片手サイズなのに大画面! Xperia 5は全世界のスマホユーザーが求めたウルトラコンパクトスマホだ:IFA2019

IFA2019でソニーモバイルが発表した「Xperia 5」はウルトラワイドディスプレイを採用した小型のスマートフォンだ。カメラ性能はフラッグシップモデルの「Xperia 1」相当、ハイスペックなCPUも搭載しており普段使いにはもったいないくらいの性能を有している。しかもあざやかなカラバリが用意されており、日本のみならず海外市場でも大きな話題となっている。本体は片手で十分持てる横幅サイズ。小型スマートフォン、たとえばiPhone SEの後継モデルを探している人にも気になる存在になりそうだ。

21:9のシネスコープサイズディスプレイを搭載、小さい本体に大画面が使いやすい

ソニーモバイルのスマートフォン「Xperia」シリーズは今年になってから従来モデルとは大きく異なる外観を持つ製品を次々と出している。それはディスプレイ形状の変更だ。すでに日本で発売されているXperia 1を見ればわかるが、ディスプレイが縦に長くなったことで本体も細長い形状となっている。Xperia 5もXperia 1同様の形状であり、Xperia 1を一回り小さくしたサイズになっているのだ。

IFA2019で発表されたXperia 5。

スマートフォンのディスプレイは数年前までは縦横比が16:9が標準だったが、最近では18:9、19:9のように縦方向に長いディスプレイを採用したモデルが増えている。ところが今年頭に発表された「Xperia 1」は21:9と他社よりもさらにワイドなディスプレイを採用しているのだ。このサイズは横方向に向ければちょうど映画のサイズとなることからシネスコープサイズともいわれる。映画館で放映される映画の迫力ある映像をXperia 1ならそのままフル画面に表示して楽しむことができるのだ。

シネスコープサイズディスプレイの利点はディスプレイサイズを大きくしたまま、本体の横幅を狭くできることだ。Xperia 1は6.5インチの大画面を搭載しながら横幅は72ミリと、最新iPhoneのコンパクトモデル「iPhone 11」の75.7ミリよりも狭い。Xperia 5はディスプレイサイズがiPhone 11と同じ6.1インチだが、横幅は68ミリと70ミリを切っているのだ。スマートフォンを片手で自在に使いたい人なら涙を流して喜ぶかもしれないほどXperia 5は手軽に持ち運べるスマートフォンなのだ。

6.1インチのシネスコープサイズディスプレイ搭載で片手でも楽に持てるXperia 5。

ところでXperia 1を買った人やお店で見た人は、ディスプレイが6.5インチとはいうものの思ったほど画面サイズが大きく感じられず、動画を再生した時は他社のスマートフォンのほうが迫力を感じられる、なんて思った人もいるかもしれない。21:9のディスプレイは確かに映画を再生するのには向いているが、同じ画面サイズで他社のスマートフォンと比べると横幅が狭い。つまり6.5インチの大きさはシネスコープサイズでは他社の6インチくらいの体感サイズとなってしまうのだ。それでは6.1インチのXperia 5はより小さいディスプレイを搭載していることから、小ささが目立ってより不利に感じられるのだろうか?

Xperia 5の21:9、6.1インチの画面は実は「広く」感じるのだ。

実際にXperia 5を手にしてみると、本体が小さいのにディスプレイが横に長いことから、コンパクトモデルなのにかなり大きいディスプレイを搭載しているな、と感じられるから不思議だ。このあたりは人間工学とも関係しているのだろう。Xperia 1は7インチくらいの大画面を搭載してこそ迫力を感じさせてくれると思われる。一方Xperia 5はすでに十分小さい本体サイズなので、同じ横幅サイズの他社スマートフォンよりディスプレイが横方向に長いというメリットを体感するのである。アプリを2つ起動してみると、21:9の画面なら正方形に2つのアプリを表示できる。この小さいサイズで2つのアプリを見やすく表示できるのはXperia 5だけなのだ。

