コペルニクスを目指せ!煌々とした都心からでも星空観察・撮影ができる「eVscope」

夜空に浮かぶ満天の星を眺めたいなら、まずは光害の少ない山奥などに行かなければならぬ…という大前提が崩れようとしています。

フランスのスタートアップ Unistellarがリリースするデジタル天体望遠鏡eVscope」は都会からでも16等星という、極めて暗い星すらも、星雲すらも捉える力を持っているのですから。

見えるぞ! 私にも敵…じゃなくて星が見える!

場所は東京、代々木公園。それも元渋谷区役所あたり。夜が早くなってきた11月の18時とはいえ、NHKスタジオパークやLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)のビルからは数多の光が溢れていて綺羅びやか。宇宙からこの地域を見てみたら、あまりの光の多さに目を覆ってしまうでしょうね。それだけ東京都心部全体の光は大量で、天空をも照らすほどなのです。

それだけに空を見上げても、肉眼では星はほとんど見えやしません。まるでノイズキャンセリングのように、地上からの光が天空の星の光をマスクしてしまうのです。目をこらして注視したとしても、時折ぽつ、ぽつ、と、マイナス等級な明るい星が目に入るだけ。

東京で天を覆うような星を見たいのであれば、できれば奥多摩、せめて等々力渓谷あたりに赴くか、コスモプラネタリウム渋谷のお世話になるしかないよね。 というのが今までのジョーシキでした。

ところがです。

「うお! へびつかい座の球状星団M10と、こと座の惑星状星雲M57が見えるぞ!私にも星が見える!」

という声が上がるじゃないですか。

ソニーのイメージセンサーが星空を可視化するデジタル天体望遠鏡

明るい場所での星空観察はムリという、既存の常識をぶっ壊してくれるのが、Unistellarのデジタル天体望遠鏡eVscope」です。天体望遠鏡としての構造は焦点距離450mmの反射式で口径は11.43cm。倍率は50倍、100倍、150倍の3段階。スペックはポピュラーなんですよね。専門店だけではなく、量販店でも気軽に購入できるモノがごろごろしているくらい。

しかしUnistellarのCEOであるLaurent Marfisiさんいわく、1m級の口径をもつ望遠鏡に匹敵するポテンシャルをもっているとのこと。観測所据え置きサイズのバズーカと戦えるってこと? どういうこと?

そのアーキテクチャの根幹に、ソニーのイメージセンサーIMX224がありました。

IMX224は、車載カメラ用として開発された超高感度センサー。星あかりの下の世界どころか、真っ暗な曇りの夜であってもカラー撮影ができるという、とんでもないセンサーです。127万画素・1/3インチで、車載カメラ用として開発されたデバイスなのですが、まさか天体望遠鏡に搭載してくるとは。

さらに1回4秒間の撮影時間内に何枚もの画像を記録して、重ね合わせて輝度の明るい部分だけを活かすコンポジット(比較明合成)処理にノイズリダクション処理などを合わせることで、明るすぎる渋谷の街からでもダイナミックな星空鑑賞ができるのです。

この処理は昨今の夜景撮影が得意なスマートフォンにも使われている技術ですが、eVscopeが捉えた夜空は完全にレベルが違う。この製品ほど、百聞は一見にしかずということわざがしっくりくるモノもないでしょうよ。

都会でも堪能できる星座探しに星雲探し

ご覧ください。これはeVscopeの接眼レンズにiPhone 11 Proのカメラを押し付けて撮ったものですが、満天の星といっていいほど大漁じゃないですか?

もちろんこの写真には、iPhone 11 Proのノイズも含まれているので、すべての光が星というわけではありません。そこで、eVscopeが記録・画像処理したシーンを専用アプリに転送したところも撮影してみました。

いやあ、たまんねえな。子供の頃に星空に思いを馳せ、キャンプに出かける都度「あれがデネブアルタイルベガ」と夏の大三角を指差して周囲の星座を指でつないではいつしか聖闘士星矢の話になったりしたものですが、同じことを都会でできるようになるだなんて。

Image: Unistellar

ほのかな星雲や銀河の光も捉えることができるだなんて。未来、きていたんだね。

GPSをはじめとしたセンサーによって目的の天体を自動追尾

天体の動き(というか地球の回転速度)は意外にも速く、従来は赤道儀と天体望遠鏡のセッティングが面倒極まるものだったのですが、eVscopeは鑑賞したい場所に専用三脚を置いて、その上にeVscopeをセットするだけでOKというカンタンさもポイントです。

組み込まれたGPSが現在位置を把握した上で、2000万個の星座標データベースと望遠鏡が捉えている星の位置関係を照らし合わせ、望遠鏡の向きやGPS情報の補正を行います。そしてアプリで、これから見たい天体を選ぶと、電動モーター・ジンバルが望遠鏡を動かして最適な方角にセッティングしてくれます。

長時間観察し続けたいときも問題ありません。eVscopeは常に自動で追尾してくれますから。

三脚を含め、専用リュックでどこにでも運べるというのもeVscopeのいいところ。暗い場所から星空観察をすると、さらに見えづらい星や星雲もはっきりクッキリと捉えることができるそうですよ。

ユーザーみんなのチカラで新星、見つけられちゃうかも

ところで世界にはSETIという、地球外知的生命/地球外文明探査プロジェクトが多数発足し、日々活動を続けています。eVscopeはシリコンバレーにあるSETI研究所と連携し、ユーザーはいち科学者として研究のお手伝いもできるんです。

SETI研究所からの要請があると、キャンペーンモードをオンにしている世界中のeVscopeが同じ位置を向いて、地球に近づいてきている小惑星や、超新星爆発を観測できちゃう。って、世界の最先端、極地と繋がれるデバイスでもあるということか…。

 

日本でもクラウドファンディングがスタート

海外では2017年にクラウドファンディングを行い、2144人の支援者から220万ドルもの資金を調達。現在はアメリカ、カナダ、ヨーロッパでの一般予約が始まっています。

さらに2019年12月10日より、日本のクラウドファンディングサービスCAMPFIREで、日本ユーザー向けのプロジェクトがスタートするそうです。定価は約35万9820円ですが、CAMPFIREではもっとお安くゲットできるようですよ。

Unistellar