1日120台を自社工場で製造中! スノーピークのシンボル「焚火台」ができるまで

1990年代、キャンプで焚火といえば直火が当たり前だった。そんな時代に焚火台というまったく新しい商品を世に放ち、いまではその代名詞的な存在となったスノーピークの「焚火台」。厚さ1.5mmの強靭なステンレスを採用した焚火台は、使い込むほどに味が出て、ハードな環境で酷使しても壊れる気配はまったくしない。一生の相棒と呼ぶにふさわしいギアが生まれる自社工場で、ものづくりの真髄を聞いた。

  • 良品製造課 上原陽一さん2011年の工場移転を期に現職。ロボット導入から効率的なオペレーションの構築までを指揮し、安定した製造ラインを確立した立役者。

「昔は生産がまったく間に合っていなかった。年間にどれくらい売れるかもわからなかった」

そう昔を忍びながら語ってくれたのは、スノーピークの第2拠点「HQ2」内の工場で指揮をとる上原陽一さん。いまでこそ、直営店でもオンラインストアでも、欲しい時に買える『焚火台』であるが、10年ほど前は需要と供給のバランスが取れておらず、“欲しいのに買えない”という状態が続いていた。そんな状況を大きく変えたのが、2011年。新潟県三条市の山中にキャンプ場を併設した本社オフィスを建設し移転した年だ。それまでの社外の工場との分業を見直し、工場も本社に置くことにした。

「それまでは溶接の知識も技術もないので、すべて外注していました。しかし、外注先のスケジュール次第で生産計画も変わってきてしまう。複数の業者を入れてしまうと商品に対する目線も変わってくるので、品質が安定しなくなる。そこで溶接ロボットを導入して、一連の工程を内製化するようにしたんです」

焚火台のパネル部分の溶接にはこれまでもロボットを使っていたが、4面のパネルを組み合わせることに使うのは始めて。ロット、気温、湿度によって微妙に変化する部材のバラツキや習性を考慮した1mm以下の微調整、材質の異なるステンレス同士の溶接など、試行錯誤を繰り返した。

「2013年にさらに新しい溶接ロボットを導入したことで、製作スピードは4倍にアップ。溶接欠陥もほとんどなくなり、今は1日に120台が安定して製造できるようになりました」

板状のステンレス素材をプレス機で切断し、切断したパーツを溶接ロボットで組み合わせていく。80箇所以上に及ぶ溶接を繰り返した後、人の目による最終チェックを得て梱包となるのだが、これらの作業を担っているのは、すべてがスノーピークの社員。今年は2名の新卒も配属され、全9名体制で回しているという。

「焚火台1台分をまとめ上げるのにかかる時間は約4分。1日480分(8時間)あるので、120台が作れるという計算です。焚火台の出荷数はここ数年、毎年伸びていて、直近の数字では年間2万4000台ほど売れています。新しいお客さんが増えていますし、昔に比べると若いお客さんもスノーピークの焚火台を選んでくれているようでうれしいですね」

合理性や経済性を優先すると、メイドインジャパンのものづくりは正直難しい。なぜスノーピークは焚火台を自社工場で作るという判断に踏み切ったのだろうか。

「焚火台はスノーピークの象徴的な商品。だからこそ、自社のスタッフが一台一台、心を込めて作ったものをお届けしたい。同じ目線、同じ想いのチームが作るからこそ、一生使える品質が担保できるんです」

 

焚火台はこのパーツを4つ組み合わせてできている。
1枚のステンレス板をプレス機でカットした第一段階。平行四辺形にカットすることで、端材を最小限に抑えることができる。
1台につき、全部で84箇所ある溶接はすべてロボットが担当。朝から夜まで、ほぼ休まず稼働する。
梱包作業は当日出荷分のみを日々作業。梱包が終わると、翌日に製造する焚火台のプレス作業へと移る。

ミニシェラカップもここで作っています

焚火台の製造がメインの工場であるが、昨年末からは機械の空き時間を使ってミニシェラカップの製作もスタート。設立60周年記念モデルとして春に行われた雪峰祭用に作られたものだが、発売日当日に売り切れるほど反響は抜群だそう。おちょこサイズなので日本酒のお供に最高なミニシェラカップ、次回は秋の雪峰祭で発売予定とのことなので、気になる方は忘れずにチェックを!