美しい「赤」ボディーに思わず惚れる! カラバリ展開はもっと冒険が欲しい

Xperia 5の本体カラーは「ブラック」「グレー」「ブルー」「レッド」の4色。色の名前そのものは最近の他社スマートフォンの派手な色名称と比べると地味に感じてしまうが、実際にブラックとグレーはベーシックな色合いだ。シルバーはホワイトに近い色合いで、とりあえず無難な色が欲しいというユーザー向けなのかもしれない。

一方ブルーとレッドは他社にはない色合いだ。特にレッドは鮮やかさの中に落ち着きを秘めている、漆のような仕上げを感じさせてくれる。同じ赤でも中国メーカーや韓国メーカー、そしてiPhone 11とは色味が大きく異なっている。和のテイストを感じさせてくれるこの色を、ソニーはただのレッドと表現しているのだ。「わかる人にわかってほしい」という静かなメッセージが込められているのかもしれない。またブルーも渋みを利かせた色合いで、こちらも「青」と表現できない色だ。Xperia 5はこのように「無難な2色」と「他社にはない日本メーカーならではの2色」というカラバリ展開を行っているのである。

鮮やかな色合いのXperia 5のレッド。

IFA2019のソニーブースではこのXperia 5を目当てに多くの来場者が詰めかけていたが、コンパクトサイズは特に女性にも受けがいいようだった。特に赤ボディーのモデルは人を引き付けやすい。だが展示されている他のモデルを見て「あれ?」という顔をする来場者もいた。ここまで鮮やかな色の製品がおいてあるのだから、他にも様々なカラバリがあると思ったのかもしれない。ソニー側とすればこの4色ですべての消費者の興味を惹くことができると考えたのかもしれないが、もう少しがんばって6色、あるいは8色展開くらいしてほしいところだ。なにせiPhone 11は6色も用意されているのだから。

Xperia 5の売れ行きが好調で今後色展開が増えることを期待したいが、Xperia 5と同じサイズ感を持ったスマートフォンが他にないことから、日本以外でも人気が出る可能性は十分にある。フラッグシップのXperia 1は他社の上位モデルと熾烈な戦いを勝ち抜かなくてはならない。カメラの性能だけではなくデザインでも攻めるiPhone 11シリーズ、2サイズ展開となったサムスンGalaxy Note10シリーズ、新色が追加されたファーウェイP30シリーズと、大手メーカーの秋冬陣営は鉄壁だ。Xpeia 1はこれらに真っ向から対抗しなくてはならないのである。

一方Xperia 5のライバルは、同様にコンパクトサイズとして出てくる「Galaxy Note10」程度だろう。スペックを落としたコンパクトモデルは同じソニーの「Xperia 10」などもあるが、Xperia 5はCPUにSnapdragon 855を採用、カメラも1200万画素が3個というハイスペックな製品だ。年々巨大化するスマートフォンに対し、そろそろ手のひらサイズの製品が欲しいと考えるユーザーも増えてくるだろう。そして繰り返しになるがXperia 5の21:9のディスプレイは決して小さくはないのだ。

こちらはブルー。コンパクトなハイエンドモデルはXperia 5以外にはあまりない。

ところでXperia 5のディスプレイを見て気が付くことは無いだろうか?最近のスマートフォンが採用しているディスプレイ上部の欠き取り、いわゆる「ノッチ」が無いのだ。iPhoneが採用する横幅のあるノッチは今や少数派で、フロントカメラ部分だけをディスプレイに食い込ませた「水滴型」や、カメラ部分に穴をあけたような「パンチホールノッチ」が最近のスマートフォンでは主流となっている。しかしXperia 5はXperia 1同様に、ノッチは採用せずにディスプレイの上部にカメラを配置する従来型のデザインとなっている。そのため21:9のディスプレイがさらに長く見えるが、逆に本体のワイドサイズ感を強めており好結果をもたらしている。ディスプレイ面に一切邪魔するものが無いのでコンテンツを見るときも没入感が高い。ノッチ無しの道を行く今年のハイエンドXperiaは他社品との差別化に十分成功していると言えるだろう。

