アップルストアより美しい? 中国スマホメーカーのフラッグシップストア巡り

世界のスマホ市場で中国メーカーの勢いが止まらない。その原動力となっているのは母国・中国国内での各社の熾烈な競争だ。中国国内での販売数を増やそうと、各社は巨大なフラッグシップストアを主要都市に出展させている。中でも深センには大手4社の特徴ある店舗が次々と進出しているのだ。
ファーウェイのフラッグシップストア

ファーウェイフラッグシップストアは
アップルストアより大きい

ファーウェイが2019年9月28日に深センのショッピングモール「万象天地」に開業させたフラッグシップストアは、外観が総ガラス張りの美しい店舗だ。敷地の総面積は1300平方メートル、地上3階建てで店舗の外には営業時間外でもスマホケースやモバイルバッテリーを販売する自動販売機まで設置されている。最新スマホの展示はもちろん、アクセサリや周辺機器、さらにはスマートTVなどファーウェイのIoT製品の展示も行っている。この店に来ればファーウェイのすべての製品に触れることができるのだ。

1階の展示エリアは木製のテーブルに最新モデルが色ごとに展示されており、壁面にはスマホカバーも展示。スマホの動作を試すだけではなくカバーを自由につけて「着せ替え」させたときのイメージも確認することができる。また中央にはスマートウォッチ「Huawei Watch」とベルトも展示。スマホとの同期のテストのみならず、実際に腕にはめてデザインを確認することもできる。店内の雰囲気はアップルストアのようだが、三方がガラス張りで解放感があるうえに、壁面には端末の広告なども一切ない。アップルストアよりもむしろすっきりした印象を受ける。

最新スマホがずらりと並ぶ様はアップルストアにも負けない

1階と2階を結ぶ広い階段部分は座れる構造にもなっており、そこでセミナーなども行われる。訪問した時は最新スマホ「Mate 30 5G」の説明が行われていたが、階段の座席はすべてが埋められており、しかもすでにその場で同端末を買った客が詳細な説明を受けようと話に聞き入っている姿も見られた。店を構えるショッピングモールにはオフィスも併設されており、平日でも来客の数は多い。そして3階にはテラスもあるため、ファーウェイ自慢のスマホのカメラで写真撮影をテストしながらSNSにアップすることも可能だ。体験の場としても最高の店と言えるだろう。

3階テラスからの夜景はカメラのテストにちょうどいい

ところでファーウェイにはサブブランドとして「Honor」(オナー)というブランドもあるが、ファーウェイの店ではこのHonor製品は扱わない。他の国ではファーウェイの位置製品と言う扱いだが、中国では別ブランドなのだ。そのHonorの店は電脳街として有名な「華強北路」に店を構えている。こちらは店の大きさとしては小型なものの、新製品発表会の日には店内の大型TVでそのライブ中継を流すなど、積極的な情報発信を行っている。

Honorの店舗。ファーウェイとはイメージが異なる

シャオミとOPPOも大型店で対抗

ファーウェイと同じショッピングモールに店を構えるのがシャオミだ。実はこのモールへの出店はシャオミのほうが早い。ガラス張り2階建ての店内にはシャオミのスマホ、周辺機器、スマート家電、雑貨と製品が所狭しと並ぶ。店の規模はファーウェイの半分以下だが、シャオミが販売する製品の数は倍以上である。店内にすべてのシャオミ製品を展示しきれていないのが残念なところ。2階はスマート家電中心の展示になっているが、家電製品はサイズも大きいことからここでも展示されている製品は限定的だ。

ファーウェイと同じ場所に店を構えるシャオミのフラッグシップストア

シャオミのフラッグシップストアは何よりもいろんな製品が展示されているのが楽しい。スマホの展示だけを見るとアップルストア、雑貨や家電、文房具の展示は無印良品の製品を見ているようだ。100円程度で買えるシャオミロゴ入りのノートやボールペンが売っていたり、ライバルであるはずのiPhone向けのLightningケーブルも販売されている(もちろんアップル正規対応品だ)。シャオミの店に行って新製品を試した後、ついつい何かしらを買ってしまう、そんな気分になるような演出がされているのだ。なおシャオミの店舗は海外クレジットカードが使えるので、観光ついでに立ち寄った際に人民元の現金を持っていなくてもお土産を買うこともできる。

