興メーカーの製品もそろっていた。中国の5Gの開始は秒読み段階に入っているのだ。

各社自慢の5Gスマホ、大手メーカーは圧倒的なスペックで存在感を誇示

ではMWC19上海で展示されていた5Gスマホを紹介しよう。その前に、すでに海外では一部の国で5Gサービスが始まっており、5Gスマホの販売も始まっている。2019年7月時点ではアメリカ、韓国、イギリス、スイス、オーストラリアなどで5Gが開始されており、5Gスマホも販売されているのだ。

それらすべての国で販売されているのがサムスンの「Galaxy S10 5G」である。世界のスマホシェアトップメーカーだけに、各国のキャリアも「5G標準モデル」としてこのスマホを採用しているのだ。6.7インチの大型画面に4つのカメラを搭載する文句なしのハイスペックなスマホだ。「5Gスマホ、どれにしたらいい?」と悩んだ時もGalaxy S10 5Gを選べば間違いないと言えるほどの製品だ。

5Gスマホの標準モデルといえる、Galaxy S10 5G

サムスンに対抗するのがファーウェイの「Mate 20 X 5G」だ。日本では2018年冬に「Mate 20」が発売されたが、本モデルは画面サイズを7.2インチと大型化し、ライカ監修のトリプルカメラを搭載したカメラフォンでもある。Mate 20 X 5Gにはゲーミングパッドも用意されているので、装着すればまるでニンテンドーの「スイッチ」のように大きい画面を使ってゲームを遊ぶこともできるのだ。またペンも別売されているので、紙の手帳のようにメモを取ることも可能。エンタメにもホビーにもビジネスにも使える欲張りなスマホだ。

7.2インチの大画面5Gスマホ、Mate 20 X 5G

日本では折りたためる2画面スマホなどを出しているZTEは、6.47インチと前記2つのモデルよりやや画面サイズが小さくなるが、4800万+2000万+800万画素とMate 20 X 5Gと同じ構成のトリプルカメラを搭載する「Axon 10 Pro 5G」を発表している。MWC19上海ではZTEは自社ブースも設け、そこでは2Gbpsの超高速通信のデモも行われた。ZTEはファーウェイとともに、スマホだけではなく5Gの通信インフラも手掛けるメーカーだ。5Gの普及には無くてはならない基地局などを各国に販売するだけではなく、5Gスマホもセットで供給することで5Gの普及を強力に後押ししているのである。

ZTEのAxon 10 Pro 5G。インフラと端末のセットで5G普及を支援

もう1社の注目5GスマホはOPPOの「Reno 5G」だ。OPPOは日本でも7月に10倍ハイブリッドズーム+60倍デジタルズームという、史上最強のカメラスマホ「Reno 10x Zoom」を発売した。そのモデルを5Gに対応させた製品がReno 5Gである。望遠領域のカメラ性能は他社の5Gスマホと比べても群を抜いており、10倍ズームの威力も絶大だ。そして60倍デジタルズームは画質がかなり落ちるものの、今までのスマホでは撮影できなかった遠くの景色を拡大して写してくれる。スマホの性能はカメラで選ぶ人にとっても最適な1台なのだ。

60倍ズームも可能なOPPOのReno 5G

Reno 5Gの画面サイズは6.6インチ。こうしてみると大手メーカー各社の5Gスマホはどれもが特大のディスプレイを搭載していることがわかる。5Gでは4Kなど高精細な動画を視聴することが当たり前になるだろうし、5Gスマホのカメラ性能もかなり高い。美しい写真や映像を思う存分楽しむためには、スマホの画面サイズも大きいほうがいいに決まっている。またメーカー側としても既存の4Gスマホと差別化した製品にするために、5Gスマホはカメラやディスプレイの性能を引き上げているのだ。

この4社の5Gスマホは日本で5Gが始まるときに、ドコモなど各キャリアが採用して販売される可能性も高い。MWC19上海では「このスマホ、日本で出るかな」などと想像しながらそれぞれの機種を試すこともできたのだ。日本メーカーの5G対応はソニーとシャープだけという現状からすると、5Gの普及には海外メーカーの5Gスマホが必要不可欠な存在になる。果たしてどの5Gスマホが日本で出てくるのか、楽しみでもある。

