THE Q&A - THEにまつわる素朴な疑問を、社長の米津さんに伺いました

世の中の定番を新たに生み出し続けているTHE。2012年の立ち上げから現在に至るまで、送り出された全57アイテムに共通して言えるのは、語り尽くせないストーリーとこだわりが詰まっていること。でも、そもそもなぜTHEを立ち上げたのか? 商品開発のこだわりはなんなのか? THEにまつわる気になることを、代表取締役社長の米津雄介さんに聞いてきました。


THEってどんな会社?

「〝最適〟と暮らす」というビジョンと共に、クリエイターが経営参画する会社です。

「2012年にクリエイターの発案で生まれた会社です。水野学さんと鈴木啓太さんがブランドの骨子となるコンセプトを生み出し、中川政七さんが流通や事業の建て付けを担う役割で参画。最後に僕がものづくりのマネジメント役として参画しました。『“最適”と暮らす』というビジョンを据えていますが、これは僕らのブランドや製品・サービスを通して、ものづくりの文化、経済、環境が『常に無駄なく最適であること』を目指し、そのプロセスを貫くことで世の中を変えていく、という意志を言葉にしたものです。少し堅苦しいかもしれませんが、単純にものづくりを通して世の中を良くしたい、という思いから生まれた会社です。ビジョンは最近になって改めて言葉にし直しましたが、創業時から変わらずに掲げているブランドコンセプトにもそんな思いが現れているかなと思っています」

 

THEという言葉に込めた想いは?

THE=そのジャンルの基準値、と捉えています。

「よくジーンズを例えに出すんですけど、ジーンズを買おうと思ったときにリーバイス501をまず見に行く。見に行って、これよりも細い方がいいなとか、色はもう少し濃いほうがいいなとか。そういった、各ジャンルの基準値という風に訳しています。ド真ん中だから値段も機能も平均という話ではありません。新しい基準値を作ることで世の中を良くしていきたいので、相対評価ではなく、絶対評価で考えています。つまり、基準値とは、“未来の定番品”であると定義していまして、僕らが、本来はこうあるべきでは?と思うものが定番になったら良いなぁなんて勝手ながら考えています。でも、世の中には本当に良いものもたくさんあるわけで、『これがあればいい!』と僕らが納得するものがあるジャンルにおいては、THEとしてわざわざ作る必要もないので、そういった良品はショップのほうで取り扱いさせていただいて、啓発しています」

 

なぜTHEをはじめたのでしょうか?

ものづくりの文化、経済、環境を変えたいんです。

「きっかけは東日本大震災でした。世の中みんなが価値観を見つめ直した時期だと思いますが、僕もものづくりの在り方や文化について考えさせられました。大量に作って大量に消費することに対し、それまでも問題意識はありましたが、自分の中でも世の中的にもその問題意識が一気に顕在化した時期だったと思います。毎年のようにどんどん機能が付加されていく家電製品や、各ジャンルのヒット商品の類似品の山を見ながら、本当にこのままで良いのだろうか? という懸念がありました。ちょうどその頃、プロダクトデザイナーの鈴木啓太さんに誘われて、立ち上げ準備中のTHEのコンセプトや考え方を聞いたとき、『自分のものづくりはここにある』と強く思ったことを覚えています。創業から7年経ち、当時と環境はだいぶ変わったものの、THEのものづくりを通して世直しをしたいという想いは今も変わりません。ものの在り方や文化、ものづくりの経済、環境汚染と資源枯渇、こういった社会課題を解決する為に、ブランドコンセプトの『ながく愛される未来の定番品をつくる』という考え方が有効だと思っています」

 

THEの強みは?

多ジャンルで培った知性が集約していることです。

「THEは多ジャンルで商品を展開しているので、いろいろな業界の文化が分かります。それが強みですね。工場を持っていないからこそ、いろんなジャンルの知見を吸収できます。例えば、醤油差しの液だれしない機構を、洗剤を垂らすときの機構に応用するということは、僕らにしかできないことかもしれない。ものづくりの業界って多くが縦割りで、商習慣も違えば、作り方のプロセスも何もかもが違います。そこにTHEは横串を通して存在しています。各業界でのスタンダードアイテムを作るための最適解を日々考えていると、いろいろなことが生まれてきます。ボツになったアイディアもそうですし、思わぬ発見もあります。そういった多ジャンルで培った知見・知性はできるだけ共有していますが、将来的にもっともっと活用できたら、THEがメーカーとして存在している価値があるなと思っています」

 

1ジャンル1社としかやらないのはなぜですか?