カラフルなスマホケースはついつい買いたくなる

ところで中国国内のスマートフォン販売シェアは、Canalysの報告によると1位ファーウェイ、2位Vivo、3位OPPO、4位シャオミの順だった。このうちVivoとOPPOの差はほとんどなく、両者は毎月のように2位争いをしている。この順位からわかるように、中国メーカーのライバルはもはやアップルやサムスンではなく、お互い同士なのだ。

そのOPPOは華北路にフラッグシップストアを構えている。店内は端末のデモエリアを中心としたレイアウトで、高性能ズームレンズの体験エリアや5Gスマホによるスピードテストコーナーなど、最新技術を自由に試すことができる。また来客が落ち着いて休めるソファーも設置されているが、そこにはUSB充電端子がありスマホの充電も可能だ。電脳街を探索がてら、OPPOの店で自分のスマホを充電する来客も多い。

OPPOのフラッグシップストアは電脳街にある

華北路の電脳街としての歴史は20年以上になるが、スマホの店が急増したのはここ10年ほどのこと。当初は小規模な店が立ち並ぶ程度だったが、やがて店の規模が少しずつ拡大していった。しかし深センの経済成長と共に他の繁華街でもスマホ店舗が増えていき、今ではファーウェイとシャオミがフラッグシップストアを建てたショッピングモールなどメーカーのショールームを構える場所も変わりつつある。OPPOのフラッグシップストアは実は建設が始まってから完成まで1年以上を有した。その1年の間に気が付けば他のメーカーは電脳街ではなく別の場所に店を構えるようになったのである。

スマホを見た後は買い物や食事を楽しめる

ファーウェイとシャオミは新興ショッピングモール、OPPOが電脳街にフラッグシップストアを構える中、Vivoは全く別の場所に出店した。場所は「海上世界」。ここは古くから欧米人の居住者も多いエリアで、今では海辺のレストラン街として人気のスポットだ。場所は深セン中央部から南東で、フェリーターミナル「蛇口」から地下鉄で1駅というロケーションである。

Vivoのフラッグシップストアは正確には「体験館」であり、1階が最新スマホの展示コーナー、2階がスマホの技術を体験できるデモゾーンとなっている。1階の展示エリアにはVivoのキャラクターグッズも売っているなど、他3社とは店内の雰囲気はやや異なる。なおシャオミにもキャラクター「米兎」がおり以前は店舗でグッズ展開を積極的に行っていたが、今はほとんど行っていない。OPPOにもキャラクター「オーリ」がいるがこちらも最近はあまり目にしない。

海辺に建つVivoのフラッグシップストア

2階のデモゾーンに入るとVivoのスマホを渡され、暗い室内のオブジェを撮影したり、スマホ技術の推移をビデオで見たりと自社製品を使った体験とデモを来客に提供している。すべてを見終わった後は撮影した写真をSNSにアップすることも可能で、店舗に来たことを積極的に発信できるようになっている。

スマホで自撮りしているキャラが迎えてくれるのもVivoならでは

中国でもスマホのネット販売は好調であり、今や情報収集から購入まで店舗に行かずネットで済ませる人も多い。そのため各メーカーはなるべく人の集まるエリアに大型店舗を構え、新製品の体験だけではなくメーカー認知度を高めようと様々なプロモーションやイベントを展開している。ネットで買うより店舗で買ったほうが多数の無料ギフトをもらえることも多い。

また買い物をしてくれなくても、ショップに立ち寄ったあとに周りのお店でショッピングや食事を続けてくれれば、話の途中で「せっかくここまで来たし、あのスマホ、もう一度見に行こうか」なんて思ってくれたらしめたものだ。今後も中国スマホ各メーカーは繁華街への出店ラッシュを進めていくだろう。