9年契約で支払い総額200万円が完全無料?
韓国で5Gスマホ「LG V50 ThinQ」を契約してみた!

日本でも5Gのテストサービスやデモンストレーションが各地で始まっている。お隣の国、韓国ではすでに4月から5Gが開始され、6月には5G契約者総数が100万人を突破している。それだけの人が使っている5Gサービスを実際に自分で使ってみたくなり、7月に韓国に渡航して現地で契約を行ってみた。

5Gスマホは半額販売、3キャリアが5Gを積極アピール

韓国のスマホ事情は日本とかなり似ている。韓国にはSKテレコム、KG、LG U+の3つのキャリアが存在しており、スマホを買う場合は基本的にこれら3社のいずれかと契約して購入する必要がある。また格安SIMともいわれるMVNOキャリアも複数存在し、基本料金100円程度の超低価格プランを提供しているところもあるのだ。韓国の繁華街に行けば大手3社の看板を掲げた店をあちこちに見ることができる。

この大手3社が今年4月に世界初のスマホ向け5Gサービスを開始した。基本料金は日本円で1万円前後、5Gスマホはサムスン「Galaxy S10 5G」とLGの「V50 ThinQ」の2機種が販売されている。どちらも価格は10万円を超える高価なもので、4Gスマホよりも高い。韓国政府は5Gの基本料金は4Gの2割増し程度に抑えるよう指示しているが、端末はメーカーが独自に値段設定するためどうしても高めになってしまう。しかし3キャリアはユーザーを5Gへ積極的に移行させようと大幅な値引きを行い、5Gスマホを半額程度で提供している。

5Gの契約キャンペーンの案内が目立つ韓国キャリアの店頭。

このように現時点で韓国で5Gの契約をするとなると、3つのキャリア、2つのスマホの組み合わせから選ぶことになる。その数は6通りと少ないためどれにするかはそれほど悩む必要は無さそうだ。一番無難な選択はSKテレコムでGalaxy S10 5Gを買うこと。国内契約シェア1位と世界スマホ販売シェア1位の端末の組み合わせならほぼ間違いはないだろう。しかしSKテレコムは完全なデータ定額プランを提供しておらず、料金も若干割高なのだ。

SKテレコムはシェア最大キャリア。5Gの料金プランは多数ある。

シェア2位のKTは5Gのデータ定額プランを契約すると、付加サービスとして海外ローミング利用が無料になるという太っ腹なオファーを提供している。通信速度は最大で300kbpsと速くはないが、海外へ行っても自分のスマホがそのまま無料で使えてしまうのである。たとえばKTで5G契約さえすれば、日本で毎日使っても無料というわけである。筆者のように韓国非居住者にとって、KTのこのオファーはかなり魅力的だ。

ファーウェイの技術力を実感するLG U+で5Gに加入

現在の3キャリアの加入者シェアを見ると、SKテレコムが50%、KTが30%、LG U+が20%となっている。LG U+は後発だったこともあり加入者をなかなか伸ばせていないのだ。ところが5Gではソウル市を中心に積極的に基地局を設置。筆者が5月にソウルで5Gのテストを行ったところ、3社の電波状況は拮抗しており、場所によってはLG U+がダントツに感度が良かった。

LG U+は5Gネットワークにファーウェイの機器を使用している。米中貿易摩擦で何かと攻撃を受けているファーウェイだが、5Gの技術力に関しては他のネットワーク機器メーカー、エリクソンやノキアとそん色はなく、ファーウェイが技術力で勝っている部分もある。ソウルで3キャリアの5Gの電波状況を実際に目の当たりにすれば、ファーウェイの5G技術の高さを実感せざるを得ないのだ。筆者はこれまでにも韓国で3G、4Gを契約したことがあったが、SKテレコムかKTだった。しかし5Gに関してはLG U+にしようと決めたのである。

LG U+の5G回線で1Gbpsの超高速通信を体験した。

ところで韓国でキャリア契約をするためには、外国人は韓国に居住して外国人登録をする必要がある。筆者は日本には住んでいないものの香港在住者だ(ちなみに香港では永久居民の資格を取ったので、自由に契約ができる)。その筆者が韓国で契約ができるのは身内に韓国人がいるからだ。ということでこの記事は「日本の人が韓国で5Gを契約する方法」ではなく、あくまでも「韓国で5G契約をするのはどんな感じなのか」という体験レポである。

韓国の5G加入者はあっという間に100万人

それではLG U+の店舗を訪れ、5G契約をしたときのことを振り返ってみよう。まず店舗は5Gの広告だらけで、4G契約や4Gスマホのプロモーションなどは一切掲示されていない。5Gのカバーエリアはまだまだ狭いが、5Gスマホと一緒に5G契約をすれば大幅な割引が受けられるため毎月の支払額は4G契約+4Gスマホとあまり変わらない。実は韓国の5Gは地方都市ではまだエリアが狭いのは当然として、首都のソウルでも地下や建物の中はほとんどカバーされておらず、4Gしか利用できないのだ。5Gスマホを持って行っても4G接続になるというわけである。しかし4Gと5Gで同じ金額を払うなら5Gにしたほうがお得だ。韓国の5G加入者が急激に増えあっという間に100万を突破したのも、キャリアの大幅な割引があるからだろう。

