【家電アーカイブス】日本人のお尻を40年間キレイにしてきた温水洗浄便座の歴史

普及率は80%以上、複数人世帯に限ると一家に一台以上設置されている家電。それが温水洗浄便座だ。温水洗浄便座の歴史は日本人のお尻をキレイにしてきた歴史でもある。そして2019年はパナソニックの温水洗浄便座「ビューティ・トワレ」が登場して40周年だ。今回は特徴的な歴代モデルを振り返るとともに、「ビューティ・トワレ」の最新モデルについても紹介しよう。

お話を聞いた方

パナソニック株式会社アプライアンス社
トワレ電気暖房商品企画課
三木達也さん

1979年 パナソニック(当時ナショナル)初の温水洗浄便座が登場

パナソニック(当時ナショナル)が最初に温水洗浄便座を出したのがこの年。70年代の日本市場では介護商品であった温水洗浄便座が海外から輸入されて発売されていたが、上下水道の整備が進んだことで、国産品の発売が待たれていた。

「ナショナルは暖房器具を手掛けていたこともあり、60年代から暖房便座は商品化していました」(三木さん)

そこでおしり洗浄、脱臭機能、乾燥機能を追加して製品化したのが「ビューティ・トワレ」一号機となる「DL-80」だ。開発担当者たちのおしりの型をとったり、実際に温水を当てて開発を続けたという。

1979年発売「DL-80」
左右にお湯をためるタンクと回路部を配置した大きく出っ張ったデザインを採用していた。
1995年発売「DL-G3」(写真はDL-G3R)
お尻を洗うだけではなく、便器のプレシャワー機能を搭載。便器が汚れにくくなった。

 

1997年  新開発の瞬間湯沸かし機能で省エネ大賞受賞

これまでタンクにお湯を貯めて保温していた温水洗浄便座だが、新たに登場した「DL-GXシリーズ」では高ワットのセラミックヒーターを配置した湯沸かしユニットを搭載。使用時に水道水がユニット内を通るだけで最適な温度のお湯を作り出し、シャワーとして噴出できるようにした。この仕組みにより貯湯式と比べて約50%の省エネ性能を実現。温水洗浄便座で初めてとなる省エネ大賞(当時は省エネバンガード21)を受賞している。

1997年登場の「DL-GXシリーズ」
新開発の「瞬間湯沸かしシャワー」方式により、連続使用するとお湯がなくなる問題や使っていないときもお湯をずっと保温しておくといった無駄を省くことができた。
湯沸かしユニットにセットされるプレート状のセラミックヒーター。高ワットですばやく発熱して水をお湯に変える。
湯沸かしユニットの仕組み。下部から水道水が入り、上がるにつれて適温に温められる。

 

2002年 おしりシャンプー機能を搭載「CH8500(写真はCH8800)」
用を足した時に同時にお尻をシャンプーで洗える温水洗浄便座。専用のおしりシャンプーをセットすることでおしりの洗浄、すすぎ、乾燥ができた。一部で高い支持を集めたが残念ながら終了に。
おしりの汚れをしっかり落とせる専用の「おしりシャンプー」も用意。

 

2003年 衛生面とメンテナンスを考えてシャワーノズルがステンレスに

温水洗浄便座の普及率が50%を超えた2000年代初頭。次に課題となったのが衛生面だった。中でも特に樹脂製の洗浄ノズルは汚れが気になる部分としてユーザーの声が上がっており、黒ずみ対策が求められたという。

「当時行ったユーザー調査でもノズルの黒ずみは皆さん気にされていました」(三木さん)

そこでパナソニックではステンレス製のノズルを開発。継ぎ目のない構造と細かなキズがつかないことで、カビの発生を防ぎ、衛生的なステンレスノズルでお尻が洗えるようになった。

2003年発売の「DL-SVシリーズ」
樹脂製のノズルはどうしても細かいキズから汚れがつきやすく、さらに継ぎ目にカビが生えやすい。その問題を解決するために「深絞り」製法で継ぎ目のないステンレスノズルを生み出した。
従来モデルで採用していた樹脂製のノズル。樹脂故に経年で黒ずみが発生してしまう。

 

当時、新たに採用したステンレス製のノズル。一枚のステンレス板からプレス加工によって成形する。ノズルクリーニング機能も搭載し、キレイな状態を保つことができる。

 

2005年 業界初の瞬間暖房便座を搭載「DL-GWシリーズ」

「家庭での消費電力が高い家電というと、テレビ、エアコン、冷蔵庫などが思い当たると思います。実は温水洗浄便座もこれらに次いで高かったんです」(三木さん)

温水洗浄便座の消費電力の問題を大きく解決したのが、2005年に発売した「瞬間暖房便座」だ。これまでの暖房便座は使ってない間もずっと温めていたため、どうしても消費電力が高くなった。

そこでパナソニックではトイレに人が入った瞬間に高ワットのヒーターで便座を温める「瞬間式」を開発。暖房器具の開発ノウハウを活かして、便座の内側のきめ細かくヒーターを配置することで、人感センサーが反応してから約6秒で温まる「瞬間式」を実現した。なお、最新モデルでは約3秒で便座を温めることができる。

