1億画素カメラがやってくる! ついにシャオミのスマホが日本上陸

108MP=1億800万画素カメラのスマホが日本にやってくる

ここ数年で日本のスマホ市場も大きく変わった。ファーウェイはカメラ、OPPOは若者向けと中国メーカーが独自のポジションを築き上げ、家電量販店でも製品が普通に売られるようになった。この日本に世界シェア4位の巨大スマホメーカー、シャオミが上陸する。しかも驚異の1億画素カメラを搭載したカメラフォンで殴り込みをかけようとしているのだ。

スマホカメラはどこまで進化するのか?
「億画素」時代を切り開くシャオミ

スマホのカメラ画質は気が付けば1000万画素でも普通と思えるくらい、各社の性能は向上している。2019年は4800万画素カメラを搭載したスマホが数多く登場しており、画質の面ではどのメーカーも大差はない仕上がりとなっている。今では画素数よりもカメラを3つ、あるいは4つ搭載することでより広いレンジの撮影に対応したり、ボケを利かせたアーティスティックな写真を撮影する方向で各社は差別化を図っている。もはやスマホやPCの画面サイズで写真を見るのであれば、1眼レフカメラが無くともスマホのカメラで必要十分な美しい写真撮影が可能なのだ。

スマホメーカー各社も「XXXX万画素」といった数字による性能のアピールよりも、「夜景に強い」「美しいポートレートが撮れる」といったようにどのような写真が美しく撮影できるかを消費者に訴求している。消費者側ももはや画素の数字だけを聞かされてもどれくらい美しい写真が撮れるかなんて、わかりにくいだろう。

だがシャオミの「Mi Note 10」はスマホ史上初の「億」の画質に到達した世界初のカメラを搭載している。「一億」と聞くだけでなにやらすごい、と感じるのではないだろうか?ちなみにスマホカメラの心臓であるセンサーは、実はソニーが世界で最大シェアを誇っている。新しい性能や機能を搭載したカメラを搭載したスマホが出てくれば、そのほとんどがソニーのカメラセンサーを搭載しているのだ。それに対してシャオミのMi Note 10のセンサーはサムスン製。実はサムスンもカメラセンサーを手掛けているが、性能面では常にソニーの後塵を拝していた。Mi Note 10はシャオミとサムスンがファーウェイとソニーに戦いを挑んだ製品でもあるのだ。

シャオミのMi Note 10は世界初の1億画素カメラを搭載する

「1億画素のカメラなんていらない」そう思う人も多いだろう。特に日本ではだれもがiPhoneを使っているため、iPhoneのカメラ性能があれば十分と感じる人も多い。2019年9月発表の「iPhone 11」シリーズが超広角レンズを搭載すると、誰もが「超広角はすげー!」というようになった。ところが実は、超広角レンズはすでに1年前にファーウェイが搭載済みで、その後はサムスンなども採用。iPhone以外のハイエンドスマホでは多くの製品がすでに搭載していたのだ。夜景をきれいに撮影できるナイトモードもファーウェイやサムスンがiPhoneに先行している。iPhoneに採用されるまでは「いらない」といっていた人も、いざiPhoneにそれが搭載されると「これはすごい」と驚き、使い続けていくうちにそれが無いと不便に感じるようになる。1億画素カメラも数年後にiPhoneに搭載されるようになれば、その頃には「億画素無いとだめだよね」なんて誰もが言うようになっているだろう。

1億800万画素で写した香港の夜景。原寸でお見せできないのが残念

今のiPhoneのカメラ画質に満足している人は、それ以上のカメラ性能は不要と思うかもしれない。しかし1億画素という未知の世界のカメラを使えば、夜景はより綺麗に、風景も細かいディテールをシャープに表現してくれる。「シャオミなんて得体のしれないメーカー、信用できない」なんて色眼鏡は外すべきなのだ。もはやシャオミやファーウェイは「打倒アップル」で製品を開発していない。ライバルはOPPOとVivoを加えた中国メーカー同士であり、その争いがスマホの性能を急激に高め、気が付けばiPhoneよりも高性能な製品を次々と送り出しているのである。

シャオミはアップルではない!コスト重視の開発戦略

シャオミの名前が日本で話題になるたび「中国のアップル」という表現がよく聞かれる。たしかに世界各国に広がるシャオミのショップは、ガラス張りで美しいアップルストアにもよく似ている。だがシャオミの躍進はアップルとは異なる道を歩んできた。そもそもシャオミは市販されているスマホのOSを自分たちでカスタマイズして使いやすくし、それを配布するというところからビジネスを始めている。いわばスポーツカーのエンジンを改造して、エンジンの性能ギリギリまでスピードを上げることに注力するエンスー集団のようなものだった。しかしスマホの製造が簡単になったことで、自分たちで作ったOSを自分たちのスマホに乗せてビジネスを開始。しかも価格を原価ギリギリに抑えたことで中国で大ヒットしたのだ。