LG U+のショップ店頭。5Gスマホの割引広告が目立つ。

ではLG U+ではどのような割引が受けられるのだろうか。まず基本料金はキャンペーンで2年間データ完全定額となる「5Gプレミアム」プランが毎月9万5000ウォン(約8500円)。これに他のキャリからの移転(MNP)や2年固定契約など様々な割引を合わせると最大で6万6000ウォン(約5900円)にまで値引きされる。4Gのデータ定額プランが7万8000ウォン(約7000円)であることを考えると、5G契約したほうが安上がりになるのである。

また端末はLGを選ぶことにした。これはV50 ThinQには画面をもう1枚追加できるデュアルスクリーンカバーが提供されているからである。これを取り付けると、V50 ThinQは折りたたみ型の2画面スマホに変身するのだ。左右の画面で別々のアプリを立ち上げたり、5Gのコンテンツサービスでは2つの画面に複数のウィンドウ表示ができるのだ。V50 ThinQの価格は119万9000ウォン(約10万8000円)。2年契約では約半額となり、さらに24か月の分割払いとなるため毎月の支払額は日本円で実質2000円程度となる。

2画面スマホに変身できるLG V50 ThinQ。

このように2年契約を行った場合、毎月の支払額は日本円で8000円程度。これで5Gスマホも利用できるのだから十分お買い得と言えるだろう。データ通信は無制限なので動画視聴なども見放題だ。街中でちょっと仕事をするときも、カフェでWi-Fiを探すより5GスマホとノートPCをつないで通信したほうがお金もかからないし速度も速い。5Gのカバーエリアも毎月広がっており、1年もすればさらに快適になっているだろう。日本で5Gが始まるときもこれくらいの金額なら加入者は一気に増えるだろう。

9年契約って何!? アイドルライブを楽しめる2画面カバーは2か月待ち

LG U+の店で料金や端末割引の話を聞き、さて契約しようとすると別のプランを勧められた。その案内を見ると「9年」という表示がある。9年って、まさか本当に9年も契約するのか?スタッフに聞くと「このプランは9年契約ですが、全額金額が戻ってきますよ」とのことで本当に9年契約だった。しかも加入者は増えているという。いったいどんな仕組みなのだろう?

 

LG U+の店内には様々な料金案内が掲示されている。

このプランはLG U+ではなく、積立保険を提供する保険会社が提供している。つまり顧客から集めた資金を運用することで利益を上げ、長期契約を結ぶことで満期には配当金が得られるというわけだ。その配当金が9年間の総支払額と同じになるのである。今回の例でいえば、毎月8000円の2年契約でLG U+と契約するのではなく、毎月8000円の9年契約で保険会社と契約を結ぶのだ。9年間の総支払額は8000x24x9=172万8000円。この大金が9年後にまるまる帰ってくるというのである。

こんなおいしい話があるわけないが、説明を聞くと配当金は現金ではなく、保険会社が提携している旅行代理店のパッケージやショッピングで使えるとのこと。とはいえ提携先は有名どころなのでぼったくり料金ではないようだ。日本より金利の高い韓国では、家を借りるときに「チョンセ」というシステムがある。これは家を2年間借りるときに数百万円を家主に預け、2年後退去するときに全額が戻ってくるというシステムだ。実質タダで家を借りられるが、家主は家を貸したときに一時的に大金を手にすることができるため、それを2年間運用して収益を得ることができるのである。

LG U+の5Gサービスは魅力的なものが多い。しかし9年間も使うか悩むところだ。

ということでこの積立保険プランは韓国人にとっては突拍子もないアイディアではないわけだ。筆者もこのプランを考えたものの、9年間も同じキャリアを契約し続けるとは限らないし、将来は完全解約してしまうかもしれない。ということでこのプランでの契約は断念。日本では長期契約者への優待がなくなりつつあり批判の声も上がっているが、韓国では5Gの開始で長期契約が消費者に受け入れられているのである。

ひとまず8000円の24か月契約で契約書にサインして、無事5G契約も終了しスマホも受け取った。しかしそこから細かい話を聞くとやはりお得な話には裏もあるのだった。まずスマホは半額になるものの、24か月で自動的に下取りとなる。つまりLG U+に返却しなくてはならないのだ。引き続き使う場合は残りの半額を12か月分割で払わなくてはならない。まあどうせ2年後は買い替えだからこの点はいいとしよう。それよりも問題だったのは、2画面化するデュアルスクリーンカバーが納期2か月ということ。定価は2万円程度で現在はキャンペーン中で無料でもらえるはずなのだが、しばらくは普通のスマホとして使うしかない。

韓国で入手できなかったカバーが香港で購入できた。さすがは香港である。

デュアルスクリーンカバーが使いたくてV50 ThinQを買ったのに、すぐに使えないのは残念なこと。しかし韓国のメルカリのようなサービスを見てもなかなかこのカバーは見つからない。結局筆者は香港に戻ってからスマホ輸入屋にかけあって、カバーだけを2万円で買うことにした。香港には世界中のスマホを輸入する店が多数あり、スマホビルとよばれる「先達廣場」に行くとお金を出せばあらゆるものを買うことができる。韓国ではどこにも売っていないカバーも、香港ならこうして入手できるのである。余計な出費に放ったが、2画面化することで5Gコンテンツをフルに楽しむことができるようになったのである。