2005年発売の「DL-GWシリーズ」
人感センサーで人を検知してから、約6秒で素早く便座が温まる瞬間暖房便座を初めて採用したモデル。消費電力を大幅に削減することを実現。瞬間暖房便座と瞬間湯沸かしシャワーの組み合わせにより、貯湯式と比べると約75%の省エネを実現している。
従来の暖房便座のヒーター。低ワットだが使っていないときも暖め続けるため、無駄が多い。
左が「DL-GWシリーズ」採用した瞬間式のヒーター。きめ細かく組み込むことで、素早く暖められる仕組み。右は最新モデルの便座に内蔵されている細く長いヒーター。さらにきめ細かく配置されているのがわかる。これも暖房器具を作っているメーカーならではの技術。

 

2016年 おしりだけでなく便器もキレイにできる「泡コート」を搭載

最新のビューティ・トワレ「DL-AWMシリーズ」は2016年モデルより搭載する泡コート機能を搭載。便器面コートにより汚れのこびりつきを防ぎ、また水面コートが輪染みを防ぐことができる。また、新たに便座裏面とケース前面に防汚素材を採用。便座自体にもスキマがない成型となっており、汚れが入り込むことがなく清潔さを保つことができる。約3秒で温まる瞬間暖房便座や瞬間湯沸かしシャワー機能も搭載している。

ビューティ・トワレ DL-AWMシリーズ
実勢価格:8万8560円(DL-AWM600)、7万1030円(DL-AWM400)、6万870円(DL-AWM200)※編集部調べ
DL-AWM600のみナノイーX除菌/脱臭機能と温風乾燥機能を搭載。600/400は便ふた自動開閉(便座は自動閉)、便ふた・便座リモコン開閉機能を搭載する。その他の機能は共通。

 

台所用中性洗剤をセットするとビームのように360°に泡を噴出して便器面をコーティング。こびりつきや輪染み、飛びハネから守ることができる。
シャワーは、5通りの洗浄の強さと、5通りの洗浄幅を組み合わせた「25通りのおしり洗浄」から好みの強さと幅が選べる。
樹脂のスキマに汚れが入り込むことがないスキマレス便座を採用。サッと拭くだけでキレイにできる。

 

【トイレ・コラム】実際にお尻を洗って研究開発

パナソニックでは40年前の初代モデルより、実際におしりにシャワーを当てて温水洗浄便座の開発を行っている。面白いのがその方法。例えば、「ビューティ・トワレ」の開発部が入っているビルのトイレの個室にはアンケート用紙が配置されており、利用した社員からのアンケート結果を開発に役立てている。また、開発部の一角には4部屋のトイレを用意。複数の温水洗浄便座を座り比べるといった、比較テストができるようになっていた。

ビルの共有部にあるトイレの個室にアンケートを用意。温水洗浄便座に関わらない社員にも協力してもらっている。
検証のために4部屋の個室を用意。様々な温水洗浄便座を設置して各種テストを行っている。
給水管に掛かる水圧を合わせてテストするため、水圧調整ができるようになっている。
便器と便座の間に透明なアクリル板を挟んでシャワーの出方などもチェック。

 

【トイレ・コラム】温水洗浄便座は自分で取り付けられる

もはや現代人にとっては生活必需品の一つともなりつつあるのが温水洗浄便座だ。しかし賃貸物件などではついていないことはある。そんな時にもパナソニックのビューティ・トワレなら、安心してトイレに後から取り付けできる。しかもコンセントさえあれば、専門業者を呼ばなくても自分で取り付けることも可能。

実際に自分で取り付けてみたが、水道の元栓が閉められて、スパナなどの最低限の工具さえ扱えるならそれほどハードルは高くない印象。一時間も掛からずに交換できた。賃貸物件でも十分利用可能だ。

パナソニックの「ビューティ・トワレ」は家電販売店でトップクラスのシェア。買って帰って自分で取り付けることもできる。
一番のハードルは給水管の取り付け。必要なパーツや工具を事前確認しておこう。
便座の取り付けができたら泡コートのための台所用中性洗剤をセットして完成だ。

 

ビューティ・トワレでお尻の衛生だけでなく
トイレの清潔さも保てる

毎日、誰もが何度も訪れる空間のトイレ。そこで利用する温水洗浄便座は、元々介護目的の道具として海外で使用されていたものだった。しかし今日では、日本人の衛生観念から一家に一台以上のレベルで普及している。

パナソニックの温水洗浄便座を開発してきた40年の中では、それこそ様々な便座が生まれてきた。上で紹介した以外にも、例えば、2001年には99.9%の脱臭機能を備えた便座や体脂肪測定機能を備えた便座などちょっと面白い機能を持った製品も生み出しているのだ。

そんな中でも「ビューティ・トワレ」は、おしりを清潔にするという、温水洗浄便座の基本機能を強化するのはもちろんのこと、省エネ性能を高め、快適性までもアップ。便器だけでなくトイレ空間全体を清潔にする機能も実装してきた。

最新の「泡コート」機能を搭載した「ビューティ・トワレ」なら、泡の力によりトイレ掃除の手間を大幅に減らすことができ、手軽に清潔なトイレ空間を維持してくれる。さらに25段階から選んだ好みの温水でおしりを洗うことも可能。温水洗浄便座はもはや生活必需品の1つといっても間違いはないのだ。