ノッチの無いディスプレイは没入感が高い。

ソニーの21:9ディスプレイ採用モデルはグローバルモデルも入れるとXperia 1、Xperia 5、Xperia 10、Xperia 10 Plusそして日本で発表されたばかりのXperia 8を加え、5モデルも出そろうことになる。海外での評価はやはりディスプレイサイズに対して本体がコンパクトである点が受けているようで、同じ大画面モデルでも低価格なXperia 10 Plusの売れ行きが台湾などでは好調だという。この動きを見てか、モトローラも「One Vision」を発表。ディスプレイサイズは6.3インチ21:9で、Xperia 1とXperia 5の中間という絶妙なサイズだ。縦方向に持てばSNSのタイムラインも多く表示でき、横方向にすれば動画をシネマサイズで楽しめる。来年以降他社からも同じ形状のディスプレイを採用するスマートフォンが出てきそうだ。

21:9のディスプレイはこれから採用メーカーが増えるかもしれない。

明るくワイドなカメラを搭載、ゲームにも使いたいエンタメマシン

カメラは最近のスマートフォンでは必須ともいえるウルトラワイドレンズも搭載。標準(ワイド)は26mmでF1.6と明るいレンズを採用。望遠は2倍の52mm F2.4、そしてウルトラワイドは16mm F2.4という組み合わせだ。この3眼カメラはXperia 1と同じだが、本体背面の左上に立てに配置するという、他社と同じデザインになっている。ちなみにXperia 1は本体中央にカメラを並べていたが、カメラの数が多くなると片隅に寄せたほうが使いやすい。これはサムスンもGalaxy Note10で同じカメラ配置の変更をしている。

Xperia 5の本体サイズはカメラを使うときにも操作がしやすく、片手で横持ちしても握りやすい。シャッターボタンが届きにくいということもなく、本体も小さいので手振れもしにくい。長時間の動画を手で保持しながら撮影するときも苦にならないだろう。なおXperia 1にあったスーパースロー動画機能は削除されたが、一般的なシーンで使うことはまれだろうからスペックダウンとは感じられない。スーパースローはカメラ機能としてではなく、それを活用できるカメラアプリが出てこなければなかなか普及しないのではないだろうか。

Xperia 5はカメラ撮影もしやすい。

モバイルゲームユーザーにうれしい機能も追加された。PlayStation 4用ゲームパッド「DUALSHOCK 4」で、Xperia 5のゲームが楽しめるようになったのである。専用ゲームタイトルのみの対応だが、DUALSHOCK 4を装着して電車の中などでも快適操作でゲームがプレイできるわけだ。今まではXperiaをDUALSHOCK 4に装着しても、PlayStation 4のゲームコントローラーとしてしか使えなかった。これからはDUALSHOCK 4そのものがXperiaの周辺機器として使えるのである。

DUALSHOCK 4で直接Xperiaのゲーム操作ができる。

Xperiaシリーズは日本での販売は好調だが、それは日本メーカーであること、ソニーというブランドの強さ、さらにはキャリア経由で販売される、といった特殊な事情がある。海外ではソニーのブランドは強くともXperiaというブランドが知られてない国もあるのだ。筆者が最近訪問したドバイの巨大なショッピングモール、ドバイモールにはソニーの大型店舗があったが、Xperiaの取り扱いは無かった。日本ではXperia新機種が出るたびに多くの記事も出るが、海外ではプレスリリースすら流されない国もあるのだ。

だが今年に入ってからXperiaは大きく変わった。他社にはないディスプレイを搭載したことで、スマートフォンそのものの使いやすさ、すなわち「大画面なのに持ちやすい」製品を次々と送り出しているのだ。今後より大画面なモデルや5G対応製品、さらに定期的なアップデートを進めていけば、Xperiaの販売国は徐々に広がっていくと思われる。Xperia 5はそんなソニーの海外市場復活のカギを握る製品になると筆者は感じた。世界中の消費者にぜひこの絶妙なサイズの製品を送り届けてほしいものだ。