一社と深く関わるほうが、可能性も広がるからです。

「THEは工場を持たないメーカー、いわゆるファブレスメーカーです。通常、商品をデザインしたら何社かに見積もりをとって、常に一番安くて品質のいい会社と取引をしたいと考えます。それは非常に合理的で意味もあると思うのですが、僕らは1社と付き合い続けることの合理性もあると考えています。やっぱり関係性がすごく深くなりますし、そうすることでいろんなチャレンジもできます。また、同ジャンルのたくさんの会社とお付き合いしていると、チャレンジできる関係性をそれぞれの会社とつくりあげるまでに時間もコストもかかります。基本的にはものづくりが好きな人としか一緒に仕事をしないようにしていますので、無茶なオーダーをしたとしても、『THEが言うんだったらやってやろうじゃないか!』と張り合っていただける。そういう関係性が理想だと思っています。あと、THEの商品には製造いただいたメーカー名を記載しているのですが、これによって新しい仕事の話がメーカーさんの方に入ったりするので、win-winな構造だと思いますね」

 

商品を作るうえでのルールは?

「THE五箇条」をいかに満たしているかで判断します。

「THEのブランドルールとして、創業時から掲げている五箇条があります。形状、歴史、素材、機能、価格。この5つをTHE五箇条といって、それぞれに設定した条件を満たしているものが未来の定番になるという指針です。なので、全部が満点みたいなことは絶対にありませんし、考えれば考えるほど、素材と機能とか、歴史と形状というのは結びついてくるんです。商品を設計するのって責任がすごく重いと思っていまして、考え始めているときに、文化とか経済とか環境性能のほとんどが決まってしまうんです。投資もかかりますから、後から変えることができません。どれだけ、最初に考えるかが大事なんです。形状は最適か? 機能に過不足はないか? 歴史上で、このアイテムは文化としてどういう立ち位置があるのか? 素材は本当にこれでいいのか? などなど、ボードメンバーで議論を重ねながら吟味しています」

 

直営店が果たす役割は?

よりコアなファンと繋がる場所です。

「THE SHOPは、東京と京都の2店舗に加え、11月からは旗艦店として渋谷スクランブルスクエアにもオープンします。THE SHOPは我々の世界観や考え方をお伝えする場であると同時に、半分はセレクトショップなんです。世の中にはすごくいいものがたくさんあって、我々が作るだけじゃなくて、いいものを紹介していく場でもありたいと思っています。スタッフは商品の魅力を熟知していますので、各アイテムについて非常にロジカルに説明ができます。そのストーリーを聞いて購入されるお客様はとても多いです。あと、今後チャレンジしていきたいのは、よりお客さんとの繋がりを濃くしていきたいですね。あまり知られていないのですが、店頭にTHEの洗剤の空ボトルを持ってきていただければ、その場で少しお得に詰め替えができるんです。4月から始めていて、まだ10リッターほどと少ないのですが、それでも20人ぐらいはわざわざ来店していただいています。ほかにも、洋服の修理や割れた茶碗の金継ぎなど、ショップに持ってきていただければ修理できるということを伝えていきたいです。こういったサービスを活用いただくお客様は間違いなく僕らと考え方が近いと思いますので、そういった方々が来店したくなるショップにしていきたいですね」

渋谷スクランブルスクエア店のオープンを記念して作られたショッピングバッグ。「環境提言型の商品として、世界で一番流通しているレジ袋がモチーフ。世界一薄くて軽くて丈夫なリップストップナイロン生地を採用した、ちょっと冗談みたいな商品です」。500枚限定販売で5000円。

THE SHOP SHIBUYA

11月1日に開業する渋谷スクランブルスクエア内にオープンする「THE SHOP SHIBUYA」。渋谷駅直結の駅ビルになるので、THEの商品を手にとったことがない方はぜひ一度訪れてそのこだわりを実感してほしい。

〒150-6115
東京都渋谷区渋谷2-24-12
渋谷スクランブルスクエア ショップ&レストラン8F
営業時間 10:00 – 21:00(ショップ)
TEL・FAX 03-6452-6221

 

THE SHOP TOKYO

〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー『KITTE』4階
営業時間 月~土 11:00 – 21:00
日・祝 11:00 – 20:00(祝前日は – 21:00)
TEL・FAX 03-3217-2008

 

THE SHOP KYOTO

〒600-8031
京都府京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町605番地 藤井大丸 2F
営業時間 10:30 – 20:00
TEL・FAX 075-744-1300