シャオミは安かろう悪かろうの製品は作っていない

その後はスマホだけではなく家電なども展開するが、すべてがスマホにつながる形で開発された。またそれら家電はシャオミが直接製造開発を行うのではなく、それらの製品を得意とする企業を買収・出資し製品展開を行っている。シャオミのショップに売られているスマホ以外の製品のほとんどはそんな製品だ。そしてすべての家電はスマホのアプリ「Mi Home」で一括してコントロールできる。空気清浄機や炊飯器、電子レンジからデスクライトや赤ちゃんも監視できるIPカメラまで、シャオミの家電はスマート化が進められておりスマホで操作できるのである。

冷蔵庫もシャオミで買える。もちろんスマホで操作が可能だ

他にも文房具や玩具など、スマホと関係ない製品も数多く販売している。それは消費者がシャオミのホームページや実店舗を訪れたときに、いつ来ても何かしら新しい発見ができるようにとあらゆる製品を揃えるようにしているからだ。スマホだけではなく1本15円のボールペンなど、シャオミの新製品は毎週何かしらが加わっている。この辺りはiPhoneやMacBookなど高性能かつ高級感あふれる自社製品に、有名なサードパーティーの周辺機器を揃えて販売しているアップルとは真逆の展開を行っている。

アップルはロゴ入りボールペンを作らないし(ノベルティーで配布することはあるだろうが)、150円の格安なノートも販売しない。それに対してシャオミの店なら1000円もあればちょっとしたアクセサリ類を数個買うこともできる。シャオミのホームページや店は一見するとアップルストアのようにも見えるが、実はドン・キホーテに近いと筆者は感じる。家電や生活雑貨の品ぞろえは無印良品にも似ているが、シャオミほど新製品の投入サイクルは早くないし、無印良品にはスマホと連携できる「スマート」製品はほとんどない。

シャオミのロゴ入り文房具も販売。価格は100円程度と安い

さてシャオミのスマホは安いと言われているが、それは製品コストを重視した開発体制をとっているからだ。CEOのレイ・ジュン氏は製品の利益を「永遠に原価の5%以下にする」と話しており、ハイスペックなスマートフォンであっても他社製品と比べると相対価格はかなり安い。だからと言ってすべてのスマホが格安なのではなく、1万円台で買える「RedMi」シリーズから、10万円を超える「Mi MIX」シリーズまで製品ラインナップの幅は広い。

RedMiシリーズは格安スマホとして新興国で人気だ

スマート家電や生活雑貨も同様に価格が安い。中国の物価を考えるとスーパーで買ったほうが安いものもあるだろう。しかし中国のスーパーでメーカーのしれない安いボールペンを買うより、シャオミの店で買ったほうが安心感がある。同様にUSBケーブルや電源の延長タップなど、得体のしれないものを買うくらいなら同じ値段で買えるシャオミの製品のほうが安心だ。アップルはその安心を価格に転嫁しているが、シャオミは価格も安く誰もが手軽に買える製品を提供しているのである。

延長タップにまで品質をアピールするシャオミ

シャオミのすごさは技術力の高さだ

高性能で高品質な製品を作り、それを原価に近い価格で展開するシャオミ。ハイエンドスマホの開発にはコストがかかるだろうが、一体利益は出ているのだろうか?最新の情報によると、シャオミの2019年第3四半期(7-9月)の売り上げは537億元、利益は25億元だった。このうちスマホ以外のスマート家電などIoT製品は売上156億元と、全体の1/3を超えている。これに加えアプリ関連などのネットサービスは53億元。スマホ依存ではなく他の周辺製品やサービスで事業を支えるという理想的な姿になっている。

2012年に最初のスマホを出してからは、シャオミのスマホはとにかく「コスパ」が命だった。新製品発表のたびに謳われたのは「他社同等品よりも安い」という価格であり、ハイスペックなスマホが1999元(約3万円)というキリのいい価格で販売された。その後はスペックを下げた低価格モデルRedMi(当時は「紅米」)を中国に投入、1万円でまともに動くスマホとあってシャオミのユーザー層は一気に広がった。しかし他社が同価格の製品を出してくるようになると成長は一気に鈍化してしまった。

価格を武器にしたシャオミの戦略は2016年に転換期を迎えた

その反省からシャオミは価格だけではなく技術力で勝負をかけるようにしていった。今年は5G対応スマホをいち早く発表し、スイスのキャリアと提携して販売も行っている。9月にはディスプレイが表から裏まで回り込む世界初の構造を持った「Mi MIX Alpha」を発表、そして11月には1億画素カメラを含むクワッドカメラ搭載のMi Note 10(中国では「CC9 Pro」)をリリースすることで世界をあっと驚かせた。2019年になりシャオミはついに技術力でも大手メーカーに対抗できる企業に成長したのだ。

製品化が待ち遠しいMi MIX Alpha。本体の表裏をディスプレイが覆っている

元々スマホ本体の高性能化のノウハウに長けているシャオミだけに、カメラや通信モデムの開発にも本腰を入れれば高性能で価格を抑えた製品を世に送り出すことができる。世界的にスマホの販売数が鈍化する今、消費者が新しいスマホに求めているのは「性能」ではなく「新しい体験」だ。シャオミの1億画素カメラスマホは「新しい技術で新しいユーザー体験」を提供できる製品になるだろう。日本を含む全世界で1億画素カメラがどのような評価を受けるのか気になるところだ。

Mi Note 10が日本でどのような評価を受けるか楽しみだ