新興メーカーも5Gスマホを投入、待たれるiPhoneの5G対応

MWC19上海には日本に参入している前記4メーカーの5Gスマホだけではなく、海外で話題の新興メーカーの製品も展示されていた。5Gのスマホは高度な設計技術が必要で、なかでもスマホ本体内の無線アンテナをどう配置するかが通信性能を左右する。5Gは4Gとは異なり今までスマホでは使われなかった周波数の電波も使うからだ。ところが新興メーカーたちは5Gスマホの開発に力を入れ、大手メーカーと同時に5Gスマホを市場に投入しようとしているのである。

海外でもスマホマニアを中心に人気のメーカー、OnePlusの5Gスマホ「OnePlus 7 Pro 5G」はフロントカメラを収納式にして、ディスプレイの全画面化を実現したモデルだ。スマホのスペックの指標を図るアプリ「AnTuTu」では最高クラスの数値をマーク。5Gの通信速度も爆速だが、本体も爆速という「超爆速スマホ」なのである。4Gスマホ市場でOnePlusは一部ユーザーだけが気にするニッチな製品だったが、5Gスマホの市場ではサムスンやファーウェイと同じスタートラインに立っており、しかもスペックは上回っている。OnePlusを買わない理由が一つも見つからないといわれるほど注目の存在だ。

スマホマニアが注目のOnePlus 7 Pro 5G、スペックの高さが自慢だ

パソコンメーカーとして有名なレノボも5Gスマホを出そうとしていることを知っているだろうか? レノボのスマホは中国以外では一部の国でしか販売されておらず、日本などではレノボに買収されたモトローラのスマホが販売されている。モトローラと言えば世界初の「合体式5Gスマホ」を出したことでも有名だが、本格展開する5Gスマホはレノボブランドの製品となるようである。「Lenovo Z6 Pro 5G」は背面にサムスンと並ぶクワッドカメラを搭載し、カメラ性能を武器に大手メーカーに挑む。レノボの知名度も消費者が製品を選ぶときの判断基準に好影響を与えそうだ。ディスプレイサイズが6.39インチとやや小ぶりではあるものの、普段使いするスマホとしてはちょうどいいのかもしれない。ちょっと気になる存在だ。

レノボブランドで展開する5Gスマホ、Lenovo Z6 Pro 5G

さて中国でちょっと知られたスマホメーカーとしてシャオミの名を避けて通ることはできない。一時は「価格はiPhoneの半額で性能は同等」と言われたほどの、コストパフォーマンスに優れたスマホを次々と送り出しているメーカーだ。その姿勢は今でも変わらず、同社初の5Gスマホ「Mi MiX 3 5G」はヨーロッパでは10万円を切る価格で販売されているという。スライド式のボディーも特徴で、普段はフロントカメラが隠れているのはOnePlusと同じ機能となる。動くギミックだけでも魅せてくれる製品だ。

中国スマホといえば忘れてはいけないシャオミのMi MiX 3 5G

このほかにもOPPOのライバルとして新興国で人気のVivoからはゲーミングスマホの5G版となる「iQOO 5G」、ZTEの関連会社Nubiaの「mini 5G」、さらには通信キャリアのチャイナモバイルが自ら販売する「先行者X1」なども展示。また試作機ながらチャイナモバイルは7インチの5Gスマホも出す予定で展示がされていた。

ゲーミングスマホiQOOに早くも5Gモデルが登場

こうして約10機種の5Gスマホを改めて比較してみると、各社なりに差別化要素があってどれを選ぶか悩ましいほどだ。これだけ5Gスマホがあれば、5Gのサービス開始時に自分好みのスマホを見つけることも容易だろう。日本の5G開始時も、中国のように「どれを選ぼうか」と悩ましい状況になることを期待したいものだ。

  • Text山根康宏